Youtubeを使った0円音楽療法
私の子供はおなかの中にいるときから音楽が好きでした。私の好きな曲を聞いていると「それは嫌だ」と言わんばかりにおなかの中から蹴り飛ばして主張をしていたので自分の好きな音楽というのがもともとあったのだと思います。生まれてからも音楽をかけると喜びましたし、今でも一度聞いた曲はすぐに覚えて歌います。当然音楽療法の効果を期待して小さいころからレッスンに通ってみたのですが効果は全くありませんでした。
音楽療法士の音楽療法は苦手
2歳くらいのころから音楽療法を受けていたのですが、専門の資格を持っている先生の歌を酷く嫌がりました。どんな先生でも完全拒否でした。どの先生も親身になってくださっていたのに本当に申し訳ない。
その時にいろいろと音楽療法の基礎を教わったのですが、「テクニックはどうあれ、その曲は好きじゃない」という主張によって何の効果もなかったのです。
そこで私はプロのレッスンはあきらめて子供専用のiPadを買い与えました。Youtubeや子供向けの音楽アプリ、ピアノなどの楽器を演奏できるアプリなどで遊ばせてみたんです。
すると自然と子供の好きな曲がどんなものなのかわかってきました。
最初は寝かしつけの曲をよく聞かせていました。環境音楽のようなものです。クラッシックの曲をベースにしたものが多かったので反応があった曲を中心に聞かせていました。なぜかクラッシックの巨匠と言われるようなピアニストの曲を好んで聞いていました。
・アルトゥール・ルービンシュタイン
・ウラディミール・ホロヴィッツ
同じ曲でも演奏者が違うと聞きません。この2名のピアニストは特に好きでした。ロックやジャズは好きではないようでした。好きな作曲家もはっきりとしていました。胎教に良いと言われていたモーツアルトはなぜか嫌いでした。好きなのは次の3名。
・フレデリック・ショパン
・ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン
・フランツ・シューベルト
好きな楽器はピアノとバイオリンでした。自分でも演奏したがっていましたが指が小さく低緊張で思うようにキーボードを扱えないので人前では恥ずかしがっていて一人の時にこっそり練習していました。
楽器屋さんを訪れるとギターやウクレレを欲しがりました。まだ早いと思いましたが買い与えてみるととても喜んで練習していました。自分で椅子をTVの前まで持ってきて、ウクレレのレッスンDVDを見ながら練習しているんです。私がチューニングをうまくやってやれなかったので音程はぐちゃぐちゃでしたが弦を弾くタイミングはぴったりでした。役に立たない母ちゃんで本当に申し訳ない。
しまじろうとの出会い
ある時ふいにTVで見たしまじろうに釘付けになりました。しまじろうのDVDはどれも好きでしたが、アニメよりもしまじろうコンサートの方が好きです。歌のお姉さんのダンスを完コピしていました。
しまじろうの曲はベネッセが何十年もかけて子供たちの発達を考えて作り上げてあるので、音楽療法の教本に書かれている音楽とは違う実践的な作りになっているのだと思います。なによりキャラクターと動画の力は大きいですね。
最初は主題歌になるようなキャラクターの魅力が前面に出た明るい印象の歌を聞いていました。例えばこんな曲。
・ハッピー・ジャムジャム
・せかいはパラダイス
・トモダチのわお!
映像を見ながら上半身だけ動かして踊っていました。下半身の麻痺が強くて動かなくても腕を動かして運動するのは大事なことだと思います。しまじろうと一緒にれるなら真似して自然と身体を動かします。声を出すようになり、あーあーあーしか言えなくても歌っていました。
療育に連れて行くよりもしまじろうのDVDの方が効果があると思ったほどです。
歌に合わせて単語を教えると単語を覚えて言葉として使うようになる
歌っているうちに「歌の歌詞を覚えて歌えるようになったらその単語はしゃべれるようになってきた」ということが増えました。
しゃべれないけど歌えるという時期はあっという間に過ぎ去って、「歌えた単語はしゃべれる」というように変わっていったのです。
たとえば「バナナダンス」という歌があるのですがこの曲をずっと歌っていたら普段から「バナナ食べたい」とか「バナナ美味しい」としゃべれるようになっていました。
それで教えたい単語があるなら歌に合わせて覚えさせると覚えやすいのだなと気づいてベビーシッターさんにもお願いをして歌いながら単語を教えてもらいました。私は歌が下手なので歌うと子供が私の口に手を持ってきてふさいで「ダメ!」と怒ってきていました。私の子供は音痴を許してくれないんです。
同じ単語の繰り返しが良い!
