イギリスで実践した!昇給・昇格体験談

こんにちは、Lean In Japan サポーターのMです。
現在は夫の海外赴任に伴い、イギリスに住んでおり、イギリスからLean In Japanの活動をサポートしています!

日本でも仕事はしていましたが、引き続き働きたい気持ちが強くあったので、イギリスで仕事を探して正社員のポジションで働いて約3年になります。

今回は、こちらで昇給・昇格の交渉を行った経験について、お伝えしたいと思います。

<そもそも交渉を行った経緯>

今の職場で働いて1年半程経った頃、職務範囲も広がり、責任のある仕事も増えて来たのですが、同じチームで他のマネージャー(全員男性)と同等のことをしているのにずっとアシスタントのタイトルなのは私だけでした。

また、別のマネージャーに対して、自分の仕事内容の引き継ぎや、そのマネージャーの作業したファイルをレビューすることも増えました。しかし、私のポジションはずっとアシスタントのまま、これでは日本に帰って転職する時にアシスタント以上のことをしている今の自分をマーケットに評価してもらえないという危機感と、素直に不公平で理不尽だと感じました。

そこで、アシスタントのタイトルを適したものに変える昇格と昇給ついての交渉を、所属する部署のトップと人事部のトップの方に試みました。
交渉の結果、タイトルをアシスタントマネージャーに昇格、昇給もしてもらえました!

その経験を踏まえ、昇給・昇格の交渉の際のポイントを共有したいと思います!

<交渉時のポイント>

1. エビデンス(根拠資料)を揃える

自分の仕事のジョブディスクリプション(職務内容)と実際の仕事内容が比較できるようにしておきましょう。また、周囲の自分よりも上のポジションの人の仕事と自分が同等の仕事をしている根拠(メールや成果物)もあれば、客観的な資料として有効です。なので、普段仕事をする時も記録を残すことをお勧めします。
ただ、昇給・昇格してくれ!と訴えるのではなく、客観的な事実を示しましょう。

2. チームの外や社外の人に自分の状況を相談

可能な範囲で、チームの外や社外の頼れる人に自分の状況を相談してみましょう。
そうすると、自分がフェアな処遇を会社に与えてもらっているかを客観的に考えてみることができます。また、場合によってはサポートしてくれることもあるでしょう。
(余談ですが、私の場合、相談に乗ってくれる人がいても、一緒に交渉を戦ってくれる人はおらず、非常に辛く、苦しい状況が続き、普通に仕事はしていましたが、社内では孤独でした。そういう状況でもとりあえず相談相手の社外の友人や家族がいれば、本当の一人の状況よりは頑張れると思います。)

交渉するとき、自分の目的が前に出すぎる結果、感情的に話してしまうことを、相談した人からもらった意見を踏まえて、落ちついて話すことができます。また、交渉において伝えるべき大事なポイント(何を妥協して、何を譲れないポイントとするか等)を事前に整理して絞ることができるでしょう。

3. 市場の似たポジションの年収を知っておく

求人情報を調べて、自分がやっている仕事がどれくらいの年収に値するか大体見積もっておきましょう。交渉時は具体的に数字を出すことが重要なので、自分の理想の年収やジョブタイトルの目星をつけておきましょう。
交渉時は労使側がお互いの理想の要求を提示して、その折衷案で交渉成立することが多いかと思います。なので、予想される落としどころよりは少し高い要求から交渉を始める必要があります。

4. 今のままでは困ること、将来のキャリアについて話す

何故自分が交渉せざるを得ないと思って、交渉を始めたのか。将来をどう考えた結果、今昇給・昇格してもらうことが必要かを話しましょう。
(残念ながら、自分の未来のことなど会社側は責任をもちませんし、考えていません。自分の将来には自分に責任があり、自分で切り開く必要があると感じました。)

私の場合は日本に帰ったとき、再度転職することが確実だったので、その時に自分の価値が低くなることは避けたかったのです。また本来、給与やポジションは労働時間の長さや男女の性差ではなく、その人がやっている仕事の内容で決められるべきであり、その点を考えると明らかに私に対しては女性であることの不当な扱いが無意識に働いてました。(Unconcious bias無意識な性差別があるとはっきり伝ました。)その点を説明しました。

<最後に>

以上のことを踏まえ、焦らず、感情的にならず、淡々と進めることが重要だと思います。また、自分の話を聞いてくれるために相手が時間をとってくれていることの感謝は最後まで忘れてはいけないと思います。

職務内容や組織階層に曖昧な部分がある日本企業ではこういった交渉が難しいかもしれませんが、上司との年次面談やチームの進捗会議で、自分はもっと仕事ができていて上のポジションに上がりたいというやる気があるとか、このレベルの仕事は自分よりも上のポジションの方が適任である等を可能な範囲でオープンに話すことは有意義であると思います。外資系企業であればもっと明確にラインマネージャーや人事に対して相談できると思います。イギリスでは一人で交渉をすることもあれば、同じ立場、職位の人たちがチームで一緒になって人事やトップマネジメントに掛け合うこともあるようです。

攻撃的に要求を伝えるのではなく、一つずつ丁寧に説明すれば、周囲との関係性を壊すことなく交渉することが可能だと思います。もちろん全て自分の思った通りにならなくても、何か進歩があれば、それは大きな経験となります。

マネジメント層や人事のトップは個々の社員のキャリア開発や職務内容にまで丁寧にケアをしてくれる時間はありませんし、自分の目線での状況はなかなか理解してくれません。伝えなければ、末端の社員の業務や不満、チームの状況は驚くほど伝わっていません。
交渉を行ったことは私にとって今回非常に良い経験になりました。黙って我慢するか、相手が自分の不満や要求をいつか汲み取ってくれるかもという受け身の姿勢では何も世の中に進歩をもたらさないと思います。交渉することは、能動的に自分のキャリアの方向性や成長を図るためにはとても重要で、男性よりも給与が低い女性にとっては実は不可欠な行動なのではないかと思いました。

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