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女系の遺伝子をつなぐ家5
以前私はラフティングが趣味だった時期がありました。普段パソコンに向かって仕事をしていると反動で激しく体を動かしたくなるんです。しかし生まれ持っての低緊張のこの体。球技などは突き指必至。走るとすぐに胸が痛くなるので長年運動とは無縁でしたが、ラフティングは面白くてすぐに激流中毒になりました。
ラフティングはアグレッシブな川下りです。限界まで激流を楽しみたいからこそ私は一番前に陣取りたい!ラフティングは一番後ろにいる人が前にいる人に大声で指示を出します。一番前にいる人がその指示を聞いて漕ぐと後ろの人が続く感じです。私は普段仕事で人に指示を出してばかりだったので、他人から指示を出されることがあまりなくてそれが快感になりました。指示に対して100%正確に応え、やり切った時の爽快感といったらもう!!キャニオニングも気持ちよくて大好きでした。
それで毎週のように大歩危小歩危に通っていました。ただラフティングに通うのは遠いですね。
シーカヤックならもっと手軽に近場でもできそうだなと思って始めました。瀬戸内海の小さな島をカヤックで巡るツアーがあってそれに参加していました。
その時興味深い出来事がありました。
ツアー終了後にそのガイドさんたちと居酒屋で話をしていたら、その話が面白かったのかお店中の人が聞き耳を立てていたんです。特に隣の席に座っていた男の人が真剣で全身で聴き込んでいる感じ。
ガイドさんはこう言いました。
「瀬戸内海には入らずの島というのがいくつかあって、そこは大抵ものすごく風光明媚な絶景スポットなんだけど昔から知っている人たちはどんなにきれいな場所でも絶対にいかない。それなのにどうしても連れて行けって聞かない人がいたから何回か連れて行ったことがある。
なぜそこに行ってはいけないかというと、大昔は島々で流行り病がでたりしたら病人を別の島に捨てに行ってた。治療法なんてなかったし、大きな大陸とは違って小島だから一気に病気が蔓延して島民全部が絶滅する。だからちょっと病気が出るとすぐに別の島に捨てられてた。でもそれは殺すようなものだから親なんかからしたら忍びない。せめて景色の綺麗なところで最期を迎えさせてやろうという気持ちが働くのか、人を捨てに行く島は大体がきれいな島ばかりなんだよ。でもどんなウイルスかもわからないし、時間が経っているとはいえ何が残っているかわからないから今でもその島には上陸してはいけないということになっている。
この近くにもそういう島が1つあってとてつもなく景色の綺麗なところなんだけど、この島には高い山がありその頂上には神社があるんだ。石段を上がっていかないといけないから大変だけど、下から上を見上げた時に時々女の子を見ちゃう人がいる。その女の子に下から声をかけると返事をして手を振り返してくれたりする。だけど石段を上がって上の神社に到着するとどんなに探してもその女の子はいない。お参りをして石段を下ろうとすると後ろから声をかけられ、振り返るとブワッと風がふいて追い抜かれ、気が付くと女の子は階段の下の方にいる。追いかけるけど追いつけない。そして降りてみるとやっぱり誰もいないし彼女が乗った舟もない。皆がみんなその女の子を見れるわけではないんだけど、その女の子を見た人は必ずその後仕事で成功して大富豪になるんだよ。だけど必ず急に増えすぎたお金のせいで家族と骨肉の争いをするようになって一家惨殺みたいなことに。という言い伝えがある。
これだけだったらただの怪談話だけど、実際にこの辺ではそれを見たという人がいて本当に亡くなっている。大昔から時々「金さえ入れば後はどうなったっていい」と考える奴がいるものだし、リスクを覚悟で島に上陸してしまうんだ。
この現代で祟りなんて誰も信じはしないと思うけど自分も何人か連れて行ったことがあって、見た人は今本当に成功している。大企業に成長させてる人もいる。幽霊を見る前はチャラ男だったのに次の時にあったらピシっとしたスーツを着ていてまるで別人みたいになってた。本当に人間が中身から全部変わったみたいで仕事ができるようになっていて驚いたよ。ガラッと変わるから恐ろしくて。
