見出し画像

世界にはバイアスが潜んでいる。

この記事は2022年9月のニュースレターで配信されたコラムに加筆・修正を加えたものになります。

 「あなたが今とっている行動は、
   本当にあなたの意志に基づいていますか?」

自分の意志にもとづいて選択しているつもりが、
動機、目的、感情、美徳、経験則等のフィルターによって、
意志と異なる選択を無意識にとってしまう私たち。


複雑な社会において、最善な選択をするためには、
人間のメカニズムを理解する必要があります。


先日、日経新聞(2021.9.11)は、
<「人=男性?」世界にバイアス>という記事を取り上げました。

ニューヨーク大学とメタ(旧フェイスブック)の科学者が、世界に存在するバイアスの兆候を捉え、警鐘を鳴らしたのです。内容をご紹介すると、

・約30億ページのサイト、6300億以上の英単語データを分析。
・「人」そのものの概念を、個人がどう受け止めているのかに迫った。
・人々は「人」の概念を『女性』よりも『男性』に近いとみなしている。
・「医者は、私にすぐ電話するように言った」を自動翻訳すると「The doctor told me to call HIM right away.」に訳される。


医者は「男性」であるとの前提(バイアス)。
さらには医者に限らず、自動翻訳ソフトは「人=男性」と認識している結果が明らかになりました。


インターネット上の検索で触れる情報が私たちの経験値になるため、仮に赤ちゃんがまっさらな状態で現代社会で育つと、「人間とは男性を指す」と理解してしまうことになるのです。

—--

折しも同日、米グーグルは国・市場ごとのニーズに応じて検索機能を最適化するニュースを発表しました。

国ごとの文化や社会に精通したチームを置き、ネット広告の精度を向上させ、似たような属性を持つユーザー数百名のグループごとに分けて広告を配信することが可能だそうです。


2つのニュースから、行動科学とモチベーション理論の前提になる「情報」がどのようなシステムで構成されているのか、俯瞰的に見る必要性を示唆しています。

複雑性をManageするために、目の前の情報を反射的に判断せず、鳥の目・虫の目を駆使し、個人・世界に潜むバイアスまで想いを馳せるリーダーがさらに求められそうです。

(文:大谷直樹)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?