あの頃の私は死んでしまった

赦せなかったことが総て赦せてしまったとき、あの頃の私というものが失われてしまったかの様で哀しかった。決して、「赦せない」というのが哀しかったのではないのだ。あの頃抱いていた、たったひとつの赦せない事項について時間が見事に解決してしまったという感じがして悔しかった。
あれほど燃え上がるように赦せなかったあの人を、あの事を、ずっとずっと抱えて生きていけたなら良かったのに。

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