ただその中の数人は一家惨殺ルートに入らずに、息子や孫に事業と資産を継承している人もいて、祟りを避ける方法を見つけたんじゃないかとこの辺の人は言っている。でもそれを知っている人間はその人達が恐ろしいから近づかない。
それとその島で何かを見つけても絶対に持って帰ったらいけないと言われている」
それ以上は教えてもらえなかったのですがお店の中にいたお客さんたちは皆「行ってみたい、楽しそう」などと言っていました。話だけ聞いていれば、肝試し感覚で行ってみたくなりますよね。ただ唯一隣の席にいた男性だけがブルブルと震えていたのが印象的でした。
私はこの話を聞いた後にこういうことを知っていそうな親戚の人に連絡を取って「知っている?」と聞きました。するとその親戚は電話口でこう言いました。
「その女の子を見るのは大抵男で、女性が行っても見た人はいないの。実際に私が島に上陸したときは何も起こらなかった。成功もしなければ一家惨殺もない。何も見えなかった人には何もない普通の島。景色の綺麗なただの島よ。だけど問題は何かを持って帰ろうとした人。その島で見つけたものを持ち帰ったらいけないんだよ。持って帰ってそれを人に見せびらかしたりしたらもっといけない。家宝にするとか言っているとそれの取り合いになって、気が付いたら家が滅茶苦茶になっている。何も持ち帰らなかった人は幽霊を見てもほんの一瞬大金が入るだけで良いことが続いたりはしない。女の幽霊を見て何かを持ち帰った人は恐ろしいほど金が次々に入ってくるようになるけど必ず酒池肉林の末に誰かを殺したり殺されたりして死んでしまうんだよ」
私は気になっていたことを聞きました。
「一代で必ず没落するジンクスを破って何代も資産を継承している家があるって聞いたんだけどそれは誰?」と。
すると彼女はとても言いにくそうにこう言いました。
「それは知らないほうがいいよ。最近はこの辺にも大勢人が住み始めたけど、昔は人は少なかったからその話は年寄りだったら大抵知ってる。やつらが何をして祟りを避けているのかは誰も言わなくてもわかってる。確かに奴らが大きな会社を経営して経済を発展させて地域に貢献しているということは事実だけどあの一族にだけは絶対に関わっちゃいけないよ」
私が一家惨殺ルートの回避の仕方をしつこく聞き出そうとすると、
「あそこはもう何十年も何か工事をしていて、長い間完成もしていないのにずっと何かを作ってるの。私が若いころからだから40年以上ずっと完成しない何かを作ってる。最初は橋だって言ってたのに橋なんて全然できなかった。あれは何なの?昔からあの辺には人柱の風習があって、橋なんかを作るときは人柱を埋めたの。あいつらの家では誰も死んではいないけどその周りの人間は沢山消えてるから異様でまともな人はあの一族には近づかない。」
と半分泣きそうな声で言いました。
それって誰なの?どの家のことを言っているの?とは、聞けない雰囲気でした。
人柱といえばこちらを思い出します。服部の大池のお糸さんの伝説です。
よく母方の祖父が連れて行ってくれました。当時は大きな石碑が立っていて「人柱なんて惨いことはもう二度としたらいかんからな」ということを祖父はよく語っていました。
1643年頃に福山藩主の水野勝成が灌漑事業として神谷治部を総奉行として服部川をせき止めて作らせたため池です。1645年に完成した農業用のため池で現在も利用されています。この工事が困難を極めたらしく堤に人柱が捧げられました。この時16歳のお糸という女の子が条件に合ったらしく生き埋めにされたそうです。
祖父はこの時の話をとても詳細に話して聞かせてくれました。なぜそんなに詳しいのかと聞いたところ「人間が犯した間違いを忘れてはならないから次の世代に必ず話して繋いでいかなければならない。」と言っていたんです。その「人間の犯した間違い」というのは人柱をたてたということではなく、彼女に決まった理由の部分です。
この時「着物の袖が破れて取れている娘」という条件で人柱を探したそうです。インターネットで探すと「つぎはぎの袖の子」という記載が多いですが「袖のない子」と私は聞かされました。お糸ちゃんは村でも有名な美人だったと。
祖父が教えてくれた話は「お糸さんの着物にはちゃんと袖があったのにお糸に恨みを持つ人間が袖を破って人柱に仕立て上げた」というものでした。
