場の理論めも

ローレンツ変換に対して不変な(作用に関する変分原理から導かれる)場の方程式を用意したい。

場の方程式

その際、ラグラジアン密度を用いると何かと便利である。
例えば、ラグラジアン密度で作用を表現すると、x,y,z,tの4次元に関する積分となり、いかにも特殊相対論と相性がよさそうに見える。

ラグラジアン密度で表現した作用

変換に伴う体積変化を意味するヤコビアンは、ローレンツ変換においては1であるから、作用がローレンツ変換に対して不変であるためには、ラグラジアン密度が不変でありさえすればよい。
そのためには、ラグラジアン密度がテンソルであって、作用がスカラーであればよい。

考える場としては、スカラー場(スピン0)、スピノール場(スピン1/2)、ベクトル場(スピン1)、重力場(スピン2)、Rarita–Schwinger 場(スピン 3/2)、反対称テンソル場 などが挙げられる。

ラグラジアン密度を用いるもう一つの理由は、波を表現するのに適しているからだ。
例えば、ベクトル場の方程式であって、質量0とした相対論的マクスウェル方程式(Poraca方程式)は、場の方程式であると同時に、波動方程式(Maxwell方程式)でもある。つまり、ラグラジアン密度を用いることで、波が見えてくるのだ。
同様に、波動方程式であるKlein-Gordon方程式だってスピン0の物質場を表す場の方程式に、Dirac方程式はスピン1の物質場の方程式となっている。

各スピンの場に対する方程式

こうして用意したラグラジアン密度を、最終的に足し上げてまとめてやる。
そうすれば、よくばりラグラジアン密度セットの方程式から、なんだって導くことができる。
実は、嬉しさはこれだけではない…

ラグラジアン形式からハミルトニアン形式への移行方法は既に確立しているから、多少、相対論との相性が悪くなったとしても、摂動論を考えやすくなるという利点を得たいときに、ラグラジアン密度を使っておくと、それが直ぐにできる。これもラグラジアン密度を用いる理由である。


<電磁場のラグラジアン密度>
ローレンツ不変であって、かつ、ゲージ不変であるようなラグラジアン密度は次のように電磁ポテンシャルで表される。(ゲージ変換の対称性に対応する保存量はチャージである。)

電磁場のラグラジアン密度

場の強さテンソルは、ローレンツ変換に対して2階のテンソルとして振舞うし、ゲージ不変である。

場の強さテンソル

これから成る最も簡単なスカラーは

スカラー

である。先に示した電磁場のラグラジアン密度の表式をこれで置き換えられそうである。

場の強さテンソルで表したラグラジアン密度

以上が、求めたかった電磁場のラグラジアン密度である。
これは確かに、真空中のMaxwell方程式を満たすことが確かめられる。

真空中のMaxwell方程式

また、このラグラジアン密度から導かれるハミルトニアンがちゃんと電磁場のエネルギーに比例することも確かめられる。
ハミルトン密度とラグラジアン密度は次の関係にあるから、

ハミルトン密度とラグラジアン密度の関係
代入して整理した結果

このハミルトニアン密度を空間積分すると、ガウスの定理によって最後の余計な項がゼロとなり、ハミルトニアンは確かに電磁場のエネルギーに比例するということが確認される。



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素粒子とは、場の振動によって粒子のようにふるまう存在である。相互作用のない場には、このような粒子性がある。
原子核内部では相互作用が強いため、中間子は粒子的には振舞わない。しかし、原子核外部では粒子的に振舞う。
摂動計算時に相互作用を無視した際に、(仮想的な)粒子が現れる。

空間の歪み(重力場、あるいは計量場)は「ゲージ場」として表される。ゲート場の振動は、現実空間をゲージボソンとして伝播する。
素粒子の相互作用はゲージ場を介して起こるとする。

標準模型の内部空間は、ゲージ対称性により、SU(3)、SU(2)、U(1)の3つに分類される。

場の理論では、場が実在するものだと考える。そのため、量子力学においては、二重スリット実験を、あくまで数学的存在としている波動関数によって説明するが、場の理論では、実在する場の振動が2つに分かれてスリットを通過したと考える。
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つづく…(現在2023/06/18)

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合っているかわかりませんが、頭を整理するために、それっぽいことを書いてみます。↓ (現在2023/08/17)

ここからの記事は、touyaさんの「お話物理」の一連の記事を参考にしています。note上の記事です。ぜひ検索して読んでみてください。とってもわかりやすいです。
<iframe class="note-embed" src="https://note.com/embed/notes/n598e0579e3d8" style="border: 0; display: block; max-width: 99%; width: 494px; padding: 0px; margin: 10px 0px; position: static; visibility: visible;" height="400"></iframe><script async src="https://note.com/scripts/embed.js" charset="utf-8"></script>
私が再解釈したことを書くので、不正確になっている可能性があります。
その点ご注意ください。

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粒子とはなんだろうか?

