エスノグラフィーに惹かれた起点はこの本だったのかも〜本棚の並びからの東山魁夷「古き町にて-北欧紀行-」〜

昨日まで数日持ち歩いていた「ジブリの立体建造物展図録〈復刻版〉」を本棚にしまうと、井上雄彦氏作品に挟まれた1冊が目に入る。

我が家の本棚の一角

画家・東山魁夷による「北欧紀行 古き町にて 」の復刻普及版。スラムダンクやバガボンドに囲まれてると、ちょっとヒリヒリするだろうから、置き場所を変えようと手に取ったので、久しぶりに読んでみることにする。

東山魁夷といえば、日本を代表する風景画家の一人という印象。この絵本の表紙にもなっている「緑響く」の絵は母が好きで実家にも飾られていた記憶がある。

それがこの「古き町にて」では、とってもポップなリトグラフ(石版画)の挿絵と丁寧な旅行記が綴られている。一時期、仕事で長野によく行っていた際に、一度東山魁夷美術館に足を運んだ。確か閉館間際で20分ほどしか見れなかったが、展示の後半に、この北欧紀行の作品コーナーがあった。そのあまりに楽しげな雰囲気に、なんだか嬉しくなってしまった記憶がある。

きっと感動と喜びに溢れた旅路だったんだろうなぁ。伝えずにはいられない、描かずには、さらに書かずにはいられないほどのひとときだったんだろう。想像するだけで、こちらも幸せな気持ちになる。そして冒頭の川端康成の序文も素敵。

さて、ここ数年エスノグラフィーにとても興味がある。そのきっかけが今わかったような気がした。たぶんこの本に心揺さぶられたからだ。本作は厳密にはエスノグラフィーとは言わないのかもしれないが、こんなにも情感深くありありと、異国の風情を感じさせてくれるなんて。素敵だ。

思いがけず、自分にとって大切な発見が得られた。note、始めてみてよかったな。

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