地域に価値をつくりだそう By Leaps

農業コンサルティング会社を起業して来年で20年。北海道で農産物や地域のブランディングを…

地域に価値をつくりだそう By Leaps

農業コンサルティング会社を起業して来年で20年。北海道で農産物や地域のブランディングを中心に仕事をしています。 他にロボットベンチャーや非営利法人の経営をしています。趣味はゴルフ。技術士(農業部門/農芸化学・土壌) 株式会社リープス:https://leaps.jp/

マガジン

  • 一次産業を主体とした地域ブランディング

    農村は都市に比べて高齢化や人口減少が著しく進んでいます。このまま何もしなければ将来的に消滅する危機に直面しています。農村地域の主たる産業である農林水産業、その産品から地域のブランディングを考え、地域を盛り上げる方法を記事にしています。

  • 北海道の酪農DXを考える会

    少子高齢化、人口減少による労働力不足に直面するなかで、生産性を維持するためにDXをいかに活用していくか、酪農業をモデルケースとして考えてみます。

記事一覧

モノやサービスにある見えない価値

経済が高度に発達した社会では、モノが持つ価値が高く評価されます。例えば、高級ブランドのバッグなどは、驚くような高い価格で売られていますが、その価格に納得して購入…

酪農DXやスマート農業の現場実装

酪農業界に限った話ではなく、今後、あらゆる産業で人手不足が深刻化すると予測されています。その背景には人口減少と少子高齢化によって労働力人口が減少していることにあ…

労働力の急減で農村はどうなるの?

日本の人口は2010年をピークに減少に転じました直近(2023年)ではピークだった2010年から406万人(3.17%)減少しました。今後も人口の減少は続き、2030年には今より7%、2…

地域の特産品を売るために

農村地域のブランディングを考えるときに、その地域のアイコン(目印)になり得るような特産品がすでに存在していれば、ブランディングはかなりやりやすくなります。そのよ…

農業と食料安全保障

令和5年の「食料・農業・農村白書」では、第1章に「食料安全保障の確保」について書かれており、最近のニュースを見ても食料安保の話題が多くなっています。 この背景には…

令和の米騒動で考える、これからの農業

今朝の日経の記事によれば、8月に入りお米の購入点数が4-5割増えたそうです。その後、購入点数の伸びは鈍化したようですが、これは小売店の店頭在庫が尽きたからで、お米を…

農業の人手不足はロボットで解決できるのか?

先ごろ、スマート農業技術活用促進法(農業の生産性の向上のためのスマート農業技術の活用の促進に関する法律)が成立し公布されました。 この法律では、その目的を第一条…

農薬や化学肥料はダメなのですか?

先日、別に経営している会社で、有名な除草剤の効果検証のひとつとして、身体にかかる負荷計測を実施しました。その様子が公式のYouTubeにアップされました。 テーマは除…

北海道の酪農DXを考えるセミナー

8月19日(月)に北海道別海で「北海道の酪農DXを考えるセミナー&見学会」を開催いたします。ぜひご参加ください。 参加申し込みは、事務局(株式会社リープス)まで

北海道も気候変動の影響を受けて農業に大きな影響がある?

この週末の札幌は暑く、連日33℃を超えています。今日は34.7℃だったとか。 北海道の15地点で最高気温が35℃を超える猛暑日となったようです。 一昔前は札幌で30℃を超え…

これからの農協の役割

JA(農協/農業協同組合)は1948年(昭和23年)に施行された農業協同組合法(農協法)に基づいて設立された団体です。法律が施行されたのは戦後直後で、農業復興と農業者の…

農業技術の進化が食糧増産をもたらした。

世界の科学技術の発展は、18世紀後半から19世紀の産業革命以降、急速に進みました。産業革命では蒸気機関が発明され、その動力を用いて機械を動かすことができるようになっ…

価値観に寄り添い共感すること

札幌もこのところ急に温度が上がり、ランチに事務所の外に出るとコートを脱いで、真新しいスーツを着た新入社員らしき若者たちを多く見かけるようになりました。 希望と不…

一次産業と地域ブランド

地方では農業や漁業などの一次産業が基幹産業のところが多く、一次産業に関連する事業、産業に従事する人も当然多くなります。地域の人口を維持して地域の経済を維持するた…