粒子は、どんなときも、その姿を保っているわけではない。
対消滅や対生成という現象が確認されている。
姿形は移り行くものであったとしても、反応の前後で、電荷と相対論的運動量は保存している。

このことは、古典論や量子力学だけでは説明ができない。

これを説明するために、場という概念を考える。
抽象的な空間には、至るところ、物理量がセットされており、
粒子というのは、物理量が局所的に集中したもの(場の励起)であると考える。粒子は、抽象的な空間の各点にある物理量を総合的に評価したものであるということ。

粒子にはスピンという謎の内部自由度があったが、これは、抽象的な場の回転に対する角運動量だと見なすことができる。
ローレンツ変換は、時間と空間の四次元の回転であるが、その回転は、独立な三次元回転2種類の合成で表される。
それぞれの回転に対する角運動量演算子に対する固有値が、
(0,0) ➩ スカラー場
(1/2,0) or (0,1/2) ➩ スピノル場
(1/2,1/2) ➩ ベクトル場
と分類される。
粒子が物質の最小構成単位だと考えるのではなく、場が本質なのだと考えると、スピンが謎のものではなくなるのだ。

場の量子論における作用は、ラグランジアンの時間と空間による積分である。
時間と空間を全部ひっくるめて、最小作用の原理に従って、運動を考える。
量子論的に言えば、経路積分を考える。
ラグランジアンの具体形を与えれば、具体的な話が進められる。
一般にラグランジアンに要請されていることは、
・場とその時空微分の関数であること
・特殊相対論的に不変
であるという二点である。
ラグランジアンの関数形はとりあえず、多項式で展開されると仮定しよう。

<スピン0のスカラー場>
自由場 $${L(Φ(x), ∂Φ)=\frac{1}{2}∂_μΦ∂^μΦ-\frac{1}{2}m^2Φ^2}$$
第一項は、隣接する部を結び付けているバネのポテンシャルで、第二項は、時空の各所を固定しているバネのポテンシャルのイメージ。
後者が各所の動きやすさそのものを、前者が隣につられてどれだけ揺れやすいのかを反映するイメージ。第二項の係数m^2は、四次元運動量の二乗の大きさ、つまり、静止質量を意味している。
これは、粒子の質量は、2つのバネの強さの比で決まることを意味している。
上記のことは、このラグランジアンからつくられる作用が最小になるΦを解くことでわかる。(最小作用の原理:古典論的な操作)
解は、$${Φ(x)=exp(ip_μx^μ)}$$(波の形だね)

古典論では、作用が最小となる経路が、そのまま選ばれるのだが、量子論では、あらゆる経路が作用の重みに応じて確率的に実現する。
つまり、最小作用の原理に従うのではなく、経路積分量子化をすることによって、場の理論から場の量子論へ移行できる。
経路積分量子化、あるいは、正準量子化によって量子化することで、波から粒子性を見出すことができるようになる。

正準量子化をスカラー場に対して行うとは、場Φとその時空微分の交換関係が $${ [Φ, \dot{Φ}]=iℏδ(x-y) }$$となるよう要請することである。
デルタ関数は、交換関係が同じ時間、同じ空間同士でしか値を持たないことを要請しており、これは、時空の一点一点において、量子力学における正準量子化がなされていることを意味する。無限に交換関係があるのだ。

場Φの関数形に制限をかけて量子力学的に時間発展を特別に扱いすると、古典的に扱ったときの元の運動方程式は、調和振動子の運動方程式そのもののに置き換わる。

この操作はフーリエ変換に対応している。
位置空間(時空)で見た調和振動子は、重りが2種類のバネでつながれた様子、
運動量空間から見た調和振動子は、重りは1つのバネだけでつながれているが、独立したバネが運動量の種類だけあるような様子をしている。

連続無限個の多体系を解くよりも、孤立系を無限回解く方が楽だ。

//古典と量子の違いがあってこの操作をしたはずで、単にわかりやすくすることだけが目的ではないはず。//

量子力学における調和振動子の問題は,エネルギー量子の個数を数える問題に帰着される。
場の量子論においては、そのままの議論上で$${(ℏω)^2↔k_ik^i +m^2}$$と置き換えればよい。
すると、エネルギーの粒が、物理的な粒子として見なせるようになる。
n_kは運動量kをもつ粒子の個数を意味する。
(運動量空間における)とある振動数のバネの振幅が大きくなればなるほど、(実空間や時空間における)粒子の個数が増えて見えるのだ。

つ・づ・く (現在2023/08/17)

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