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旅について2019 その①

北欧旅から帰ってきて、早1週間。「すごく充実していた」。そういってしまうとたった9文字で終わるけど、濃くて濃くて濃厚な9日間だった。

前半は、念願かなってのワークショップツアー。

ひとりでも旅できる人たちと、あえてみんなで行く旅。
ひとりではできない旅を、みんなでしに行く旅。
みんなで旅しながらも、いつでもひとり旅の空気を帯びることができる旅。

なんだろう。あのツアーを上手に形容するコトバが、まだ見つけられずにいる。
とにかく、ツアー旅行っていうカテゴリには収まりきらない、もっと自由なもの。俳句の中の自由俳句みたいな感じかもしれない。(といっても、種田山頭火ほどの自由さはないけど。)

だけど、これからの旅の在り方って、もしかするとこういうスタイルなのかもしれない。

話が唐突に飛ぶけれど、アパレルメーカーが作る服が、みな横並びになったように感じる。POSレジで全てのことが数値化されていって、売れ筋を追加製造して、一番いい位置に並べて、SNSにコーディネートをアップする。だから売れる服はずっと売れ筋。どんどん偏っていって、しまいには売れる服しか作られなくなる。
たくさんのブランドを抱えたメーカーが、どのブランドも同じような服を作って販売する。違うのは生地と縫製の質。だから結果的にどれもほとんど同じように見える。

ツアー旅行もそう。aiが売上から計算してツアーを組んで販売する時代になると、旅行会社にも同じことが起きるんじゃないかしら。コスパがよくて、効率よくフォトジェニックな場所を回れる旅。そんな謳い文句のツアーが溢れるんじゃないかと思う。

それはそれで需要はあるんだろうけど、「旅」を楽しむってことからは、だいぶ外れてしまう。本来の旅好きたちを満たす場所がなくなってしまう。

もちろん、ツアーじゃなくて個人旅行をすればいいでしょ、ということになりますよね。分かります。私も基本は個人旅行派。ひとり旅。特に初めて行くビッグシティは見たいものが多すぎて、誰かと旅程を合わせていたら時間切れでフラストレーションを貯めて帰国になり兼ねない。

一方で、誰かと行く旅や、現地の人とすごす時間にも、ひとり旅に勝る良さがあると思う。モロッコのサハラ砂漠の朝焼けは、誰かと見たほうが良いと思ったし、ミラノから1時間半の山奥の街で過ごす3週間は、現地の人と過ごしたからできたことがたくさんある。
それは、ひとり旅じゃ叶わないことや、「旅行者」だけじゃ得られない経験だったりする。
誰もがその二つの壁を自力で越えられるわけじゃないからこそ、それを実現する旅を企画していくことって、これからのNewツアーとして必要とされていくんじゃないかな。ね、旅行会社さん。

それにしても、今回のツアーは、みんなで同じものを見て、おいしいね、楽しいねって共有できて、それでいてあたかも隣に誰もいないくらいの感覚でそれぞれ思いにふけりながら、でもひとりじゃないっていう安心感。そういうものがこの旅にあったと思うのです。

こんな旅を作ることを仕事にできたら、この上ない幸せだなぁ。

後半のデンマークスウェーデン旅も感じることはたくさんあったんだけど、長いのでひとまず前半はこれでおしまい。


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