子供が好きな曲には特徴があります。それは同じ単語の繰り返しです。子供が好きな曲は結局は発達を促す曲の作りになっているのだと思います。
・こんちゅうのうた
・ないぞう サイコー
・みみりんのトマトビクス
・たちあがれ
・ドドドドドーナツ
・ウンパパたいそう
ドドドドドーナツやウンパパたいそうは濁音や破裂音の発声練習にとても良いです。これらの音が苦手だったのですが、歌っているうちに自然と発音できるようになっていたのでとても良い曲だと思いました。
手遊びが面白くて好きだった歌がこちらです。
・てと てを つないで♪
・しましまだいすき
・おおきなきのうた
・カンパイ★ベジタブル
・グーチョキパーでパンプキン
これらも同じ音の繰り返しが魅力的です。発音できなかった音が徐々にできるようになってきて、普段の言葉にもつながるのを感じられました。繰り返し歌っていると発音できるようになるのも当然ですよね。
言葉につながる歌の特徴
特に「歌っている間に言語発達が伸びた」と感じられたのがこちらのHEROという歌です。ほかのしまじろうの曲に比べたら明らかに大きい子向けという印象です。歌詞も難しいです。
最初のうちは「ずっと~!ずっと~!」「きっと~!きっと~!」の部分しか歌えなかったのですが、これが歌えるようになると不思議とほかの音もよく出てくるんです。
Cocomelonで英語の歌を好きになる
次に好きでよく見ていたのがYoutubeのCocomelonです。ココメロンは子供向けの英語の歌のチャンネルです。
最初に好きになったのがBaby Sharkです。
Wheels on the Busの歌も好きになったので、バス好きな子供に成長しました。字幕が出るのである程度英語を覚えてしまっています。「round and round」を「まーでーまー」と歌うほど滑舌は悪いものの何が言いたいのかはなんとなくわかる程度には発音できるようになりました。不思議と日本語の歌よりも英語の歌の方が歌いやすそうでした。発音できる単語の数も日本語より多いです。
音楽療法の先生が一番最初に「障害がある子は意外と英語の歌が得意な子が多いし、日本語よりも英語の方が上手な子がいる」と言われていた通りでした。ひたすら英語の歌を聞かせていたほうが、発音できる音の数が増えるので日本語もあとから十分うまくなるという流れがあったように思います。
YOASOBIで急激な進歩を遂げる
こちらのラブレターという歌は最初からかなり歌えました。「ちょっと」「ずっと」「ぎゅっと」「きっと」という音が入るのはHEROと同じですね。この音の繰り返しは割と子供の脳を活性化させるみたいですが、言い回しはこちらの曲の方が多いので子供も喜んでいました。
しまじろうの歌とYOASOBIの歌には実は共通点があります。それはフレーズの最後の音の母音が「あ」「え」「お」で終わることが多いのです。明るくて強い印象の曲になりますよね。同じフレーズの繰り返し、それでマンネリになるのを回避する転調、最終的には希望に満ちた歌詞で曲が終わる点なども子供が喜んで聞く要素だと思います。
「夜に駆ける」の場合は相当早口の歌なのに平気で声を出して歌っていました。
・もともと発音できる音を歌う(「ああ~」「きっと」)
・語尾の部分は歌いやすい(「ほら~」「日々も」「から」「いよう」)
・繰り返し出てくる音を歌う(「チックタックと」)
・普段からよく使う単語や知っている言葉は歌える(「嫌いだ」「笑った」「きれいだ」)
・なぜか最初から歌えるフレーズがある(「何度だってさ」「騒がしい」)
このように発音できる単語を細かく見ていくと子供向けの曲ではなくても思った以上に最初から歌えたんです。
それで自信をつけたのか、しまじろうの歌などはただ嬉しそうに歌っていただけなのにYOASOBIの歌は「練習して歌えるようになりたい、難しいから歌いたい」という明確な意欲を持って聞いていました。
群青もとても好きです。「さんざめく」という部分を歌いたくてずっと練習していました。「さんざめく」なんて普段使わない日本語なのに気に入って何度も歌うのです。「何回でも何回でも」「何枚でも何枚でも」などの繰り返しも子供が好きそうな構造の曲になっていますね。
最初音楽は「音」でしかなかったはずが、言葉の意味をとらえて意味を伝える「歌」になりました。
流行りの曲は脳に良い?!
実は昭和の歌謡曲や演歌なども好きです。キャンディーズなどの昔のアイドルの曲はよく聞きます。子供の脳が発達するような曲は流行るのだと思いました。そういう曲には何か人の心と脳を癒す何かがあるんでしょうね。
音楽療法は普通のピアノのレッスンに比べても高額ですがYoutubeなら0円です。それに好きな時に見ることができます。効果の出やすい曲の法則というものは確かにあると思うのですが、その子が好きな曲がどんなものなのかを見極めて見せてあげるのが一番だと思います。
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