読書感想文  「数値化の鬼」

安藤広大さんのベストセラーを読みました。長いですが、自分のためにまとめておきます。


まとめ

数字を見ろ、数字を追え、数字を考えろ、数字でマネジメントしよ。
そうすれば、ビジネスは成功する。

という内容です。

数字の扱い方を丁寧に説明しています。が、用いる用語が特殊なので、とっつきにくいのは否めません。例えば変数というガチ数学用語を使ってますが、数学でいう変数とは意味が違っています。(もちろん、似ていますが)

ゴリゴリ理系の私には、当然でしょ、、、理系は理屈っぽいと、妻や子どもに嫌がられるような内容もありました。

しかし、そんなガチ理系マインドと思う自分でも、ついつい◎◎力、今期は一生懸命頑張ろうとか、ついつい気持ち優先で抽象的な表現を使っているときもあるのに気づけました。

では、詳しく見てまいりましょう

行動

PDCAサイクルを用い、Dこそ最重要としています。Dの回数を行動量といって、何回?何時間?と数字で管理しましょうという内容です。

話はそれますが、私が好きなTOC(制約理論)では、PDCAのうちPが最重要だ。手直しを最小限に、ゼロにするためにも、最初の計画をきっちりしようとしているので、面白いなと思います。

この違いは、何を対象としてPDCAを考えているのかによって違ってるのだと思います。本では営業担当者を事例にあげており、確かに営業マンの数字をあげるにはPよりDでしょう。

TOCでは、比較的大きめな全社プロジェクト、新規事業などが対象であり、その場合はPが重要なのは、なんとなくわかります。

で、本題に戻りますが

営業で、売上を上げることが目標であると、ここではしましょう。その場合、どうするか?

売上= 単価 × 販売量

と因数分解してみます。

単価はこれ以上分解できないとしまして、販売量をさらに分解します

販売量= 顧客への訪問回数 × 受注率

としましょう。

すると
売上= 単価 ×  販売量
           ▼
         顧客への訪問回数 × 受注率

売上= 単価 × 顧客への訪問回数 × 受注率

この辺ぐらいまで、分解したら、売上げに大きな影響と与えるだろうKPIとして顧客へ訪問回数を想定し、1ヶ月に100件以上訪問するというKPIを設定し、担当者は、まず愚直にその回数を達成することを目標にしましょう

という考え方です。一般的な、KPIの考え方ですね

とくに、面白いのは、心を鬼にすることです。訪問回数の事例でいえば、95件も訪問できた。今月はコロナの影響もあったけど、こんなにできればよくやったよね。

という甘い天使の声は禁物です。

心を鬼にすると言ってるように、安藤さんは、人事評価として、マイナス評価を導入することも提案されています。つまりKPI未達だと- 2点とか。逆に達成すれば +3点というように。

ここで、多くの方は、突っ込みたくなるでしょう。

訪問回数を上げたといって、売上が伸びるわけではないよね?回ればいいってもんじゃない、御用聞きの時代じゃないんだ。 

新橋ガード下のサラリーマン

というナイス突っ込みも織り込み済みです。

次以降の章になりますが、それはKPIの設定が悪いんだということです。本当に売上げに効く要素(これを変数といってるようです)を見極めて、それを追いかけること。そのためにDの行動を増やして、その変数が正しいのかどうかもちゃんとみきわめること。

そんな内容の章でした


確率

いちばん、理系には「当たり前じゃん・・・」的な章でした。僕にとっては数学の話に聞こえました。笑

%と平均について、数学が苦手な人なら、だまされるトピックをビジネスの場面にあてはめて説明しています。

まず%から見てみましょう。確かに世の中に、怪しい%はゴマンと存在しています。

ダイエット96.6% 成功 

とあったとしましょう。皆さん、これ信じますか?疑いますか?

私は100% 疑います、というか質問します。この辺が理系が理屈っぽいと、家族から嫌われる理由なのですが。笑

小学校で習ったように%は割合です。全体がどれくらいで、見たいものがどれくらいあるのか、全体を100としたときの相対的な割合を示してます。

つまり、分母と分子が重要なのです。数学のセンスがない人は、簡単に%でだませちゃいます。ダイエットの例では、分母と分子は何ですか?と質問します。これだけです。

前年比20%アップが目標としても、創業100年以上の安定した企業なのか、昨年起業したての会社なのかで、意味合いは全然違うでしょう。 創業100年の売上 10億円ある会社が20%アップで12億円になったらすごいかもしれませんが、起業したでで昨年は売上げ10万円しかなかった個人事業主が、今年度12万円になっても、それは意味のある成長でしょうか。

%で確認することは(私見です)

  1. 何が分母で、何が分子?

  2. それぞれの具体的な数字はいくつか?

  3. その絶対値はビジネス上、意味がある数字か?

