北京五輪・カーリング女子(ロコ・ソラーレ)、チーム&データ

1、北京五輪、カーリング(女子)日程

2月10日(木) 10:05~ スウェーデン(A. Hasselborg)

2月11日(金) 15:05~ カナダ(J. Jones)

2月12日(土) 10:05~ デンマーク(M. Dupont)
2月12日(土) 21:05~ ロシアカーリング連盟(A. Kovaleva)

2月14日(月) 10:05~ 中国(Han. Yu)
2月14日(月) 21:05~ 韓国(Kim. Eun-jung)

2月15日(火) 15:05~ 英国(E. Muirhead)

2月16日(水) 21:05~ 米国(T. Peterson)

2月17日(木) 15:05~ スイス(S. Tirinzoni)

2月18日(金) 20:05~ 女子準決勝

2月19日(土) 20:05~ 女子3位決定戦

2月20日(日)  9:05~ 女子決勝


2、出場チーム。

(記載の順番は、日本以外はロコ・ソラーレとの対戦の順番。順位は https://worldcurling.org/ による国別、http://worldcurl.com/  によるチーム別。2022年1月30日現在。)

◎日本(7位、5位)
スキップ Satsuki Fujisawa(藤澤五月)
サード Chinami Yoshida(吉田知那美)
セカンド Yumi Suzuki(鈴木夕湖)
リード Yurika Yoshida(吉田夕梨花)
フィフス Kotomi Ishizaki(石崎琴美)

日本女子カーリング史上最強チーム。藤澤は15年に中部電力を退社して加入、本邦最高のフォーススキップ。15年途中に吉田知がサードに入ってから飛躍的に強くなり、パシフィックアジア選手権、日本選手権を立て続けに制覇、16年の世界選手権銀メダル獲得まで駆け上がった。鈴木のジャッジ能力の高さと、吉田夕のウイックなどの技術の高さは折り紙つきで、この二人は「クレージースイーパーズ」といわれて高い評価を受けている。このチームは4人のポジションが固定されていることが、そのまま強みになっている。石崎は02年ソルトレイクシティー、10年バンクーバー各五輪の代表。コミュニケーション能力に優れ、「スマイリング・アサシンズ(笑顔の暗殺者)」と言われるように笑顔を絶やさずにプレーする特異なチーム。平昌五輪銅メダル。

◎スウェーデン(1位、2位)
スキップ Anna Hasselborg
サード Sara McManus
セカンド Agnes Knochenhauer
リード Sofia Mabergs
フィフス Johanna Heldin

平昌五輪金メダルチーム。前回の五輪から氷上に立つ4人のポジション異動がないのはロコ・ソラーレとこのチームだけ。21年欧州選手権はミュアヘッドに決勝で敗退。ロコ・ソラーレには現在8連勝中。

◎カナダ(4位、3位)
スキップ Jennifer Jones
サード Kaitlyn Lawes
セカンド Jacelyn Peterman
リード Down McEwen
フィフス Lisa Weagle

ソチ五輪で全勝優勝をはたしたチームジェニファー・ジョーンズが、2大会ぶりの五輪に参戦する。当時のセカンドで、JJと長らく共にプレーしたジル・オフィサーがメンバーから外れたが、おそらく引退した模様。リサ・ウィーグルはレイチェル・ホーマンのリードだったが、五輪トライアル前にチームに加入した。経緯は不明だが、かなり突然の出来事のようだ。国内では本命視されていなかったが、この加入で運をつかんだのか、苦しみながらも五輪出場をはたした。スキップはもちろん、サードのケイトリン・ローズの技術がこのチームの強み。

◎デンマーク(10位、37位)
スキップ Madeleine Dupont
サード Mathilde Halse
セカンド Denise Dupont
リード My Larsen
フィフス Jasmin Lander

◎ロシアカーリング連盟(4位、10位)
スキップ Alina Kovaleva
サード Yulia Portunova
セカンド Galina Arsenkina
リード Ekaterina Kuzmina
フィフス Maria Komarova

◎中国(9位、74位) 
スキップ Han Yu
サード Wang Rui
セカンド Dong Ziqi
リード Zhang Lijun
フィフス Jiang Xindi

◎韓国(3位、8位)
スキップ Kim Eun-jung
サード Kim Kyeong-ae
セカンド Kim Cho-hi
リード Kim Seon-yeong
フィフス Kim Yeong-mi

平昌五輪のあとはコーチ陣のパワハラ、スポンサーが離れる、キム・ユンジュンの出産からの復帰、など多事多難を乗り越えて五輪出場を果たした。前回とはポジションを組み替えている。

◎英国/スコットランド(8位、4位)
スキップ Eve Muirhead
サード Vicky Wright
セカンド Jennifer Dodds
リード Hailey Duff
フィフス Mili Smith

平昌五輪の銅メダルマッチでのラストロックを決めきれなかったことが、ミュアヘッドにとっては深い心の傷になっていたという。股関節の手術を経て復帰、21年欧州選手権ではハッセルボリに決勝で勝って優勝、北京五輪最終予選も1位通過をはたした。精神的な状態がよさそう。ミュアヘッド以外はすべて新しいメンバーなのは国策のようだが、大一番で結束を保てるか?