新年度を迎え、リープスは22期目に入りました。

2024年度(令和6年度)が始まりました。 株式会社リープスも22期目が始まりました。起業して21年目の春です。 当たり前ですが、起業した時は30歳代半ば、体力も気力も有り…

農家戸数の減少への対応

日本の農業者人口は1960年ごろには600万人もいました。60年経って2020 年には最近の数字では174万人と1/3以下に減少しました。農研機構の予測によれば2035年には、さらに1/…

モノやサービスにある見えない価値

モノやサービスにある見えない価値

経済が高度に発達した社会では、モノが持つ価値が高く評価されます。例えば、高級ブランドのバッグなどは、驚くような高い価格で売られていますが、その価格に納得して購入する人がたくさんいます。

バッグの素材や機能に差があったとしても、バッグの本来の目的はモノを入れて、効率的に持ち運ぶための道具です。100均で売られているようなエコバックも100万円もするエルメスのバーキンも、同じぐらいの収納容量なら、仕

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酪農DXやスマート農業の現場実装

酪農DXやスマート農業の現場実装

酪農業界に限った話ではなく、今後、あらゆる産業で人手不足が深刻化すると予測されています。その背景には人口減少と少子高齢化によって労働力人口が減少していることにあります。もともと労働力の少ない農村地帯では、都市部より先に人手不足は危機的な状況になります。

北海道の農業は本州と比べて、経営面積も大きく、経営者も若いので営農も安定していますが、それでも離農は多く、後に続く担い手の確保ができているとは言

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労働力の急減で農村はどうなるの?

労働力の急減で農村はどうなるの?

日本の人口は2010年をピークに減少に転じました直近(2023年)ではピークだった2010年から406万人(3.17%)減少しました。今後も人口の減少は続き、2030年には今より7%、2040年には13%も減少します。

人口減少とともに高齢化も進行します。現在の労働力人口は、6,800万人ですが、2030年には、5,800万人(約1,000万人減)、2040年には、5,300万人(約1,500万

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地域の特産品を売るために

地域の特産品を売るために

農村地域のブランディングを考えるときに、その地域のアイコン(目印)になり得るような特産品がすでに存在していれば、ブランディングはかなりやりやすくなります。そのような産品は地域の内外で知名度が高い状態であるので、そこから展開することができるようになります。

すでにそのような特産品がありながら、積極的に販売できない地域が多くあります。それは、ブランドに関する知識と理解が少ないからです。

ブランドと

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農業と食料安全保障

農業と食料安全保障

令和5年の「食料・農業・農村白書」では、第1章に「食料安全保障の確保」について書かれており、最近のニュースを見ても食料安保の話題が多くなっています。

この背景には、長引く食料自給率の低下と農業者の減少があります。また、農業国ウクライナでの紛争、途上国での人口急増などで、食料の多くを海外からの輸入に頼る日本は、今後、これまでと同じように世界から食料が調達できるのかという不安が最近になって表面化しつ

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令和の米騒動で考える、これからの農業

令和の米騒動で考える、これからの農業

今朝の日経の記事によれば、8月に入りお米の購入点数が4-5割増えたそうです。その後、購入点数の伸びは鈍化したようですが、これは小売店の店頭在庫が尽きたからで、お米を買いたくても、売ってない、買えない状況がになっているから出すです。
#日経COMEMO #NIKKEI

確かに、身の回りでも8月に入ってお米が売ってないという声がちらほら聞こえてきて、いよいよ家庭在庫がなくなり、お米を求めにスーパー

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農業の人手不足はロボットで解決できるのか?

農業の人手不足はロボットで解決できるのか?

先ごろ、スマート農業技術活用促進法(農業の生産性の向上のためのスマート農業技術の活用の促進に関する法律)が成立し公布されました。

この法律では、その目的を第一条で下記のように定めています。

スマート農業といえば、自動運転トラクターやドローン、ロボットなどのハードの開発が想像しやすいでしょう。農林水産省の資料でもものづくり的な印象を受けます。ロボット技術は素晴らしいと思いますが、ハードが先にあり

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農薬や化学肥料はダメなのですか?

農薬や化学肥料はダメなのですか?

