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人生で最大の戦をした日



人生で初めての大下校

2024年4月24日(水)。
週の真ん中の水曜日の授業終わり。
この日はバレーボールの授業を受けていた。授業後即ユニフォームに着替える。授業中からワクワクが止まらなかった。ユニフォームを着るとそのワクワクはさらに増大する。THE DAYの横浜FC戦(H)のロッカールームで、喜田さんが「このユニフォーム着て戦える喜びを感じてみんなで表現しよう」と言っていた。このワクワクの感情が喜びを感じている瞬間なのだろう。家に帰らずそのまま大学から豊橋駅へ向かう。
幼い頃、父は「豊橋は僻地」と言っていた。確かに100㎞離れているし、なかなか行く機会のない土地であることは言うまでもない。しかし、大学生になってからは、少なくとも3回は駅を利用している。人生って本当にどうなるかわからないものだと感じた。そんなこんなで豊橋に到着。昼食を購入し、新横浜を目指す。

モンスターハンターとコラボしていた
私はやったことないですが…

郷に入っては郷に従え

大学の友人には豊橋出身もいる。
豊橋で昼食を調達するときにおすすめを聞いた。
お勧めされたのは画像中央のあんぱんまんじゅうと、左のピレーネ。
そして、私がゲン担ぎで購入したみそかつサンド。
みそかつサンドはカツが味噌にしっかり浸っていて、カツを挟んでいるパンにも味噌がしみていてとても美味しかった。
ピレーネはスポンジに生クリームを包んでいる甘いもの。
まあ皆さんがイメージできるようにケーキみたいな感じですごくおいしかった。生クリームとはなぜあんなにおいしいのだろうか?
あんぱんまんじゅうは友人に言われるまで知らなかったが、お饅頭なんだけど、外のパン生地がふわふわでとても美味しかった。中身はあんこに加えてクリームも入っている。
やはり郷に入っては郷に従えという言葉はその通り過ぎると感じる。


教えてくれた友人に感謝ですねはい。

いざ横浜

小田原を過ぎ列車は新横浜にまもなく到着しようとしている。
東京方面に向かう上り列車の一番左側のA席を立ちあがりドアの前に向かう。ごみの処理も完了し、ドアが開くのを車窓を見ながら待つ。まもなく新横浜に到着しようとしている列車の車内から日産スタジアムを望もうとするも雨で何も見えない。このときこの雨が死闘を演出することなど予想もできなかった。
スタジアム通りを駆け抜け対に到着した今宵の決戦の会場。
まさかこの場所に学校終わりに来るなんて考えていなかったことは言うまでもない。

来てしまった。というよりワクワクしていた。

スタジアムにつき友人たちと合流。
持ってきたごみ袋が小さすぎてごみ袋を追加でいただいてしまった。
他にもXで知り合った方が友人からごみ袋をもらっているシーンにも遭遇したがその方が私に大きな影響を与えた方だった。しかし声をかけることはできなかった。いつかご挨拶できれば良いなと思った。
そんな友人たちと座席に向かうとこんな横断幕があった。
まあこれを見て燃え上がらない方が無理だと思う。
どこか冒険の感覚で新横浜に降り立ったがギアが上がって戦闘モードになったという表現が近いだろうか。絶対に負けてはいけない戦いである。
試合に対する思いはより強くなった。

これはひたすら激熱でした。やらなきゃ!って思わせてくれた。

そんな気持ちを高ぶらせながら座席に向かうと雨で濡れていた。
まあわかっていたのだが初の滝行である。
ちょっとテンションが上がった。
ピッチを照らすライトたちの光もトラックに反射してより輝いている。
雨がより一層ACLという舞台がとてもスポットライトの当たる試合だということを我々に訴えかけているようにも感じた。
そんな中友人の一人が体調不良で欠席。私は奇しくもスポットライトが当たる試合でゴール裏の中心、スポットライトが一番当たるバンデエリアに向かうことになった。

この場所で歴史が動いてきた。果たして今日は?

