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革の絞り染め①~革の種類と厚みの選び方

ここでは、藍の絞り染めを行った場合の結果について記してみます。

*革の種類について*

やはり、革の絞り染めに適した革、というものがあります。

豚革、牛革、鹿革、、と手持ちの白色・ヌメの革をいくつか試してみました。


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特に豚革でも牛革でも鹿革でも、染まるには染まるのですが、

まず結論から言えば、

藍の絞り染めにベストだったのは「豚革」。

(画像にはありませんが、牛革ソフト・豚革のヌメも試しています)

それも『純白ピッグ』です。
(DS単価が70円前後(税込)で、平均サイズが130ds~140ds:2021年1月現在)


実にキレイに”青”と”白”のコントラストが出ます。


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そして、皮膚のキメが粗めな”銀面(表面)”が

かえって絞りやすさをもたらしてくれます。

ソフト革に比べると柔らかさは劣りますが、耐久性にも優れ、キメが粗い分、使い込むとどんどん柔らかくなります。

***

他の使用してみた革についても述べてみます。

★牛革(ヌメ・白牛):キメが細かいので絞るには硬いが、銀面が滑らかな分、マスクしてもマスク部分に染み込みにくいため、型染めには向いていると思います。色の経年変化は否めません。

★牛革ソフト:後述にもあるように、クロム鞣しが多いため、藍の染付きはあまりよくありませんでした。

★牛革(クリケット):私が試してみた厚さは、1.0㎜厚。ソフトな分、絞りやすさはありましたが、白い部分の、色の経年変化が割と早いので、それを踏まえ、良ければ使用してみてもよいと思います。


*鞣しの種類や仕上げ状態ではどうなのか*

革に携わっている人、あるいは、革に詳しい人は、その鞣(なめ)し方に3種類あることはご存知でしょう。

★ベジタブルタンニン鞣し

★クロム鞣し

★コンビネーション(ベジタブルタンニンとクロム)鞣し


ここで簡単に・・・

ベジタブルタンニン鞣しとは、ことばどおり植物(チェストナット・オーク・ミモザなど)の樹皮から抽出されたタンニン(渋み)樹液にを20日ほど漬けこんで鞣す方法です。

(ちなみに鞣す前は「」、鞣された後を「」と使い分けます)

このように鞣された革は、天然素材ならではの色やツヤの経年変化(エイジング)がみられます。


一方、クロム鞣しは、化学薬品(塩基性硫酸クロム)を使用します。皮をドラムに入れ、それを回転させることで薬品を浸透させるという鞣し方です。革をカットした切り口がグレーなのが特徴です。


そしてコンビネーション鞣しは、以上のベジタブルタンニン鞣しと、クロム鞣しの両方を取り入れた鞣し方で、やはりドラムに入れておこないます。


***


革の、藍の絞り染めにおいて、藍色がキレイに出たのは、「ベジタブルタンニン鞣し」でした。

そして、染料が入りやすさで言えば、顔料が用いられたものや、オイル多めな仕上げ、ワックス仕上げもされていないものが良いです。

以上から、脱脂の工程も丁寧に行っている「純白ピッグ」はまさに染色には申し分ないのです。

さらに、その脱脂工程の徹底で、白い革にありがちなエイジングによる黄ばみも抑えられ、藍染の青と白のコントラストが、より保たれるのです。


*絞りに適した革の厚みについて*

これまでに試してみた絞りの種類は、

・十字絞り

・つまみ絞り

・豆絞り

・蛍絞り(風)

・型染め(マスクして染める)
※「マスク」って今や必須のマスクじゃないですよ(笑)言うまでもないですが、、

以上は、布でもお馴染みの絞り技法です。
(※蛍絞りと型染めは、革用にちょっとアレンジ。)

で、特に十字絞りは、あまり厚過ぎると、柄がボヤけてしまいます。
(それを狙いで絞るなら良いのですが)


結果、絞りの種類にも依りますが、

総じて絞りやすいのは1.0㎜~1.2㎜厚でした。

前述の「純白ピッグ」の規定厚は1.4㎜なので、少し漉くか、

あるいは一枚革の端の部分だと1.2㎜くらいだったりしますので、

状態に問題なければ、小物などあまり大きく必要ない場合、その部分を使うのもアリかと思います。


*まとめ*

★絞り染めに適した革の種類:純白ピッグ

★革の厚み:絞りの場合 1.0~1.2厚 

      型染め(マスクして染める)場合:特に厚みは制限なしで可



次は、準備工程等について、お話してみようと思います。

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