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子供の病気の技術を大人に活かす#2売れる音楽を作る4

aeoの法則を元にした音楽療法の発見からいろいろな音楽を見てきました。

今回は新曲を発表したばかりのReolちゃんです。私の子供は彼女が大好き。歌の上手い人から順番に好きなのでReolちゃんは好きな女の人ランキングではかなり上位です。特にバトントワリングの振り付けが大好きで真剣な顔で見てあの難しい曲を完コピします。ライブ音源のすべてを丸覚えしようとする意欲と口周りに残る麻痺との兼ね合いが難しく、発音が上手くできないとめんどくさくてダンスのみに徹します。中盤の早口の部分とても難しい。

では歌詞から見ていきましょう。

まずは「たい」から。驚くべき「い」の多さ。ヘビロテ要素は十分ですが歌詞が子供向けではないです。ちょっと聞かせられない内容も多いし、この部分はどういう気持ちで書いたのか?と確認しなければ彼女以外の誰もわからない部分も沢山あります。でも聞くとかっこいいのでアリです。

たい

これをいつもの法則でチェックしていくと…。

①フレーズの最後の音が母音の「あ(a)」「え(e)」「お(o)」で終わっている曲はよく聞く➡良い音
②フレーズの最後の音が母音の「い(i)」+休符で終わっている曲は嫌がる、歌の途中でも「い」と「休符」が入っていると嫌がる➡悪い音
③「きっと」「ずっと」「もっと」「ちょっと」という促音も好き➡良い音
④同じ歌詞や同じフレーズの繰り返しも好き➡良い音
⑤フレーズの最後の音が母音の「い(i)」で終わっても「い」と「に」の場合は問題がないことが多い(き、し、ち、ひ、み、り、ゐはダメ)➡悪い音の回避
⑥フレーズの最後の音が母音の「い(i)」で終わっても次のフレーズの最初の音が「い(i)」で始まるなら問題がないことが多い。う段も同じだが、い段はい段、う段はう段の場合だけよくて、い段とう段が絡んだ場合はダメ。➡悪い音の回避
⑦母音が「あい(ai)」「いあい(iai)の単語が入ると良い➡良い音
⑧「aiai」と繰り返すものはもっと強い効果がある➡良い音
⑨aiを伸ばす音はさらに強い効果がある➡良い音
⑩aaaのように連続する母音は強い効果がある➡良い音
⑪「ポジティブな意味の単語」の量と「ネガティブな意味の単語」の量が1:1だとネガティブな言葉の威力の方が大きいので「明るい歌詞」と「暗い歌詞」があるなら明るい歌詞の分量を多くしないといけない
⑫「希望の意味の歌詞」で歌を終了させる
⑬暗い意味の歌詞の後には希望の意味の歌詞で否定する
⑭サビの中にある悪い音は被害が大きい
⑮音の数が増えてくると無音ができた瞬間にその場所が悪い無音になる
⑯前奏はないか、サビ同然のメロディがないとダメ
⑰「聞く」という行為に集中できるように音の層が厚い曲が良い

特徴としては、aeoは比較的多いもののiuもある程度はあります。ただし「い」が多い上に、その母音が「ai」であることも多いです。そのため、痛みを感じながらも癒しの効果も感じているという、リストカットしながら治療を受けまくるようなイメージ。鬱音の数は26です。これは多い。

たい3

繰返しも多いですし、「いいな」を繰り返すと母音はiiaiiaiiaiia。これをつなげると痛いの母音と同じでiaiが間にたくさん入っているんですよね。ただ見ての通り回避技はほとんどないです。回避していないというよりはそもそも全然Reolちゃんはこの時点では全く気づいてなかったんだと思います。

そして一番売れた曲が第六感です。

第六感という漢字3文字は第の母音がaiで六感の部分が促音です。iuもまだまだたくさんありますが、彼女は「ai」の人なので「い」が入ってしまうのは仕方のない事。それでも「き」や「し」ができるだけ入らないようにしつつも、歌として魅力的に成立できるように工夫してありますよね。この歌は「ん」をほかの歌よりは使っているかなという印象です。鬱音は14です。

第六感3

Reolちゃんの歌詞の特徴としては全体的に苦しんでる感じで「~したい」という欲求は訴えるものの、結論がない。良い悪いもない感じ。そういう構造の歌なんでしょう。歌詞云々というよりは彼女の歌唱が素敵。それが魅力。

そして新曲の「boy」はこうなっちゃいました~!

aiの人である彼女がaiを削ってでもaeoを増やしてる。麻痺やUのように決まりきったフレーズで逃げ切るようなことはしなかった。曲調はReolちゃんっぽいですが、今までと違う。売れたい気持ちが前面に出てる。

その結果、加点が少なかった…。
そしていうほどのaeo曲にはなっていなかったんです。きっと「い」と「に」は被害が少ないからスルーされるという母音のいの例外を知らないんです。い段とう段を避けようとしたら「たい」を入れられないからそれを避けたら加点が減ったんです。これによる鬱音31個は多い~!