・お糸さんには恋人がいて横恋慕をした人間が袖を破らせた
・本当は袖の破れていた女の子はほかにいた
・大きな声を出してお糸さんの袖が破れていることを知らせたやつがいた
そして恋人は悲しんで溺れ死にました。
祖父はこの事件に関わった複数の人間の子孫の苗字を繰り返し私に言って聞かせてくれました。
これは人柱を利用した殺人事件だったのにその犯人のことを当時罰することが出来ませんでした。だけどその犯人のことを忘れてはならないと言うんです。
その犯人の子孫はその後数百年間ずっと非道の限りを尽くしていて、代が変わってもその家の人間がやることは何も変わってはいないのだと言っていたんです。騙したり奪ったり人を傷つけることを何とも思わない一族なのだと。
一般的には人柱という風習が良くないことであると道徳の教材として使ったりしますが、地元の人間が長い間ずっとこれを忘れずに伝えてきた理由は全く別のところにありました。
それは「お糸さんを殺した犯人の一族は子孫も代々ずっと非道なことを繰り返しているから関わらないように気をつけなさい」という忠告です。
犯人たちには権力があり、庶民は正しい方法で彼らの罪を罰することが出来なかったからです。
その3つの苗字のうち2つを私は忘れてしまいましたが1つだけは覚えています。祖父が仕事の関係でその子孫の人に詐欺に近いことをされて怒っていたせいで繰り返し聞かされたからでしょう。
電話口で「関わり合いに絶対なっちゃダメよ」と遠縁の叔母さんが言ったとき、ふとその苗字を思い出しました。
そしてその島をgoogleマップで探そうとすると必ずその苗字の人がやってる会社の名前が目立って表示されるんです。
その後しばらく経ってAmazonがおすすめしてきた人気の漫画を読んでみるとなんだか滅茶苦茶知っている話がモチーフになっていました。現在は休載されています。
ネットで調べると「モデルは百島」と書いてありましたが、私が聞いた島とはちょっと違いますね。
・瀬戸内には絶景の入らずの島が存在する
・その島には山の上に神社があって女の幽霊がいる
・幽霊を見た男性が島にあるものを持って帰ると仕事で成功して富豪になるが驕奢淫逸な生活を送った末一家惨殺される
・幽霊を見た人は別人のようになる
・富豪のまま一家惨殺ルートを免れ身代を子孫に伝える方法があるが、人柱が必要
聞き忘れていたんですが「島にあるものを持って帰る」っていったい何を持って帰ったんでしょうね。漫画の中では気持ち悪い像でしたが実際はなにでしょうか。家宝にしたくなるようなものなんですよね。日本古来のお宝といえば剣と玉と鏡ですがただの石とか流木とか砂とかではないですよね。
「見たら富豪になる」というのは先日シッターさんから聞いたばかりです。
静岡県の神谷のお不動さんで白蛇を見たら大金持ちになるという伝承です。
これはシッターさんのお父さんがお友達と一緒に見に行って、そのお友達だけ白蛇を見たらしいんです。そのまま蛇を連れて帰って、次の日会うとそのお友達はまるで別人のように性格が変わっていて、そこから仕事を大きく発展させて製紙会社を作りました。有名になったけれども結構悲惨な話が多く一家で苦労をし、子孫の方もかなり苦労をされたようです。逮捕されたり借金だらけになって会社を手放す羽目に。
殆どの人は行っても白蛇なんて見えないらしいですが、この製紙会社の創業者の人の話からすると条件はそろっています。
「他の人が見れないものを見れた人が何かを持ち帰ると出世するが別人のようになり、お金は沢山入ってくるが不幸なことが続いて家族はバラバラになりお金も命も無くなってしまう」というこのパターン。
成金が親族で金の奪い合いをするのは普遍的な出来事なのでしょうか。
伊豆半島の南に神津島という小さな島があります。こちらも見事な絶景スポットが沢山ある島です。島の名前は以前は「神が集まる島」と書いて神集島と言ったそうです。神様がこの島で水の分配について相談をしたという場所があってその名になったそう。
ここに長浜海岸という場所があるのですが、看板が立っていて「ここにある石を持ち帰ってはならない」と注意書きがしてあります。海岸にあるものは全て女神さまのものだから持って帰ると神罰が下るというような雅な言い方でやんわりと圧をかけてきます。
