LCCM住宅を作ろう

【テーマ】LCCM住宅を作ろう

【目的】LCCM住宅の設計を行い、どうしたらよりカーボンマイナスに近い住宅を作れるのかエネルギーを用いて考察するため。

【使用したもの】
・2mmスチレンボード光栄堂A3・・・1枚
・3mm スチレンボード光栄堂A3・・・1枚
・スチレンのり100ml・・・1本
・カッター・・・1本
・midori定規・・・1本
・カッティングボード・・・1枚
・ピンセット・・・1本
・マスキングテープ・・・1個
・製図用ドラフター・・・1台
・鉛筆HB・・・1本
・消しゴム・・・1個
・TOWAスポンジ・・・赤、緑、黄色を1つずつ
・折り紙・・・黒、茶1、グレーを1枚ずつ

【方法】
1、間取り、LCCMデザインの決定
 まず、縮尺を1/100と決めた。間取りを決めるために、「標準住宅プラン」を参考にして、家のサイズ、部屋の位置やドアの位置を決定した。次に住宅に取り込むLCCMの工夫を考察し、間取りに対してデザインした。

2、使用する材料の決定
 住宅デザインやLCCM住宅の特徴をもとにして必要な材料の選定を行った。
 
3、設計及び寸法確認
 間取りと材料が決まったら実際に設計に移った。壁の厚みと2階の床は20cmを想定して2mmスチレンボード、屋根の厚みは30cmを想定して3mmスチレンボードを使った。製図用のドラフターを使用して正確な寸法を描いた。

4、スチレンボードへの書き写し及びカット
 スチレンボードにHBの鉛筆を用いて寸法図を元に部品ごとの図を書き写した。書き終わったらスチレンボードが1番正確な必要があるため、2回寸法と平行をドラフターで確認した。
 カットをする際カッターと定規で正確に切り込みを入れた。その後、切り込みに合わせて強く切り入れて切断した。寸法図の部品が全て揃っていて正確な寸法か、マスキングテープで部品を設計図に付けた。

5、組み立て
 一度スチレンボードをマスキングテープを用いて貼り付け立体にできるか確認した。その後、スチレンのりを各部品の接合部に0.5mm厚ほど塗りつけて接着した。1階と2階は内装が見えるようにあえて接着しなかった。

6、仕上げ
 接着が終わったら、間取り図や寸法図で確認を行い、ソーラーパネルや木製ルーバーなどの設置を行い完成させた。
 ソーラーパネルは2mmスチレンボードの上から四角に切り取った黒い折り紙を貼り付け屋根の上に設置した。
 木製ルーバーは茶色の折り紙で家の側面に貼り付けた。
 解放屋根はグレーの折り紙で再現した。

7、その他外観模型
家が作り終わったら、生活をイメージしやすいように外観模型を作成した。
 ベンチは3mmスチレンボードを半分に切り1.5mmスチレンボードとして作成した。
 花壇は2mmスチレンボードの上から折り紙を切り取りその上から細かく切ったスポンジで花を再現した。
 木は2mmスチレンボードの上に緑のスポンジを取り付けて再現した。

【LCCM住宅にするための工夫】
・屋根の角度、形状
 まず構成として1階建てを想定して、設計を行なった。屋根の角度はさまざまな材料に対応可能な4寸勾配(21度)を選択した。住宅の奥行きは6.9mなので20度において弧度法を用いて必要な屋根の長さを8.5mと算出した。
 形状は全体が傾斜となっている形状を選択した。これにより太陽光パネルをより多く効率的に設置できる。
 屋根の出っ張る長さは窓の位置、四季の太陽の角度をもとに決定した。窓は屋根より1m下からあり、位置を東京と仮定する。取り込みたい季節を冬(32℃)、春と秋(55℃)とすると60℃までの太陽光を取り入れるのが最適と考えた。これを弧度法を元にして屋根の出っ張りを算出すると1.3mと出た。

・屋根の材料
 屋根の材料にはスレートを使用しコストを抑え、軽量でかつ耐震性も上げた。

・太陽光発電
 太陽光発電としてソーラーパネルを設置した。実際に設計されているLCCM住宅は太陽光が8kW前後であったので8kWとして屋根に設置することを決めた。太陽光は1kWが約10m2で可能なので80m2に設置することを決めた。