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この曲からわかるのは、「彼女は元々aiとiの人だった」ということです。加点の凄みはaeoを凌ぐ。

【たい】最後/愛/だし/暮らし/したい/褒められたい/愛されたい/いない/到来/最高/気づかれたい/救われたい/馬鹿になりたい/いい思いしたいな/以外/占い/憂さ晴らし/いいな/

【第六感】みたい/若い/物足りない/弾きあいたい/したい/第六感/くだらない/言い合いたい/感じたい/泣いて/以外/年甲斐ない/揺るがない/

【boy】いない/慣れない/あたし/見合い/出ない/わかり/愛/最後/最適/

ai関連のキーワードの数でもこれだけ違います。

そしてその後の曲は逆に母音のiをとことん極めたような曲を作りまくっている。それがいい!声が「い」に合ってるんだから

あれ?同じ曲でも歌ってる人によって変わるの??
声質によって合う合わないがあるってこと?
Reolちゃんの場合はiu曲でも引きこまれる何かがある。
それってどこから来るの?

ということで、私の大好きな韓国人ボーカリスト Raon Leeちゃんで怪物を聞き比べてみましょう。

彼女は最近日本デビューが決まりました。おめでとう!去年の夏くらいからずっと知ってる人に「見てみて!」といっておすすめしまくってた甲斐がありました。

そしたら案外母音を飛ばして歌ってるものだから、鬱音ザクザク。

「せずに」が「しぇずに」、「あるべき」が「ぅあるヴぇき」になるとそれはもう違う。「強く」も「っとぅよく」に近い。

試しに別の曲でも。

「傷つけ」が「きぢゅちゅけ」みたいな細かい発音の違いがちらほら。これは日本語激ウマな彼女でも微妙に入る癖ですね。そしてこれは100%の鬱曲な仕上がり。

細かい発音の違いで、単に歌詞の母音がどうとかはいえなくなる???


試しにめいちゃんと聞き比べてみると一目瞭然。

この「夜もすがら君想ふ」も完全なaeo曲です。ガッツリ加点が入って鬱音は回避と否定で1か所もない100点満点の曲ですが、めいちゃん以外の人が歌うと鬱音だらけのヤバイ曲です。なにせ無音の鬱音が凄いから…。

めいちゃんバージョンで加点計算したらこんな感じでした。鬱音は0個ですよ!青い丸も回避技で否定されてて被害は0です。

夜もすがら

めいちゃんは「ああ~」「いえ~い」「うぉうぉういえぃいえぃ」とか入れまくって「普通の曲を息継ぎのない難しい曲に仕立てることで無音の鬱音を回避しているんです。1日50回連続して聞いても頭痛しない!

こういう細かい歌い方の違いで、同じ歌でも鬱曲化することもあればしないこともあるんですね。もしかしたらiu曲でも歌い方次第で回避できる法則が見つかるかもしれません。そしてReolちゃんは昔からずっとそれができていたのかも。今後aeoで作曲する人が増えても彼女はそれに翻弄されず自分にしか歌えない歌をたくさん作って欲しいです。


そして私の子供はめいちゃんが歌う「夜もすがら君想ふ」は最初から最後まで歌えます。これはちょっと面白い。

これがたとえ脳にダメージがあって手足に麻痺がある子供が喜んで聞く歌の構造そのものです。

ずっと聞いているとだんだんと発音できる音が増えてしゃべれる言葉の数も増えました。音楽療法的な効果を感じられる凄い曲です。

・気分が明るくなる
・大きな声を出す
・手を動かして喜ぶ
・笑顔が増える

おそらくこういう特徴は元気な人なら普通のことです。「ただ笑っただけでしょ?それが何?」と思われるようなちっぽけな違いです。

でも脳性麻痺の子供にとっては普通ではありません。特別調子のいい時にしか見られない「良い事」です。

めいちゃんの夜もすがら君想ふは私の子供がヘビロテする曲で、喜んで聞くので聞かせまくっていたらいつの間にか歌えるようになっていました。

・メロディを覚えていて、リズムにのって体を動かす
・鼻歌を歌えるようになる

最初はサビの部分しか声を出さなかったのに気づいたら歌えるフレーズが増えていて、今では全部歌えます。このややこしい歌詞を間違えません。

・覚えた歌詞を忘れず時間が経過していても間違えずに歌える

これだけ歌えるようになったら十分だと私は喜んでいました。でも驚きはもっとたくさんありました。歌の中に出てきた単語は普段の生活でも使えるようになっていたんです。

・自分で思ったことを他人に伝えられる
・意思の疎通ができるようになる

そしてなにより、口元を一生懸命動かすことで「麻痺が改善」していました。口元を触っても前のようにビリビリと電気が走るようなしびれを感じてはいません。感覚過敏も減ってきているんです。運動機能の改善って大きいですよね。そしてこの曲を聴いた日はずっと笑っています。

これこそ音楽療法の醍醐味でしょう。


そういえば。

aeoとか、無音回避とかai加点とかいろんな手法はありますが、夜もすがら君想ふの中で一番効果が高いと感じたのは「暗いイメージの歌詞」を「希望で否定」するという手法です。脳は良いイメージの事柄そのものよりも希望が好きなのかもしれませんね。

このシリーズで紹介した歌の中でめいちゃんの夜もすがら君想ふはYOASOBIのラブレターと同じくらい明るい曲です。脳は明るい曲を求めているんだと思います。人間がどんなに苦しくてもあきらめないのは、脳がそれを大好きだからです。

希望が大好きなんですよ!


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