この島にはモノを持って帰ると幸運が訪れるというものはありません。ただ持って帰るとロクなことがないぞというだけですね。
日本全国を探せばこういった場所は案外見つかりそうですね。
神津島はぜひ一度は行ってみたくなるような美しい島です。
それはさておき、以前紹介した岩屋権現に先日行ってきました。
その日は天気予報では降水確率90%だったのですがシッターさんが「雨は降ってもお昼の12時以降だよ。それまでは曇りか晴れだから行っておいで。大丈夫絶対降らないから」と言うんです。シッターさんは天気図が読めるのでいくつかの資料があれば結構な精度で天気を当ててきます。
私は前日に玉川温泉で知り合って仲良くなったおばあちゃんと電話していました。
「その辺クマが出るから気を付けてね?落石も多いところだから本当に気を付けて行ってきて」と、ものすごく心配してくれていたんです。
このおばあちゃんは昔はこの辺りに仕事でよく来ていたらしくて、彼女と仲のいい薬屋さんのおばあちゃんもこの辺りにお墓があるからよく知っていたんですよ。
クマ出たらやだなぁ、雨が降ったらやだなぁと思いつつも行ってみると一日中晴れていました。
岩屋権現はこんな感じの鳥居からスタートします。私は最初に入り口がわからず変な方に登って行ってしまって迷子になりました。周りは「藤井」という表札の家が立ち並んでいて藤井さんの集落という感じ。この鳥居の裏側にも藤井さんの名前が入っていました。
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ナビに住所を入れていくと凄くくねくねした山道を通ることになりますが国道182号線を通っていく方が断然早いし運転が楽です。
横にこんな看板が立っていていろいろ書いてあります。
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岩穴宮(いわなぐう)、岩屋権現(いわやごんげん)、原谷(はらたに)の権現さんと言われているそうです
「御祭神は下道国造兄彦尊(しもつみちのくにつくりあにひこのみこと)とあります。高梁川より西の小田川流域地方の古い地名と思われるとあります。川嶋縣(かわしまのあがた)の国つくりをされた神 下道臣(しもつみちのおみ)の祖」と書いてあります。
ホツマツタヱを読むとこの「下道」というのがどういうものなのかちゃんとわかりました。吉備には「吉備上道」と「吉備下道」とあって、中国地方が荒れていた時代はその地域を統治していた人間が話し合いで解決させたというようなことも書いてあります。
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ここには応神天皇が淡路から小豆島、葦守宮に遊びにきたときに「御友別」というものが一族こぞっておもてなしをしたところ、天皇は非常に喜ばれて長男の稲速別に吉備の下道国という場所の管理を任せたんです。
この下道氏の墓というのが岡山にあって遣唐使で有名な吉備真備の祖とされているようです。下道というのが吉備真備の本当の姓で下道真備。孝霊天皇の皇子である稚武彦命の子孫とされる皇別氏族です。吉備真備は陰陽道の祖でもあります。
賢くて実力がある一族であったのでしょう。
こちらの墓の被葬者は吉備真備の祖母だそうです。銅の利用を時代に先駆けて行っていた証拠品が見つかったらしく、この一族が金属の精錬や加工にたけていたということや力のある豪族であったということがわかります。
凶悪な坂を必死でよじ登って奥に右手に神楽殿と立て看板があります。
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気になったのがこの赤土です。そしてこの空間、独特な香りがするんです。湧き水が奥の方を流れているんですがその水もこの赤土が混ざっているので同じような匂いがします。香る赤土です。そして赤い石がたくさん。
