デジタル人間

つかってはじめてわかるそのもの自体の魅力、
つかわないからこその魅力、それぞれが存在している。
私は生まれた時から既に世の中がデジタル化しており、それが当たり前だった。
しかし最近の若者の間では、アナログ的なものへの憧れが顕著になりつつある。「平成レトロ」などという言葉ができたり、こぞって昭和の音楽を聴いたり、わざと写真の画質を下げたりする。
私は特に、本は紙がいい。現代社会において電子書籍が主流になりつつあるが、本は紙の方がよいというひとは少なくないのではないだろうか。実物を手に取って、ブルーライトに犯されずに薄明かりのもとで読む文庫本は心を穏やかにさせる気がする。

ものには温度がある。
持主の部屋の匂いや、歴史や、性格や、風景が見えてくる。
そういうところから ひとからひとへ渡る古本だったり、古着だったりが私たちを魅了し続け 一定のファンを獲得し続けているのだろう。

今は全てを電子化してしまうコンテンツが増えて私は少し淋しいと思う。しかし同時に便利だからと無意識に選んでしまっているのも事実なのだ。

「つかわないから」「つかったことがないから」憧れる。
若者を刺激するこの不自由なあたたかさを私は大切にして生きていきたい。

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