AIにロボットを描かせてプロンプトの構成力を磨く
私は自分の人生で一度もロボットに興味を持ったことがなかったのですが、AIアートを始めてみるとロボットの絵を描かずに済むはずがない程、いろんな人がロボットの絵を描いています。
「なぜか?」というとそれは当然「楽しいから」です。
ロボットを描くということは「プロンプトの応用力を試される良い課題」でもあります。別にロボットを普段一切描く予定がない人であっても、ロボットの課題に取り組むことは自分のプロンプトの構成力を上げていくのに役立つと思うのでちょっとこの記事に注目してみてください。
でははじめてみましょう。
まず私はロボットと言えば「ガンダム」という4文字以上の知識はないくらいの普通のオバチャンですから、描こうと思ってもかけません。
一番最初にロボットを描こうと思ったときにとりあえず「ガンダム」と普段使っていたプロンプトに足して描いた絵がこちらです。
これは全然ダメだわ…。
ということで
強力な助っ人を呼びました。
ロボットと言えばこの方、tttpppさん。
できるだけ頼らず自力でできるところまで行ってみて、困ったら聞く、困ったら聞くというパターンで進めていく予定でしたが思った以上にたくさんの方からアドバイスをいただいたのでサクサク進みました。
目標は「人型ロボットのカッコいいやついっぱい作る!」です!
さあ、始めてみましょう。
プロンプト自体はものすごくシンプルです。
A new humanoid robot. 3D, photorealistic. hyper quality, margins. Bright light, shape focus --ar 2:3
意味は「新しい人型ロボット。 3D、フォトリアリスティック。 ハイパークオリティ、マージン。 明るい光、シェイプ フォーカス --ar 2:3」です。
新しい人型ロボットというのが主語です。それだとこういう形状になります。ここをもっとカッコよくしていくにはどんな言葉を足していけばよいでしょうか?
まず色を入れてみましょう。
これが白色。
赤と黒に加えてミリタリーって入れてみました。
黄色と黒、産業用。
産業用をやめてスケルトンと入れてみました。
これにシンプルなマスクと入れるとこうなりました。
ロケットランチャーを持たせるとこんな感じ。
ここで油田教授が「アナトミーデザインって入れてみて」と言うので入れてみました。
わかりやすいように色を変更したのですが、どのロボットを見ても全部一緒に見えてしまうオバサンなので「よくわからない、できたら空を飛ぶような子がいい」とそのまま伝えたところ、次のように。
羽根か…。
わかりやすいと言えばそうなのだけどカッコよくはない。
なんだかひざ下が短いですよね。もっとヒーローはすらっとした長い脚でないと。
あしながに見せるためのワードをいくつか試して相性の良いものを探します。8頭身とか「背が高い」とか「痩せている」とかいう単語ではだめで、「ひざ下が長い」と直接的な表現をしたら少しだけ変わりました。
さらにつやのある感じにしたかったので光沢を出すためのプロンプトを入れます。
普段テストによく使うアヌビスを投入。ロボットだと私にはわかりにくかったけどアヌビスだったら一目で違いが判ります。このプロンプトでいい!
そこで主語を変えてみることにしました。
「A new humanoid robot.」がこの絵をダサくしている犯人だと思ったのです。
主語は天照大神にしました。理由は有名な神様を外国で探したのですがどうもしっくりこなかったので、日本の神様を使ってみただけ。
それで「cloak, drape.」という単語を加えてみました。これは「神様って布地をばたばたさせてそうな感じするな~」という私の勝手なイメージからです。
悪くないし、評判も良かったです。
ちなみにアポロン。
アルテミス。
須佐之男命。
プロンプト自体はスタート時のものに対して
・未来感を示す単語
・スサノオの名前
・ひざ下は長く
・表面のつや感
・フィギュア
・色の指定
・シンプルなデザイン
・パイルバンカー、巨大ドリル
パイルバンカーや巨大ドリルはリクエストがあったので加えてみました。反映しているかどうかわからないままとりあえず回します。
光るのも悪くない。
このあたりのデザインにはすぐに飽きました。
そこで主語をこのように変えました。
full body character design of Mecha.
