慶応院講義『物性物理学特論A』のメモ

ゲージ場とベリー位相 その1


参考にされていた文献
[1] Quantal phase factors accompanying adiabatic changes
[2] JJ Sakurai 最終章

§1.1 電磁場とディラックモノポール

波動関数ψは複素関数
絶対値の二乗は存在確率
位相は何を意味するか?ψ=|ψ|exp(iθ)
位相そのものは観測することができないが、
位相差は重ね合わせの原理を通じて観測することができる。

$${ψ=ψ_1+ψ_2=|ψ_1|exp(iθ_1)+|ψ_2|exp(iθ_2)}$$

$${|ψ|^2=|ψ_1|^2+|ψ_2|^2+2|ψ_1||ψ_2|cos(θ_1-θ_2)}$$

同一点における位相差は観測できるのだ。

局所ゲージ変換

位相そのものは観測されないので、任意性がある。
以下のような局所ゲージ変換をしても構わない。

$${ψ(r)→ψ'(r)=ψ(r)exp(iθ(r))}$$

モノサシの単位(ゲージ)を変えても物理は変わらない。
局所とは、各点でゲージを変えること。そうしてもよい。


Thm. 運動量演算子はゲージ不変ではない(観測量でなくなる。)

しかし、pにベクトルポテンシャルAを加えるとゲージ不変にできる。
なお、A自体はゲージ不燃ではないが、観測量である磁束密度Bはゲージ不変である。
ちなみに、Aを周回積分したものもゲージ不変である。

もしもモノポールがあったら

原点に磁荷4πgのモノポールがあった場合、磁束密度はgr/t^3のようになる。
対応するベクトルポテンシャルAを求めると、どうしても、”継ぎ接ぎ”が不可避となってしまう。
全磁束Φを求めると、絶対に”食い違い”が必要であることがわかる。

[3] Dirac, PAM1931RSPSA. "133.60 D. vol. 133." Proc. R. Soc. Lond. A (1931): 60.
[4] Wa Yang D12 3845b (1975)


ゲージ場とベリー位相 その2

§1.2ベリー位相

ハミルトニアンが様々なパラメタに対して断熱的に依存するというセットアップを考える。
TDシュレーディンガーeqから位相θを求めたとき、時間非依存のときには出てこない項をベリー位相 γ(t) という。
ベリー位相の被積分関数をベリー接続 A(t) という。
また、Rが3次元の場合、Aのrotをとったものをベリー曲率 B(t) という。

一般において、ベリー位相はゲージ不変ではないが、パラメタが同じ値に戻ってくるようなとき、その時に限って、ゲージ不変となる。
このとき、ベリー接続はベクトルポテンシャル、ベリー曲率は磁束密度とよく似ている。


ゲージ場とベリー位相 その3



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