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[企業法務] 契約交渉

法務部、法務担当者の力量が試される場面の一つとして「契約交渉」が挙げられます。英語では「契約交渉」のことを「Bargain(バーゲン)」と呼ぶことがあるのも面白いなと思っています。

「契約交渉」の手法や戦略はさまざまです。そもそも「契約書案」をどちらの当事者が作成したのかや、取引における立場はどちらが上かによっても契約交渉の戦略は変わってきます。

主に海外取引における契約交渉のお話が盛りだくさんの「山本孝夫の英文契約ゼミナール」に契約交渉の手法や戦略の紹介は委ねたいと思います。英文契約書を勉強したい方にもオススメの一冊です。

今回は、契約交渉における自社内での法務部、法務担当者の立ち位置についてお話します。

まず、契約交渉に「誰が出るのか」という問題があります。

契約交渉といっても議論すべき内容はさまざまです。業務委託であれば「委託業務の範囲」「委託料の金額、支払期日」「損害賠償責任」「管轄裁判所」などがあります。前者2つは営業寄り、後者2つは法務寄りと言えるでしょう。

また、契約交渉の場に相手方は「誰が出るのか」という問題も影響してきます。営業担当者のみ、法務担当者のみ、営業担当者・法務担当者の両方、経営陣・幹部クラスの方などが考えられます。

私が勤務していた時は、自社の営業担当者や経営陣・幹部クラスのリーガルリテラシーが幸いにも比較的高かったので、契約交渉の場に法務担当者(私)が出ることはなく、営業担当者や経営陣・幹部クラスの方が出ていました。

この場合に重要になってくるのが「コミュニケーション」です。いくらリーガルリテラシーが高いと言えども、法律に詳しい訳ではありません。相手方が起案した契約書を読み解き、その要点をまとめたり、分かりやすく解説したりするのが法務担当者である私の役割でした。

また、顧問弁護士とのコミュニケーションも私の役割でした。習得している法律知識の差はあれど、弁護士の方と対等にコミュニケーションができるのは法務担当者です。営業担当者からの問い合わせを法的論点に落とし込んで弁護士の方に伝えたり、逆に弁護士の方からの指摘事項を噛み砕いて営業担当者や経営陣・幹部クラスに伝えたりということが重要になってきます。

では、相手方とのコミュニケーションはどうするか?相手方の法務担当者からの質問は自社の営業担当者からエスカレーションしてもらったり、書面で回答したりしていました(口頭ではなく書面に残すという点でも重要です)。

最後に、コロナ禍でオンライン会議や在宅勤務が増え、電子化が進んでいる企業も多いことでしょう。各事業部門のドキュメントが掲載されている場所(コラボレーションツールなど)へのアクセス権を付与してもらい、取引先との会議(契約交渉)の議事録に目を通すことも可能かもしれません。これは隠れた問題や伝えられていない問題に気づくきっかけとして重要な作業になってきます。

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