京成杯オータムハンデコース論
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京成杯オータムハンデ(中山・芝・1600m)
コースデータ
・右回り/外回り
・スタートから2コーナーまで 約240m
・最終直線 310m
・高低差 ほぼ5.3m
・最終直線坂 2.4m
特徴
・スタート地点は1コーナー横のポケット
・緩く下りながら約240m進んだところで2コーナーに入り、向こう正面に向かいながら一気に下っていく
・向こう正面は全て下り
・3コーナーの途中で内回りと合流、3コーナーは平坦で推移
・4コーナーの途中から若干の下りがあり、下り切った後は最終直線1F弱で2.4mの急坂
このコースを使用するOP以上の競争
G2
ニュージーランドT(3歳)
G3
フェアリーS(3歳)
ダービー卿チャレンジT(4上・ハンデ)
京成杯オータムH(3上・ハンデ)
ターコイズS(3上・牝・ハンデ)
L
ジュニアC(3歳)
ニューイヤーS(4上)
東風S(4上)
アネモネS(3歳・牝)
コース考察
○最内は有利
このデータを見てまず目につくのは、やはり1枠の圧倒的優位性。1着・3着内共にこの枠だけ頭一つ抜けており、中山外回りにおいて距離ロスなく戦えることがいかに有益かを如実に表している。
4枠の1着率が高い理由は、単に上位人気馬、特に1番人気がこの枠に入っているケースが多いから。
要するにデータの偏りの範疇。この枠だから何かが有利に働いているというわけではなく、それは同時にこの枠だから買いという強調材料がないことを示している。
意外に思われるかもしれないが、外枠の成績もそこまで悪くない。
コースの構造だけで考えれば終始外々を振らされるリスクが付きまとい厳しくなりそうなものだが、実際には19年ターコイズSのコントラチェックや23年フェアリーSのキタウイングなど、重賞級であっても勝ち馬を出している。
「内枠有利」と「外枠不利」がイコールではないことがよく分かる例である。
このコースはその馬が採りたい戦略によって枠の有利不利が変化するため、脚質と枠を合わせた話は下に書くとして、コース区分別の成績は以下の通り。
Aコース
Aコースが使用されるのは主に2回開催(春開催の前半)と5回開催(12月)。
比較的馬場が綺麗なコンディションでの開催が多いためか、内目枠の馬がよく勝っている。
ただし馬券内ということで考えるとフラット。
Bコース
Bコースが使用されるのは主に3回開催(春開催の後半)と4回開催(秋)の前半。
非常に興味深い偏りかたをしているが、どうしてこうなっているのかはよく分からない。単に母数が少ないからかもしれない。
Cコース
Cコースが使用されるのは1回開催(年明け)と4回開催の後半。
こちらも偏りが大きいが、何でこうなっているのかはBコースと同じでよく分からない。
余談だが、Cコースのレースは過去これでもかというほど荒れており、23年フェアリーSの勝ち馬キタウイングの単勝35.8倍は生ぬるく、21年ニューイヤーSの勝ち馬ミッキーブリランテは単勝91.1倍、果ては20年の2勝クラスでトーラスジェミニが141.8倍の大穴を空けている。
○柔軟性が求められる
差し馬が数字的には最も多いものの、若干の逃げ・先行優位性もないわけではない。位置取りの傾向的には阪神にやや近いものの、それよりも少し前目にボリュームゾーンをずらした感じだろうか。
ただし上述の通り、このコースは枠と脚質をセットで考える必要がある。
まずは逃げを枠別に見たい。
もう見るからに一目瞭然で、最内かそれ以外かという極端な結果。
逃げるなら内ラチを頼ってコースロスを少しでも減らしたいというのがよく分かる結果といえる。
続けて先行馬。
ここは一部外れ値的なものも出ているが、だいたいの傾向としては大外に弾かれなければどこでも比較的勝負になる。
8枠は母数も少ないのだが、そもそもこの枠から前を取ることがコース的に無理をしなければいけないので、上がりを使えない粘りこみ系の馬がこの枠に収納された時点でやはり馬券的には嫌うべきか。
3枠は母数が8枠と同じくらい少なく、また率の観点で見ても8枠以外の他の枠よりも低くなっており、やや厳しめ。理由はよく分からないが、あくまで憶測の範囲で言えば、内の1,2枠のほうがより楽に先行でき、そのペースに合わせなければいけないからであろうか。
最後に差し馬。追込は基本的に難しいコースなので除外、捲りは枠というよりは考え方の問題なのでやはり除外。
ここで初めて外枠の馬が台頭。内の逃げ馬ほど極端な感じではないものの、相対的に外枠のほうが立ち回りやすいということだろう。
コース的な原理原則で言えば脚を溜めて、或いは道中から吹かしていって長い脚で勝負する馬にとっては、外枠の方が狙ったタイミングで仕掛けやすかったり内の渋滞を避けて通れたりで、一概に「外枠だから不利」という短絡的な状態にはなりづらいということである。
ただし、内目の馬場が終始伸びるような状況下では差し馬であってもインに潜れるほうが有利、つまりは外枠だと厳しい戦いを強いられることになってしまう。そこは当日や開催全体の傾向を読まなければならない。
併せてコース区分別成績も記載しておく。
Aコース
Bコース
Cコース
仮柵が外へ行くに従って、先行勢の優位が削がれ差しが台頭する傾向。
過去の京成杯オータムハンデラップ推移
22年は道中酷くスローで流れたため痺れを切らしたミッキーブリランテが捲って上がって行き2着に残しているが、基本的にはテン3F34秒くらいの比較的速めな入りから、じわじわとラップを落としていく、前傾気味の推移をする。
最終1Fはその時々のレース展開、要は先行勢がぎりぎりまで粘りこむか早々に差されるかによって速くなったり遅くなったりするので、そこまで気にする必要はない。
この前傾気味なラップ推移という部分が重要で、マイル戦というよりは1200mや1400m戦で見られやすいもの。
加えて中山1600mは距離こそマイルだが大部分は下り勾配であり、速度もつけやすく消耗も比較的抑えやすい。
よって、このコースでは、距離が怪しいがスプリント的速度を持った馬にも活躍の可能性がある。阪急杯2着の実績があるミッキーブリランテ・オーシャンS勝ち馬コントラチェック・後にスプリンターズSを勝つジャンダルムなどが好走しているのは、その特性が出ているのではないだろうか。
まとめ
コース的には時と場合による変化を機敏に感じ取らなければいけない難しいところ。
そもそものつくりが独特なのもあり難解なコースではあるが、このコースだから走るというリピーター傾向の強いところでもあるため、癖を掴めばドル箱になり得る。
ダービー卿CTはハンデ戦ということもあり、より混迷を極めている。
一方のニュージーランドTは世代戦ということで力差は見えやすいが、コース的に能力がそのまま反映されづらいコースなのが悩ましいところ。
いずれにせよ枠が重要なコースではあるので枠が出てから思う存分悩めばいいが、Bコースのため足切りラインがやや後ろに下がっていることは頭に入れておきたい。
あくまでコース論はフラットで見た際の傾向を示しているにすぎず、馬場コンディション・風・天候その他諸々の要素は一切考慮していない。
実際の予想にはこれらや他の要素も当然干渉してくるので、それも踏まえた予想を組み立てていかなければならないのである。
文責:もじゃ
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