・木製ルーバー
 夏に遮光ができ、冬に彩光できる取り外し可能な木製ルーバーを設置することを決定した。  木製ルーバーを用いれば、温度の調節、入ってくる風量の調節、換気量の調節が可能となり、防犯やプライベート空間の確保が可能となる。

・屋根裏の温熱を利用した天井の開閉
 居間と和室の屋根裏を開閉可能にして、天井の素材をFPR波板のクリア板とした。理由として、クリアで熱を取り入れることができ、耐候性も持っているからだ。
 冬や春、秋には屋根裏を開けて光や熱を取り入れ、エアコンの使用を下げ、夏には閉めて熱くならないように換気筒を取り付けた。また、太陽の光が入りやすいため必要以上の家の電気の使用も抑えられる。

・風、光を取り込む裾壁
 模型を見るとわかるように部屋の両端の隅にパラボラ状の壁が設置してある。これは風邪や光を部屋に取り込めるようにするための裾壁であり、目隠しにもなるのでプライバシー保護にもつながる。よって室内の快適性が向上する。

・大開口
 大開口を用いることによって、普通の住宅よりもより多く熱を取り入れられる。これにより冬場のエアコンの消費率を下げる。
 また、大開口のため庭や景色を楽しみたい時に楽しめる。添付した写真のようにいつでも花壇を見渡せる。

・換気口
温かい空気は上に行き、冷たい空気は下に行く。このことを利用して、熱が効率的に循環するように、壁の上と屋根の下にそれぞれ換気口を設置した。こうすることで熱や空気が効率的に周り、湿気によるカビやCo2溜まりによる健康状態への影響を抑えることができる。

・耐災害性
木造や軽量鉄骨よりも丈夫なコンクリート造にした。
さらに床下にアイソレーターとダンパーを追加して地震時の建物の揺れを小さくした。
また、コンクリート構造に筋交いを付加させて横からの力に強い構造にした。

・断熱性能
 まず、屋根に断熱材を用いた。ロハスコートを塗って、温度上昇を抑えた。また、冷暖房の効率もあがる。
 壁と窓などの隙間を埋めるために気密テープを貼り付けた。他にも、配管、コンセント、壁と天井の取り合いにも設置した。壁にも防湿気密シートを貼り付けた。ただ外壁に用いて間取りには用いないため必要最低限の断熱ラインで済む。
 Q値(熱損出係数)を下げるため、ガレージを付け床面積を増やした。

・照明
 照明にはLEDシーリングライトを主に用いた。
 お風呂場、玄関、ガーデンライトなどの照明には省エネになるように、モーションディテクターを取り入れ人がいない際は電気が消えるようにした。

・給湯器
 給湯器は潜熱回収型のものを設置した。普通の家庭用給湯器は20%ほどガスが無駄になっているため、潜熱回収をすることで15%ほど再利用をする。

・耐火性能
 コンクリートにすることで木造などより耐火性能をあげた。また、モルタル塗りを施すことで厚さを大きくし、家内に消化器を設置した。
 
・耐風性能
 台風が起こっても、強風に耐えられるようにするため、前方の窓全てにシャッターを取り付けて保護機能を追加した。
 また、シャッターは耐風以外にも断熱と遮熱にも有効である上に防犯にもなるので取り付けた。

・住みやすい家
 裾壁や木製ルーバーによるプライバシーの保護によって落ち着ける部屋にした。
 屋根裏を収容スペースとして有効活用し、住みやすい家にした。

【結果】
以下に写真をしめす。


写真1 今回作成したLCCM住宅


1階の3mの高さにバラツキがあり2階とのすり合わせがうまくいかなかった。それ以外の間取りやソーラーパネルなどの寸法は上手く取れて綺麗に建てられた。

【感想】
今回全く知識がない状態でLCCM住宅を作成してみて、住宅設計は想像していた以上に考えるべきことが多くて複雑だった。今回導入した知識はおそらく全体に必要な知識のの1/100にも満たないと感じた。制作時間として総計40時間かかった。住宅設計の重みとなぜ何百万円、何千万円も作るのに必要なのか実感することができた。住宅を作っている方に感謝です。

【参考文献】
末光陽子 末光弘和「開放系の建築環境デザイン」学芸出版社(2022)

「工業技術基礎」実教出版(2021)

斉藤 大樹「耐震・免震・制震のはなし」第2版
日刊工業(2008)

編集 池田昭三 設計 ミサワホーム「標準住宅プラン」悟桐書院(1980)

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