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離乳食からわかった生体異物不耐症

まずは、私の子供が離乳食を食べ始めた頃に苦しんだ食品を見てみましょう。

食べられなかった食材と症状

・オートミール(呼吸停止、チアノーゼ)
・ごま(呼吸停止、チアノーゼ)
・チョコレート(けいれん、昏睡)
・ホワイトチョコレート(けいれん、昏睡)
・たまご(アレルギー、発疹、下痢)
・バジル(けいれん)
・とうもろこし(嘔吐、下痢、極度の低緊張)
・パッションフルーツジュース(昏睡)
・マンゴージュース(昏睡、下痢)
・パン(昏睡、ただしクロワッサンは食べれる)
・マカロニ(発疹)
・トマト(無理に食べさせたら酷い下痢になった)
・人参(嘔吐・下痢)
・カボチャ(嘔吐・下痢)
・キュウリ(無理に食べさせたら酷い下痢になった)
・サツマイモ(嘔吐・下痢)
・あんこ(不機嫌、奇声)
・ヨーグルト(下痢)
・じゃがいも(嘔吐・下痢)
・柿(嘔吐)
・もやし(嘔吐)
・スイカ(嘔吐)
・パッションフルーツ(嘔吐)
・ザクロ(嘔吐)
・なす(嘔吐)
・牛乳(嘔吐・下痢)
・ナン(下痢、ただし味はものすごく好きで食べる)
・キシリトールの味がついたもの(下痢)
・トレハロースの味のついたもの(下痢)
・スクラロースの味のついたもの(下痢)
・粉ミルク(激しい嘔吐)

これ以外にも子供は見ただけで拒絶して食べられなかった物があります。

・ソラマメ
・パプリカ
・桃
・いちじく
・いちご
・キウイフルーツ
・ブロッコリー
・アスパラガス
・青汁
・オリーブオイル
・インゲンマメ
・大豆の水煮(納豆や豆腐は食べられるのにそれ以外の大豆製品や豆がアウト)
・豆乳
・ゼラチン、ゼリー
・鶏皮(ゼラチンと同じくコラーゲンたっぷりでブルブルした部分がダメ)
・キノコ類全般

結構たくさんあるでしょう?どれも独特な味と香りのするものです。おそらく色や形、香りなどから「これは食べたら具合が悪くなるに違いない」と子供が判断したのだと思います。子供は母乳のにおいをかぐだけで自分の母親のものかどうかがわかると言います。そのくらい匂いに敏感なので大人にはわからなくても子供にはわかるのでしょう。アレルギーなどがあるお子さんを持つ親御さんも「子供たちは食べたら危ないと思うようなものはあらかじめわかるのか手を出さない。本能で見分ける能力があるんだろうね」と言われていました。子供って小さいのにすごい力を秘めていますよね。

では次にこれらの共通点が何か検討してみましょう。



私はどの食材を食べれるかどうかを食品成分表を最初にダウンロードしてスプレッドシートでまとめていました。

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すると驚くほどわかりやすくクッキリと「ここからここまでは全部食べれない」とか「ここからここまでは食べれる」と分かれたのです。

・ウリ科(キュウリ、カボチャ、スイカ、ズッキーニ、冬瓜、メロンなど)
・キク科(シュンギク、ゴボウ、レタス、フキ、キク、菊芋、など)
・セリ科(人参、パセリ、三つ葉、明日葉、セリ、セロリ、ディルなど)

これらは明らかに食べることができませんでした。これは植物学の分野のことだと思い、いろいろと調べてみましたが、これらに共通する成分について調べていると「レクチン」という単語に行き当たりました。それは英語のサイトでした。読めば読むほど訳が分からなくなるほど難しい、それが私にとってのレクチンとの出会いでした。


レクチンとは何か?!

レクチンとは糖鎖のことです。では糖鎖とは何かというと糖とアミノ酸が結合したものです。糖とアミノ酸が結合するとどうなるのかと説明していると長くなるので、ものすごくわかりやすくザックリ言い切るなら、「細胞膜のトゲ」のことです。そして糖鎖は生物のいたるところに存在します。

じゃあ「トゲってなんだよ?!」と普通は誰でも思うと思います。

わかりやすい例えを出すならば、新型コロナウイルスの表面のトゲトゲした絵がよくニュースなどで紹介されていますよね。あのトゲトゲは糖鎖です。糖鎖は違う種類の糖鎖と結合しやすいという性質を持っています。