先日、別に経営している会社で、有名な除草剤の効果検証のひとつとして、身体にかかる負荷計測を実施しました。その様子が公式のYouTubeにアップされました。

テーマは除草剤を使うことで、人力除草(草むしり)と比べ、身体にかかる負荷がどの程度軽減されているのかを科学的に検証するものです。対象はご家庭のお庭なので農家とは事情が少々変わりますが、農薬が化学肥料によって農業の生産性がどれぐらい向上したのか

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北海道の酪農DXを考えるセミナー

北海道の酪農DXを考えるセミナー

8月19日(月)に北海道別海で「北海道の酪農DXを考えるセミナー&見学会」を開催いたします。ぜひご参加ください。

参加申し込みは、事務局(株式会社リープス)まで

北海道も気候変動の影響を受けて農業に大きな影響がある?

北海道も気候変動の影響を受けて農業に大きな影響がある?

この週末の札幌は暑く、連日33℃を超えています。今日は34.7℃だったとか。
北海道の15地点で最高気温が35℃を超える猛暑日となったようです。

一昔前は札幌で30℃を超える日なんてほとんどなくて、あっても8月の1週目ぐらいに1、2日あったかどうかだったと思います。高校3年生の夏は図書館で勉強してたけど、クーラーなんてなかったように思います。もちろん、家庭にクーラーが普及しだしたのもここ10年ぐ

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これからの農協の役割

これからの農協の役割

JA(農協/農業協同組合)は1948年(昭和23年)に施行された農業協同組合法(農協法)に基づいて設立された団体です。法律が施行されたのは戦後直後で、農業復興と農業者の生活向上を目的としていました。

その後、農協法は時代の変化に応じて改正が繰り返されていますが、農協は協同組合として、農業従事者の自主的な協力と団結を基盤として、民主的な運営と組合員の自主性を尊重されて運営することで、日本の農業と農

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農業技術の進化が食糧増産をもたらした。

農業技術の進化が食糧増産をもたらした。

世界の科学技術の発展は、18世紀後半から19世紀の産業革命以降、急速に進みました。産業革命では蒸気機関が発明され、その動力を用いて機械を動かすことができるようになったことで、これまで自宅の工房で職人さんが手作業でものづくりをしていた「家内制手工業」から、資本家が工場を建設し、そこに作業者を集め、機械を使って、製品を安価に大量に生産することができる「工場制機械工業」が急速に発達しました。その結果、経

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価値観に寄り添い共感すること

価値観に寄り添い共感すること

札幌もこのところ急に温度が上がり、ランチに事務所の外に出るとコートを脱いで、真新しいスーツを着た新入社員らしき若者たちを多く見かけるようになりました。

希望と不安で胸を膨らませて入社した会社も、2週間も過ごせば不安の方が大きく感じる時期だと思います。今は何もわからず、上司や先輩の言うことを聞いて仕事に取り組もうとするも、失敗ばかりで自信を失い、不安に感じているのではないでしょうか?

自分では精

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一次産業と地域ブランド

一次産業と地域ブランド

地方では農業や漁業などの一次産業が基幹産業のところが多く、一次産業に関連する事業、産業に従事する人も当然多くなります。地域の人口を維持して地域の経済を維持するためには、一次産業と地域が一体となったブランディングが必ず必要になります。

特に最近ではふるさと納税などの制度で全国から寄付が集まり、その資金を元手に行政も地域の福祉や教育、新たな事業作りをすることができます。ブランディングは地域のふるさと

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新年度を迎え、リープスは22期目に入りました。

新年度を迎え、リープスは22期目に入りました。

2024年度(令和6年度)が始まりました。
株式会社リープスも22期目が始まりました。起業して21年目の春です。

当たり前ですが、起業した時は30歳代半ば、体力も気力も有り余っていました。引き合いがあればすぐにどこにでも行ってました。経験や知識は今から思えば全く足りていなかったのですが、行動力は今の10倍はありました。

それから20年ちょっとの時間が経って、50歳も後半、いわゆるアラカンの年代

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農家戸数の減少への対応

農家戸数の減少への対応

日本の農業者人口は1960年ごろには600万人もいました。60年経って2020
年には最近の数字では174万人と1/3以下に減少しました。農研機構の予測によれば2035年には、さらに1/3の64万人にまで減少するとしています。

今回は、農家戸数が減少する中で日本の農業がどうなっていくのか考えてみたいと思います。

いうまでもなく農業は国民の食を保障するための重要な産業です。国が主導して農業という

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