慣れない主語の場合AIはしばらくきれいな絵を描くことができません。無言でしばらく回します。
でもなんだか…ちょっと違う。
私はなんだかこうドラム缶みたいなドーンとしたデザインのものが見てみたいのよ。ということで単語を組み替えます。
うーん。ここまで丸くなるとは。
ちょっと前の工程に戻ります。
具体的にどんなパーツを描くのかという指示を出すよりもイメージの表現を増やします。「洗練された」「シンプルな」と言うように。
でも飽きてきたので違うのに行きます。
「ロボット」という単語以外になんかないんかい!と私が愚痴るとtttpppさんが「メカがある」というので「そんな単純な単語だけでロボットを描いてくれたら苦労はしない!」と思いつつ書いたら出ました凄いのが。長い文章よりもたった一言のほうがいいなんて。
メカ悪くない。
ちなみにこの絵のプロンプトがこちら。ガンダムという単語を入れてみましたが私の知ってるガンダムではないです。
Mecha. Gundam.anatomy designe.dark color. simple. 3D, photorealistic. margins. Bright light, shape focus. white background. --ar 2:3
スタート時のものとほとんど変わってないです。
このプロンプトの主語を天照大神に入れ替えます。色が変わりました。主語が持つ色味が白赤金黒だというのがわかります。そして少しシュッと炎が燃えるような形状をしています。太陽の神様だからでしょうか。形状にも影響があります。
でもちょっと雰囲気を変えたいので「スレンダー」という単語を入れてみました。大幅に変わらないですね。
そして色の変更をかけてみました。
主語は「色と形」の意味合いを含んでいるということもわかりました。でもこの作業を延々と続けていると「色にも形状に与える意味が存在する」ということが実感としてありました。
色をちょっと変えるだけでこんなに描かれる形が変わってくるんです。
ロボットを描く中でそれがとても重い意味を持つのだということがわかってきました。
試しにいろいろな主語を足してみました。こんなふうにクチャクチャになっちゃいました。なんでも混ぜればいいというわけではないようです。
元々私が死神+ゾンビ+鮫で描いていたサイバーパンク画像にメカを加えてみました。確かにロボット風だけども何かちょっと違う。
今度は素材の名前をいくつか入れてみます。これも形状に変化がありました。
いっそ丸い形にしてみよう、金属の名前も増やしてみようと思って入れまくるとこんなことに。
丸すぎるので調整します。
金属素材から鉱物に変更。
また飽きてきたので私が普段使っているキーワードを一番最初のプロンプトに2つ足しました。今までに加えたものは全て削除。
あえてこれに豹を加えてみたら人を超えて豹っぽくなりすぎたので却下。
このあたりからは惰性で単語を入れ替えながら回します。全く頭を使わずに単なる作業。ガンガン回してあたりを引くまで続けます。
これを天照大神に転用します。
なんだかこれはもうロボットじゃないですね。
そこで武士に主語変更。
油田教授が「ツヤツヤさせよう」というのでつや出ししてみました。お尻の曲線がなぜか美しい。
このあたりから「ロボットってそもそもなんだっけ???」というような元も子もないことを考え始めます。哲学的なことを言い出したらやめて寝るのがよろしい。休憩大事。
透明にしてみたり。
色で形状が変化するなら虹色を使えばどうなるのかやってみました。丸っこい形に。
ならばもっと丸く!
いろんな形を出してきますね。これ綺麗。
こうなってはもうほぼほぼボヤです。
微妙に崩れたりぼやけたりしていたのを画風指示などをいじりながら微調整します。
このままの形で煙を排除。
何もないと退屈なので光らせておきましょうか。
油田教授が「金属加工に関わる表面のコーティング方法について調べる」というような内容を言っていたので私も片っ端から入れてみる。
下町の工場の専門用語を入れてみたところいい感じの表面に。
たったそれだけで形状がこんなにも変化した。
これに色変更を加える。
つやっつやに。
背景に砂漠という単語を入れてみると形状はさらに変化。
黄色の指定をしてみましょう。
重機と指定しました。
このあたりでちょうど飽きました。
さあまとめてみましょう。
ロボットを描くときは
・ロボ
・ロボット
・ヒューマノイド
・メカ
などの単語を入れて描きます。これを主語にする場合もあれば、別に主語を用意することもできます。別の主語を使った場合は「その主語が持つ色や形の要素がはっきりと出る」ことがあります。
同時に
・色の指定
・形の指定
・素材の指定
・大きさの指定
・イメージの指定
などを行うことによって「ロボットの形状やデザイン」に影響が出ます。
もちろん「〇〇なデザイン」という形で直接指示することもできますが反映するかどうかは他の単語との相性によります。効果の高いものもあれば低いものがあり、滅多にないので効率は悪いです。指示が通らなければ当然「デフォルト画像」っぽいデザインになります。
特にガンダムやエヴァンゲリオンなどの単語を使うと、それっぽいようでそれっぽくない画像が作られます。しかもどこかしらが崩れていてきれいな画像になりません。画家の名前やいろいろな商品名などを組み合わせてもどこかしら「劣化コピー感」が否めないので、AI絵を本気で好きで描きたい人はそこを狙わないような気がします。かっこいいかどうかでいうと、「ありふれた感じがしてカッコ良くない」と誰もが思うと思います。
ではカッコいいロボットのデザインのために必要な単語とはどういうものかというと、「普段絶対にこれはロボットとは組み合わせないだろうな」というものかも。最後のふわふわ浮いているカワイイやつは「透明なビニール素材」でできたものです。中には空気が入っているという設定のロボットです。しかも虹色の煙が出ているんです。
私は最初「ロボットに詳しくないと良いロボットは描けないだろう」と思っていました。でもやればやるほど何がロボットで何がロボットではないものなのかよくわからなくなってきました。そのうち「機械でできていて人の形をしていてなおかつ見たことないものなら何でもよかろう」などと割り切れるようになってこういうものを生成しました。
異なる素材を入れたり透明にしたり光らせたり、プロンプトの技術を詰め込んだロボです。もう指示できることはてんこ盛りですね。
AI任せのプロンプトもありますが、自分で細かく指示を出せるからAIアートは楽しいですね。
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