人間の体の中にも糖鎖があります。粘膜の表面は糖鎖だし、赤血球の表面も糖鎖です。A型の血液とB型の血液を混ぜるとダマダマが出きて固まるのは表面の糖鎖同士がくっついてしまうせいです。これを赤血球凝集効果と言います。口の中の粘膜に糖鎖が結合すると粘膜のほうが弱いので負けて剥がれ落ちます。昔のヤクルトを飲んだ時に口の中に何か糸のようなものが溜まっていました。あれは口の中の粘膜が剥がれ落ちたものなのでヤクルトの成分ではなく自分自身の細胞です。これもヤクルトに含まれる糖鎖と結合したことによる作用の一つです。ウイルスの場合は盛大に増殖して体を攻撃してくるのではがれた粘膜は「炎症」を起こし「潰瘍」を作ります。潰瘍の隙間から糖鎖は中に入ってきて血管に侵入し赤血球に取り付いてしまうと血栓ができます。

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この血栓が肺に飛べば肺炎になりますし、心臓や脳や下肢に行けばそれぞれで問題を引き起こします。新型コロナウイルスは風邪症状などから始まるので風邪の一種のように思われがちですが、後遺症を含めると様々な症状があります。エボラウイルスやHIVウイルスも感染するメカニズムは同じで糖鎖と糖鎖分解酵素が重要になってきます。ウイルスに関係する病気の多くは糖鎖の病気です。インフルエンザも糖鎖分解酵素阻害薬のタミフルやリレンザが有名です。私たちは知らず知らずのうちに糖鎖に関する医療にお世話になっていたんです。そしてそれらの症状の一部は脳性麻痺の子供にありがちなものなのです。

レクチンを多く含む食品を口にしたとき、これと同じような現象が起きています。私の子供は実際に調子が悪くなると口の中の粘膜が剥げてひどい口内炎になります。舌の表面のシアル酸がはげるとその下にあるガラクトースがむき出しになってイチゴのようにぶつぶつとしたものが見えてきます。

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痛そう。

痛いので食事が取れなくなり絶食期間に突入します。倦怠感がすごいらしくぐったりとしてゴロゴロと寝て過ごすことが増えますし活動量も減ります。動かないので筋肉を維持できなくなり、そもそも食べないので血糖値が下がって低緊張は強く出て、けいれん発作を起こします。呼吸が止まると脳にダメージを負うので障害が出ます。いろんなことを教えても教えても覚えることができず何年経っても赤ちゃんのまま発達は進みません。ウイルスに侵されたわけでなく、ただ食事をとっただけでもこのようなことが起きるのです。


糖鎖と病気の関係性

人間の体は「糖鎖を作る機能」と「糖鎖を溶かす機能」の2つが備わっています。糖鎖の量が適正でタイミングが正しく生産されていれば人は健康でいられますがそのバランスが崩れると病気になります。

脳性麻痺とは脳にダメージを負った状態のことを言い表します。いろいろな理由でそうなると思いますが、ダメージを負った脳は糖鎖をうまくコントロールできなくなります。するといろいろな症状が出るようになります。

たとえば糖鎖は脳や筋肉にも存在するので、絶対量が足りなければ脳は正常に発達しませんし筋肉量も少なく虚弱体質です。脳の中で糖鎖は脳細胞と脳細胞をくっつけるノリのような役割をしています。これが正常に機能しなければ脳細胞はバラバラでうまく電気信号が伝わりません。すると認知は上がらないので子供はずっと赤ちゃんのような状態が続きます。大人の脳でこれが起きると物忘れなどの症状が出ます。筋肉の組織の発達にも糖鎖は欠かせません。糖鎖には酵素やホルモンが関係しているので骨や筋肉の発達が阻害されます。レクチンを多く含む食品を摂取することによって失われた体の糖鎖を補充する能力が少ない場合は消化器系に炎症を起こしやすく、便はねっとりとしていて下痢になりやすいです。食事をとるとおなかが痛くなるのであればそれはどれほどつらいことでしょうか。負の連鎖が続きます。

それに癌細胞の表面は糖鎖でできています。糖鎖が酵素によってはがれる瞬間に癌細胞は転移増殖することができます。癌は身近な病気ですが発がんのメカニズムなどはまだ解明されつくしてはいません。ですがこれは糖鎖に関係する病気であることからゴルジ体病の一種だと言われています。認知症に関してもそれが当てはまります。癌も認知症も脳性麻痺も一見全然別の関係のない病気のように見えますが、糖鎖がゴルジ体で作られるものである以上関連がないとは言えません。

脳性麻痺は症状が特に強く出て苦しい状況が続きますが、症状が出る場所や度合いによってさまざまな疾患になります。子供だけでなく大人の病気にも関係しているはずです。

先天性グリコシル化異常症というゴルジ体病は自閉症や発達障害にも関係があると言われています。これらゴルジ体病の研究は始まったばかりで結果が出るのはずっと先のことだと思いますが、少なくとも食べ物によって症状に大きな差が出るということだけは確かです。