死闘の始まり

降りしきる雨の中、ついに試合が始まった。
2戦合計スコアで決勝の椅子を争う戦いは一試合目既に蔚山が0-1で制しているため少なくとも2点以上取っての勝利が必要な状況であった。
マリノスは離脱していたエウベルが復帰するなど、ホームゲームであることも含め今思えば追い風が強く吹いていたのだなあと感じる。
そんな決勝、そしてクラブワールドカップへの出場をかけた一戦は前半13分に植中、21分にロペス、30分に再び植中が得点し、2戦合計スコアは3-1に。
あまりにも鮮やかな攻撃に目を奪われ、いける!
そんなことを思った。しかし、アジアの舞台の準決勝、東アジア王者を決める戦いがそんなに甘く進むわけなどない。
35分にはコーナーキックから失点。あまりにもあっけなくて声が出なかったのを覚えている。
そして42分PK。上島ハンドで3重罰により退場。
嘘だろ。。。
決して簡単ではないとはいえ急なハードモードに私は戸惑いを隠せない。
そんな私を横目にPKは決まり2戦合計3-3。
流れは完全に蔚山。しかも数的不利。
控えめに言っても厳しい状況になった。試合開始前より強くなった雨がマリノスの厳しい状況を語っているかのようだった。
アジアを制するためにこの波を超えなさい! そういわれている気もした。
マリノスは後半、延長でもすごくボールを回されて試合を通して40本のシュートを打たれた。そして、オフサイドに助けられながらも2度も勝ち越しゴール未遂を許した。正直私はこんなにボールを持たれ、シュートを打たれるマリノスを見たことはない。マリノスの名を名乗る別のチームを見ているようだった。プレーしている選手はもちろん見ている私も息を吞む展開で、試合終了の笛が聞こえた時にはとにかくホッとしたのを覚えている。

死闘の果て

120分の死闘の結果始まることになったPK戦。
私はPK戦を現地で見るのは初めてだった。
マリノスゴール裏をバックにPKが行われることになった。
選手たちはもちろんサポーターも疲労困憊。
私に関しては恥ずかしながら飛べなかった。
しかし何とか声を出さなければならない。それが私のやるべきことだ。
寒さと疲労で足は震えている。なんなら泣きそうで顔はぐちゃぐちゃだ。
そんな中でPK戦は始まった。
一人目決められて迎えるマリノスのキッカーは大エースロペス。
落ち着いて右側に流し込む。
正直私はロペスが外す未来は見えなかった。
本当にPKに関しては職人である。ゴール裏を煽り帰っていった。カッコイイ。
二人目も決められて迎えるのは日産のDNAを受け継ぐ水沼宏太。
今日の解説は偶然にも父貴史さん。
ここも右に流し込み即ガッツポーズ!
痺れた。
そしてしっかりゴール裏を煽る。そして、バックスタンドまで煽って帰っていった。
3人目も決められマリノスはキャプテンマークを巻く松原健がキッカーを務める。開幕戦では
勝負を決めるゴラッソを叩き込んでいる持っている男は左に流し込み後続のキッカーたちにガッツポーズをし、勇気を与える。
4人目GKポープの読みは当たるも無情にもボールはゴールに吸い込まれていった。
正直持ってないなあと思ってしまったがそんなことを言っていると4人目のキッカー天野純がやってきた。彼にとって蔚山は古巣である。様々な思いもあったと思うが、ゴール右側に流し込んだ。あまり見たことはない天野のガッツポーズにスタンドが沸いた。ゴール裏に向かってガッツポーズをもう一度して戻っていった。
5人目ついにその瞬間が来た。
ポープが右を狙ったシュートをセーブしたのだ。両足を攣り、試合最終盤に治療を受けた男の魂のセーブに会場は大きな盛り上がりを見せた。
さあ決めれば勝利の場面でキッカーはエドゥアルド。
真ん中に転がしたボールはゴールに吸い込まれた。
レバークーゼン所属のジャカのふくらはぎが攣ったパフォーマンスを真似し、ゴール裏に向かって走ってくる。
この時歴史が動いた。
マリノスが東アジアの王者となりアジア王者をかけて戦う挑戦権を得たのだ。
私は力が抜け、ホッとするとともに再び顔がぐちゃぐちゃになっていた。
前に
前で旗を振っている女性の方に「こんなん見たら泣いちゃうよね」なんて言われた。泣いてることはわかっていたけれど涙が流れている感覚がなかった。不思議な感覚だった。そして選手たちを史上最高に楽しい勝利のトリパラで迎え、ポープの熱い言葉を聞いて勝利をかみしめ帰路に就いた。


今回私が得たもの

学生のうちにやりたいことをやりなさい。
よく聞く言葉だが、その真意に少しだけたどり着いたのかもしれない。
次の日の1限のゼミは声が出なかったが、そんなことは勝利に比べればどうでもいい。そう思える。そして歴史の証人になることもできた。お金はないが、時間はある学生。とにかく頭をひねることで、授業後に大好きなチームを応援できることも学ぶことができた。そして何よりもアジア王者への挑戦権、クラブワールドカップ出場にも王手をかけることができた。
今から20日後すべてが決まる。マリノスにかかわるすべての人が笑顔になれる結果を夢見てホームだけではあるけれどACL再チャレンジしようと思う。
みんなでアジア王者になれるのを願っています。

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