ホツマツタヱを読んでいるとこの赤い土ものすごくザワザワします。ヒルコは丹生の神と言われているし、不老不死の薬を作るときに赤い石を使って作るという噂をどこぞで聞いたことがあります。赤い石ってなんでしょうね?そういえばこの間行った石上の神社は赤磐市にありました。つながりがあるのでしょうか。ゲーム好きならヒヒイロカネという言葉を聞いたことがある人もいるでしょう。古代の伝説上の金属で草薙の剣もヒヒイロカネでできているそうです。
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外側には妙な穴が。何か棒でも突っ込んだらしっくりきそうな穴ですね。
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沢山アジサイが咲いていました。
玉川温泉で知り合ったおばあちゃんは「金運をあげるおまじないがあるからおしえてあげるわ」といってアジサイを使ったおまじないの方法を教えてくれました。
「土用の入りの日にアジサイを切ってきて白い和紙に包んで赤と白の水引でそれを結んで玄関や出入り口の天井なんかにつるしておくのよ。ドライフラワーになって干からびてもパラパラ花びらが落ちてくるようなことはないから心配しないで。これは必ず土用の入りの日にやるの。だから今年は7/19よ。飾る日はね、毎年違うのよ。それに切り花を買ってきてやっても意味がないの。だからやる前に鉢植えのアジサイを買ってきておいて当日はさみで切るのよ。それかお金持ちの人がいるならその人の家のアジサイをもらってくるのが一番縁起がいいわね。アジサイの鉢植えは梅雨時期は沢山売ってるけど7月も半ばになるとなかなか売ってないから早い段階で買っておくといいわ。アジサイのおまじないはほかにもあって6月の6のつく日に同じようにしたアジサイを玄関なんかじゃなくてトイレの上のほうに引っ掛けておくと下の病気にならないって言うのよ。その頃にはアジサイ祭りとかがある地方もあって鉢植えを沢山売ってるのよ。これを私も限界までお金がない時にやってそれから知らない間にお金が勝手に舞い込むようになったの。だからあなたも絶対やってみて。私の知っている人にもこれを教えてあげてね、うまくいくようになったのにその人キリスト教に改宗しちゃったのよ。そんな二股かけるようなことしたらうまくいかなくなるに決まっているじゃない?おまじないをするのに浮気はダメよ。10年もたたない間にその人沢山持ってたビルを全部売っちゃって何も残らなかったのよ」
このおまじないの話を聞いて、おばあちゃんのおうちのあちこちに干からびたアジサイが飾ってあったことに納得しました。玄関だけじゃなくもうそこら中にありました。そのおばあちゃんの家はビルの最上階にあるのだけどそこまで行くには2つエレベーターがあるんです。どちらも使えるんだけどおばあちゃんのプライベート用のエレベーターがあって、そこには特に沢山沢山飾ってありました。「コケたりして危ないなって思うようなところには飾るのよ」と言っていたので厄払いですね。
そして「キリスト教と一緒だと浮気」という言い方からこのおまじないは「日本の宗教的な儀式の一つ」なのでしょう。
このおばあちゃんは私の子供と一文字違いの名前なんです。名字も1文字違いでとてもよく似ています。でも仕事上の名前というのを持っていて普段は別の名前で呼ばれています。
温泉で知り合ったときにうちの子供と意気投合して仲良くなって「片道二泊三日かけて湯治に来る」と言ったら「うちに泊まりにくればいいのよ。ホテル代もったいないじゃない。うちならタダよ」といって誘ってくれました。温泉も同じ時期に予約をして待ち合わせていきます。
普段から頻繁に電話をしてはいろんな話を聞かせてくれるんです。
彼女が私と話すたびにおまじないの方法を教えてくれるようになったのは、私の実家で火事が続いたときに「祖父が屋根に水という字を六つ書いた」という話をした後からです。毎回おまじないを教えてくれて「熱が出ないおまじない」の話なんかをしてくれるんです。それは私の祖父がしてくれた熱冷ましのおまじないとそっくりでした。
彼女も名前が2つあって、おまじないをする地方の生まれなんですね。
