見出し画像

農業技術の進化が食糧増産をもたらした。

世界の科学技術の発展は、18世紀後半から19世紀の産業革命以降、急速に進みました。産業革命では蒸気機関が発明され、その動力を用いて機械を動かすことができるようになったことで、これまで自宅の工房で職人さんが手作業でものづくりをしていた「家内制手工業」から、資本家が工場を建設し、そこに作業者を集め、機械を使って、製品を安価に大量に生産することができる「工場制機械工業」が急速に発達しました。その結果、経済が発展し人々が豊かになりました。都市部や工業地帯で人手不足が起こり、農村部から労働者が移動しました。

産業革命から遅れることおよそ1世紀、農業革命が起きたのは19世紀後半から20世紀前半とされています。蒸気機関で動くトラクターが発明され、プラウやコンバインなどの農業機械が発明されるようになりました。また、化学の発展で化学肥料が発明されるようになり飛躍的に農業の生産性が向上しました。

それからさらに半世紀がたち、1960年ごろには「緑の革命」が起こりました。
「緑の革命」が起きた背景には、途上国を中心とする世界人口の急増による食糧不足があります。途上国を中心に飢餓人口が増加しており、先進国でも食糧危機に対する対応が求められるようになりました。

「緑の革命」では、小麦や米などで高収量品種が開発されました。病気に強く、肥料効率も良い作物は急速に普及しました。また、農地における水管理、灌漑システムが広く導入され、さらに収量は増加しました。同時に農村部における最新の農業技術が計画的に普及されました。

1990年ごろからのバイオテクノロジーの発展は組織培養技樹や遺伝子組み換え作物によってさらに生産性は増加しました。

その一方で、集約的かつ画一的なモノカルチャーな農業は、化学肥料による水質汚濁や農薬による公害を生みました。人の健康に影響を与えるような農薬や環境に影響を与えるほどの肥料は、その後の化学や精密農業の発展で解消されつつあります。

農業技術はこの100年で著しく発展し、生産性向上による食糧増産を果たしてきました。日本では人口は減少していますが、途上国の経済発展により世界人口は増加しています。人口が減少する先進国と途上国との間のギャップが顕在化しています。また、コロナ禍、ウクライナやイスラエルの紛争などの影響で飢餓に苦しむ人も増えているようです。さらに気候変動が農業生産に与える影響も深刻化しています。

これから、農業における技術開発をどのように設計するか、技術だけが先走りするのではなく、農業現場の状況などを総合的に見たロードマップの作成が必要とされています。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?