ってか、本当は逆であるべきで、1-3をしっかりもってるからこそ、それを完結に表現する方法として%を使ってるんですが、、世の中に算数・数学アレルギーがやっぱり多いので、現実は違うのでしょう。

私は歴史や体育、音楽がまったくダメ(=数学・理科以外ダメ)なので、気持ちはとってもわかります。

次は、平均を見ます。平均は合計を個数で割ったものです。営業チームの平均売上げを比較していますが、それは意味がありますか?所属人数、担当地域、エリアの人口、エリアの年齢構成(若い人が多いのか、高齢者が多いか)など、によって全然違うでしょう。

それを平均だけ見ても仕方ないと。

その通り。

個別具体的なレベルに落とし込んでいって、分子 / 分母の  "分子" にあたる部分の個人の行動レベルに落とし込んで(安藤さんは詰めると表現してますが)行きましょう。

間違ったKPIの設定方法として、%や平均を使うと、数字の意味を忘れてしまい、言い訳、勘違い、深く考えない方向にいってしますので、心を鬼にして、とことん数字を詰めましょう。

そんなことを書いてるように理解しましたが、理系人間の感想としては、数字の見方そのもので、本著お「鬼のような形相のパワハラ上司が数字を詰める」といった昭和のサラリーマン的状況とは全く違う話なのでご注意ください。


変数

また数学ネタですみませんが、中学で習った y= ax + bの一次関数の式を覚えてますか? xが変数でbが定数です。定数は決まったもので、いわば麻雀の配牌みたいなもんで、変えられません。仕事をする上で、定数に力をいれてもしかたなく、変えられる部分 (x)に力をいれて、アウトプットであるy(売上げ)を伸ばしましょう。という考え方です。

xが変数です。本でも変数という言葉をつかってます

(自分のメモのためなので)理系っぽく書いちゃいますが、現実は多くの変数があり、こんな感じでしょう。(一次式とも限りませんが、そうしておきましょう)
y(売上げ)= a1x1 + a2x2 + a3x3 + a4x4 + a5x5・・・・・+b 

営業の例でいえば
x1: アポイントの電話軒数
x2: アポイント取得回数
x3: 実際の訪問件数
x4: サンプルの提供回数
x5:接待の回数
 とか、実際に仕事をしていって売上げにつながるまで、営業マンがやってることっていっぱいあるわけです。その中で、どれをKPIとして使うか?

ここでいえばx1からx5までの変数のうちどれが一番売上げに効いているのかを特定して、それを徹底的に追っていくのが重要です。ちょっと数学が好きでデータを扱える人なら、営業マンのそういうデータを全部もってたとしたら、多変量解析で、実際にどの行動が一番営業へ売上げがよいかなどを調べることが、Excel君でもなんとかできます。(この辺りが私の素人数学レベルの限界・・・)

中学数学でならった言葉を使えば、a1〜a5である数字(変化の割合)が一番大きい変数に注目することなんでしょう。例えばa1なら、1回アポとれば、売上げどれくらい伸びるかって数字なので。

こんな風に中学の数学っぽく書くと、おそらく96.6%の読者は読んでくれなくなるので(笑)、もっとわかりやすくこの本は書いてくれています

ビジネスの話に戻します

どうやってKPIを設定するの?

営業マンの例でいうと、最初から売上げが出るまでの行動をすべて時系列に書き出しましょう

①→②→③→④→⑤→⑥→⑦→→→ 売上げ!ってイメージです。

全部書きます

多いです

気にしない。笑

で、そこから絞ります。

ぱっとみて、これは関係ないっしょというのは削除しましょう。
例えば、王将で昼ご飯にラーメン食べるとか。きっとラーメン何杯たべても営業成績は何も変わりません。

営業成績に影響を与えるかな?ってのを残してください。直感でOKです。多過ぎでもダメですね、人間が感覚でわかるのは、3つほどなんでしょうか。

本の事例では新しいシステムを事例にして
アポを取る→お試し→採用
と3ステップに簡便化して、どれをKPIとして追っていくかを書いてます

3件の採用(P:目標)をとることとして、KPIとしてアポを10件とる(D)としましょう。それを徹底的に行動して、追っていきます

でも、実際に採用が増えないかもしれません

その場合は、徹底的に考えます。プロセスを振り返ります。

本では、お試し期間→◎◎→採用の間に、秘密のステップ「顧客への連絡・フォロー」があることを、徹底的に振り返り、考える過程で見いだしています。実は試用期間で、疑問や不満がでているということがわかりました。その疑問や不満を解消するフォローが重要だったのです。

そうすると、このフォローの回数をKPIにすることができます。

このように、行動レベルまで全部書き起こすことで、どの行動が実際の売上げにつながってるのが見えてきます(と書いてます)。

営業ってのは、気合いが足りん、人間力が必要だ。とかそういうのはKPIになりません。そんなのを見るのではなく、すぐ変える・実践できる行動レベルに落とし込んで、それを見て、管理して、突き詰めていきましょう(と書いてます)


真の変数

ほぼ上でカバーしちゃいましたが、いろいろある変数のうち、本当に目的(売上げとか)に効くもの、一番効く者をみつけて、しぼりましょうと言ってます。何個も何個もKPIを追っかけるなんてできませんし、マネジメントコストが増えるだけです。

また、いい変数を見つけたとしても時代の流れで変わります。常に、何をKPIとして追っていくのが、本当の目的・ゴールにたどり着くのかは見ていきましょう。KPIは生き物です。置いて飾るのではなくて、日々の水やり、お世話をしつつ変化を機敏に感じ取り、都度修正することが大事です。


長い期間・数値化の限界

ここまでの内容は短期(週、月、年)ぐらいのイメージかもしれませんが、本では長期の視野の重要性や数値化の限界にもふれています。実は一番重要な内容だと思います。詳しい内容は本をぜひお読みください!



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