そして「夏になったら熊野本宮大社に行きましょう。私の従弟の旦那さんがそこで宮司をやっていてね、私と行けば奥の方にも入れてもらえるから中でしっかり話をきけるわよ。車いすで入れる道があるから一緒に行きましょう。近くに温泉があって川遊びも出来るの。夏休みに子供を連れてくればいいじゃない。私が案内できないときはうちの息子に一緒に行ってもらうから問題ないわ、行きましょう」ととても熱心に熊野行きを何年も前からすすめてくれていたんです。
私が岩屋権現に行くと言ったときも「権現さんなの?岩屋??なんで行かなくちゃいけないの?」と聞いてくるので「ここ最近夢に祖父が出てきてお参りをしてくれなんて言うんです。もう3度も同じ夢を見ているから気になって気になって。小さい頃によく連れていかれたんだけどそこは龍神の女神がいるところで自分がお参りにこれなくなったらお前がかわりに来てくれよなと言われていたのに1回も参ったことがないんです」というと、「それは行かなくちゃ!それにそこは水が出るところがあるんでしょう?そこの水をもらってきて子供に飲ませるのよ。そうすれば病気は治るから!絶対飲ませるのよ?!」というので不思議に思って聞きました。
「どうして水が出るとわかったの?」と。
すると彼女は「龍神の神様だもの、そりゃ出るわよ。滝はない?近くに滝は?」とことごとく言い当ててくるんです。滝もあるし瀬織津姫を祀った神社も近くにあります。
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それで彼女は「私もいきたぃぃぃぃ!!」と言っていたのだけど足の骨を折って車いす生活をしているので私一人で行くことになりました。
岩屋といえば思い出すのは岩戸伝説ですがホツマツタヱにはある和歌が紹介されています。
記紀では太陽の神様が岩戸に隠れて世界は真っ暗になってしまったから岩戸の前でドンチャン騒ぎをしたら気になって出てきたという内容でした。
ホツマツタヱでも大体同じですが「オモイカネが計画してナガサキというトコヨの歌を歌って踊った」とあります。
こちらが長咲です。
「橘の木 枯れても匂ゆ 萎れても好や 吾が妻合わ 吾が妻合わや 萎れても好や 吾が妻合わ」
オモイカネの妻はヒルコですからこの歌詞どう考えてもヒルコのことを歌っていますよね。しかもカグの木が枯れたとかしおれたとか言っている。決して楽しく盛り上げたから気になって神様が出てきたなんて歌じゃないですよ。ヒルコはこの時死んでしまったと読み取れます。
しかも和歌なのに31音じゃないんです。何度も生命を現す「あわ」という単語を使ってるのもおまじないっぽいですね。
記紀でもアマテラスが岩戸に隠れた理由が「機織り女が死んだから」とあります。そしてホツマツタヱでは機織り部屋で死んだのは瀬織津姫の妹のワカヒメハナコです。ハナコはワカヒメなんですね。ということは、ヒルコは瀬織津姫の家の養女になって弟のアマテルカミの妃の一人となっていたということでしょうか?
それなら「姉のヒルコは親元に帰ってきた時は妹の扱いだった」と記述があるのも理解できます。ややこしいですが当時妹という単語には妻という意味と妹という名前の2つがありました。それは妹ではなく妹背の妹なら妻という意味ですね。
オモイカネとヒルコは元々夫婦です。こんな悲しい歌を歌うほどオモイカネとヒルコは仲が良かったのにアマテルカミの妃にならなければならない状況だったのでしょうか。
そしてソサノオの罪について瀬織津姫が「蘇りの法で生き返ったので死刑にまでしなくても良い」と助命嘆願をしています。
・死んだのはヒルコ
・蘇ったのはヒルコ
・蘇りの法を使ったのは瀬織津姫
,瀬織津姫は魂の尾をコントロールするカグヤマの呪法を知っていた
・蘇りを計画したのはオモイカネ
・ソサノオは悪者ではない
としたらヒルコを殺したのはソサノオ以外の誰かです。馬に潰されて死んだとあるのでそれが強姦を示唆しているという人もいます。ヒルコはソサノオの育ての親で仲も良かったのでそんなことをするはずもありません。
ヒルコは何者かに襲われて殺され、洞窟の中に捨てられて扉を閉じられた。オモイカネはそれを見て悲しい歌を歌い皆で助け生き返らせた。
そして犯人は厄と称して川に流され、日本語には許すことを「水に流す」という言い方をします。
日本だけではなく世界中に「厄を川に流す」という風習が残っているのも興味深いです。
以下にいくつかの例を挙げます。