◎米国(6位、9位)
スキップ Tabitha Peterson
サード Nina Roth
セカンド Rebecca Hamilton
リード Tara Peterson
フィフス Aileen Geving

調べてみると、前回の五輪からポジションチェンジなどをしているようだ。データ上の数字も上々で、台風の目になる可能性もあるか?

◎スイス(2位、7位)
フォース Alina Paetz
スキップ Silvana Tirinzoni
セカンド Esther Neuenschwander
リード Melanie Barbezat
フィフス Carole Howald

アリーナ・ペイツは2015年札幌開催の世界選手権でジェニファー・ジョーンズに勝って優勝した時のスキップ。その後、ティリンツォーニと平昌五輪の後に合流した。

3、チーム別データ

国名(チーム)         HE     SD      HF    FE   SE    

日本(藤澤)        0.46(3)    0.13(1)    0.33(2)     0.51   0.31
スウェーデン(Hasselborg)  0.34(8)    0.18(3)    0.16(7)     0.64   0.22 
カナダ(Jones)                  0.41(5)   0.19(5)     0.22(5)    0.50    0.38     
デンマーク(Dupont)   0.28(9)    0.28(9)    0.00(9)     0.51   0.35
ロシア(Kovaleva)             0.40(6)    0.20(7)    0.20(6)     0.68   0.23
中国(Han)                          -     -       -      -  -
韓国(Kim)         0.39(7)    0.21(8)    0.18(8)     0.62   0.36 
英国(Muirhead)                0.47(2)   0.16(2)     0.31(3)     0.71   0.36 
米国(Peterson)                 0.53(1)  0.18(3)  0.35(1)   0.65 0.36
スイス(Tirinzoni)      0.42(4)    0.19(5)    0.23(4)     0.64   0.25

・HE(Hammer Efficiency)→後攻のエンドで複数点を挙げる割合。0.4以上が強豪の目安。
・SD(Steal Defence)→後攻のエンドでスチールされた割合。0.2以下が強豪の目安。
・HF (Hammer Factor)= HE − SD。0.2以上が世界で勝つ条件。
・FE(Force Efficiency)→先攻のエンドで相手に1点取らせた割合。ただしスチールやブランクエンドは除外。
・SE(Steal Efficiency)→先攻のエンドでスチールした率。ただしブランクを含む。

注)データは http://worldcurl.com/ より。HFは筆者が計算。なお、中国(Han Yu)はデータなし。

◎参考記事↓↓ 数値は参考記事とは違う。下記の記事が、より細かい数値をもとに算出している。 


4、ロコ・ソラーレ(日本、チーム藤澤)と、他チームとの対戦成績。

vs スウェーデン(A. Hasselborg)8-12 ※現在8連敗中。
vs カナダ(J. Jones) 5-7
vs デンマーク(M. Dupont) 1-2 ※最後の対戦は18年平昌五輪。
vs ロシアカーリング連盟(A. Kovaleva) 1-5
vs 中国(H. Yu) 対戦無し
vs 韓国(K.Eun-jung) 11-12
vs 英国/スコットランド(E. Muirhead) 11-12
vs 米国(T. Peterson) 3-0 ※公式の記載ミス、3-1が正しい。
vs スイス(S. Tirinzoni) 2-10

5、ロコ・ソラーレは金メダルをとれるか?

チーム別のデータではHFの数値は2番目(引用した記事では1番目の数値)の数値を示しており、世界の強豪とも渡り合えるだけの実力を持っている。対戦成績を見ると、北米のチームには相性がよく、欧州のチームにはやや相性が悪い。状況に応じた判断力とコミュニケーション能力を高めてきたことが、今回の戦いで生かされるかが鍵を握る。コロナ禍で感染予防に気を使い、調整に細心の注意を払わざるを得ない中では、本番にピークを合わせられるかが勝負を分ける。

前回に続き東アジアでの開催となり、前回はカナダとスイスが4強に残れなかったが、今回も波乱の可能性はあるとみる。カナダ(J.ジョーンズ)、英国(E.ミュアヘッド)、スウェーデン(A.ハッセルボリ)、スイス(S.ティリンツォーニ)が金メダル候補だが、今回はソチ五輪のカナダのような絶対的なチームはおらず、五輪史上最高レベルの混戦模様ではないか。

ロコ・ソラーレは最初の2連戦をスウェーデン、カナダと対戦するが、ここを悪くても1勝1敗で乗り切りたい。5勝4敗ならおそらく決勝トーナメントにいけるが、とにかく粘り強く戦えば必ずチャンスは来る。相手から見ても勝ち星を計算できるチームではないので、自分たちの良さを出して戦えば面白い結果になる。

ファン目線でいえば、ロコ・ソラーレの金メダルを期待するが、1戦必勝で戦い抜いてほしい。ロコは実力を高めたのは間違いないが、各チームもそれは同様。アジア圏で開催されることが強みになれば、メダルの獲得は濃厚だが、気が抜けない長丁場を全力で戦っていけば、このチームなら結果もついてくる。後は不測の事態が起こらないことだけだろう。(了)


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