レクチンの種類と症状の重さ

レクチンにはたくさんの種類があります。そして食品に含まれる含有量もそれぞれ違います。しかもその年の降水量や気温、生産農家さんの使った肥料などによってもその量は変化しますし、調理方法や食材の組み合わせなどによっても実際に食べるときのレクチン量は大幅に変わってきます。

私の子供が食べられないレクチンの種類は主に3つです。
・セレクチン(カルシウム結合型レクチン)
・ガレクチン(ガラクトース結合型レクチン)
・コレクチン(コラーゲン結合型レクチン)

私の子供の場合は、一番悪いのは野菜に含まれるガレクチンというものですが、これだけ食べた時よりも乳製品に含まれるセレクチンを一緒に取った時のほうがひどい症状が出ていました。

これは最初にセレクチンが機能してその次にガレクチンが働いているせいです。セレクチンだけ食べられないという人がいたとしても、ガレクチンに問題がある人はセレクチンにも問題があるでしょう。

たとえば牛乳にはカゼインという成分が入っていますが、カゼインはレクチンの一種です。パンにはグルテンという成分が入っていますが、グルテンもレクチンの一種です。パンと牛乳を一緒に食べてもうちの子供の症状は別々に食べた時よりもひどく出ます。クリームシチューなどは野菜と牛乳が入っているので組み合わせとしては最悪です。

私の子供はイカやタコやあおさなどの海洋性のレクチンも食べることができませんでした。おそらく人によってどの種類のレクチンを受け入れることができないかはDNAで決まっているのではないかと思います。

食べられない種類が増えるほど食べられる食材が少なくなってしまいますが、同じものだけを食べていても慣れると気にならなくなります。食べれないものを食べて具合が悪くなることを思うと、それがどんなにおいしそうに見えたとしても食欲は失せます。そしてレクチンはしばらく除去していると、たまに食べてもおいしいと感じなくなります。レクチン不耐症でもなんでも何でもない人にとっては除去食を食べることはつらいことですが、レクチンで具合が悪くなるとわかるようになるとそれを除去することはつらいことではありません。むしろ同じものばかり食べていたとしても安心して食べられるものがあるということは幸せなことです。

安心して食べられる食べ物を増やすためにも、自分がどの食品を摂取できないのかということをできるだけ早く判断する必要があると思います。


レクチン不耐症とアレルギーの誤解

レクチン不耐症はアレルギーとは異なるものですが、「食べられない」というと一緒のように思われがちです。

レクチン不耐症によっておこる症状のいくつかはアナフィラキシーショックに似ているので、人に説明するときに面倒くさくてついつい「アナフィラキシーみたいな感じになります」とか「アレルギーがあります」と手っ取り早く説明してしまうときがあります。実はアレルギーは全くないのですが、嘘をついてでもそういう方がいいと思うことが何度もありました。危険度合いは同じなのに不耐症というと大したことがないと思われてしまうからです。

「不耐症」と言うと日本人の多くは乳糖不耐症を想像すると思います。日本人にはとても多いし、子供のころ牛乳が飲めなかった人でも大きくなったら飲めるようになることがあるので「今はダメでももうちょっとして食べさせてみたら食べれるようになってるんでしょう?」と言って勝手に食べさせようとする人がいるんです。これはとても危険なことです。

脳性麻痺の子供にとってのレクチン不耐症はちょっと牛乳が飲めない程度のことではありません。呼吸停止レベルのヤバさなので無断で食べさせられたりすると一発で傷害事件です。

いっそこういうことに全く無知な人であれば「食べれないなら、食べさせなければいいのね」とシンプルに考えてもらえるので安心なのですが、中途半端に知っている人ほど「食べさせてたら食べれるようになるわよ」などと言って勝手に与えられてしまうことがあります。アレルギーの治療法にそういったものがあるので小児科医ほどよくわかっていないのに真似をしたがります。アレルギーだと言えば「死んじゃったりすることもあるから絶対に与えてはダメ」と思ってもらえるのに不耐症というだけで何か誤解をされて、病院や学校から自宅に帰ってきてから倒れて救急車を呼んだことが何度もありました。

レクチン不耐症は食べた瞬間にその場で具合が悪くなるようなものではなく、時間が経過してから症状が出るものです。数時間後、もしくは夜中に寝ているときに発作を起こします。

レクチンというのはそもそも「毒」を表す言葉でもあります。良かれと思って毒を盛られたのではたまったものではありません。

次はこの「毒」について掘り下げていってみましょう。


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