まず日本では厄を払うために川に紙で作った人形(ひとがた)や供物を流す「流し雛」の風習があります。特に「ひな祭り」では、紙や草で作った人形を川に流して厄を払います。ひな祭りはアキコ姫がヒルコの為に人形を作ったことから始まったのでまさしくヒルコの祭りです。
中国の中元節(お盆)では、先祖の霊を慰めるために紙のお金や供物を川に流します。これは、霊を鎮め、家族の厄を取り除くための儀式です。
ブラジルでは海の女神イエマンジャに厄を流すための儀式が行われます。人々は花やキャンドルを海に捧げ、厄を取り除いてもらうよう祈ります。
ラトビアでは夏至を祝うヤーニの夜に干し草に火をつけて川に流すことで、健康や幸運を祈る習慣があります。これは、川の流れに乗せて厄や悪いエネルギーを遠ざける意味があります。
タイのロイクラトン祭りでは、灯篭(クラトン)を川に流して厄を祓い、幸福と豊穣を祈ります。水と花と光の祭典です。灯篭にはお祈りや願い事が込められ、川に流すことで厄を遠ざけるとされています。
古代ケルトの祭りであるサマイン(ハロウィンの起源)では厄を取り除くために儀式が行われ、人さらいをする悪霊を遠ざけるために自分たちも怖い姿の仮装をしてお菓子を配ったそうです。供物やお守りを川に流すこともありました。
インドのディワリの祭りは家庭や街を清掃し、川にディヤというランプを流して厄を浄化します。特にガンジス川は聖なる川とされ、多くの人々がここで厄を洗い流します。興味深いのはこのお祭りが「闇に対する光の勝利、無知に対する知識の勝利を象徴する、悪に対する善の勝利」を意味していて、クリシュナ神が女性を幽閉し臣民を苦しめたとされる悪魔ナラカを滅ぼした勝利を祝うというものです。16000人の女性をさらって来たとか10の頭を持つ敵を倒したという伝承なんて八岐大蛇っぽいですよね。
なんだか似ていませんか?
火をつけて光の復活を祝う祭り
女性や子供がさらわれた話
川に流す風習
甘いものを食べ花を飾る風習
女神信仰
世界中に残る文化そのものにヒルコとの共通点を感じます。それはもはや歴史や宗教を超え、人々生活に深く根付いて大切なものとなっています。
過去にどんなことがあったのかは知らなくても、多くの人が幸せを願う風習だけを繋いでいます。
そしてピッタリな曲を見つけました。
世界中に共通する愛と再生の祈り、そして赦しの歌ですね。
ただしホツマツタヱには気になることも書いてあります。
・蘇りや魂返しの呪法には本人の肉体もしくは生前持っていた遺物が必要
・蘇りの呪文が必要
・魂を完全に消滅させる法もある
・弔いをすることで転生させられる
何者かがソサノオ達によって成敗されたアマテルカミ・ワカヒトを復活させようとしていたなら彼の遺物の取り合いになるはずです。
それは間違いなく草薙の剣です。ミクサノミタカラとして天皇家で守り継がれていたものは、繁栄をもたらす宝だったのか。それとも悪を封じ込め復活せぬよう守っていたのか、もはや誰にもわかりません。
しかし小さな島々には「拾って持ち帰ると厄災を被る」という伝承も残っていて、その中にも共通する要素があります。
ヒルコが太陽と光の化身でオモイカネが知恵と誠実さの化身ならば、アマテルカミ・ワカヒトは悪意と殺戮と肉欲と嫉妬の闇の化身。
光と闇の戦いは今も続いています。
ただ1つ気にかかるのがワカヒトという名前です。明らかにワカヒメと対です。ワカヒトはワカヒメに失恋してトチ狂ったりしてないですかね。じゃないと姉を嫁になんてしないし襲わないですよね。
自分の嫁になるはずだった美人で人気者の女が知的なオモイカネに片思いし、周りもそれを応援しちゃったから引き下がれず、結婚しちゃえばと自分でも言ってしまった。
自分は知的でもないしオモイカネのようになりたくてもなれない。
その苦しさから大勢の女性をさらってきては手籠めにし戦争で大勢を殺してみたものの癒やされなかった。
ストーカー気質丸出しでヒルコを殺しても想いは叶わなかった。
それはまるでお糸伝説でお糸さんの袖を破らせた犯人がしたことと何も変わらないです。
それならなおさら彼に必要なのは赦しでしょうね。
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