七夕賞コース論

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七夕賞(福島・芝・2000m)

コースデータ

・右回り
・スタートから1コーナーまで 約505m(Aコース)
・最終直線 292m(Aコース)
・高低差 1.9m
・直線坂 1.7m
・3,4コーナーはスパイラルカーブ

特徴

・スタート地点は4コーナー奥のポケットで、1800mのスタート地点から200m後ろに下がった場所
・最初の200mは下り、その後約1.7mの坂を上り、1コーナーは下り
・2コーナーは緩やかな上り、向こう正面の途中で1.3mの上りに切り替わり、その後平坦
・3コーナー、4コーナー途中まで平坦、4コーナー途中から下り
・最終直線でもう一度上る

このコースを使用するOP以上の競争

G3
七夕賞(3上・ハンデ)
福島記念(3上・ハンデ)


福島民報杯(4上・ハンデ)


コース考察

○中央4場とは違う

福島芝2000m・枠順別1着割合(2018年~・1勝クラス以上・16頭)
福島芝2000m・枠順別馬券内割合(2018年~・1勝クラス以上・16頭)

 フルゲート時の勝ち馬の枠に関してはそこまで明確にどこが有利・どこが不利という傾向はみられない一方で、馬券内に関してはやや外に偏っている。
 中央4場で同じくらいの距離帯だと明確に外枠が不利な傾向が出ていることを考えると興味深い。
 やはり小回りなコースでかつ馬場の傷み方も早い分、内に頼ると速度が出しづらくなるのだろうか。

 この独特な傾向を補強するデータをもう一つ提示しておく。
 Aコース(主に開催が始まって2週間使用)でのデータである。なおBコースは母数が少ないため省略する。

 Aコース

福島芝2000mAコース・枠順別1着割合(2018年~・1勝クラス以上・16頭)
福島芝2000mAコース・枠順別馬券内割合(2018年~・1勝クラス以上・16頭)

 全体データと比較して、「内-外」の構図として比較したときに内の勝ち馬が多く、逆に外の勝ち馬はほぼいないことが分かる。
 Aコースを使用している状況下というのはまだ馬場の傷みが小さい場合がほとんどで、内ラチが生え揃っている状態の芝を走れる分、自然とその内側を頼って走りやすい内枠が有利になることは想像に難くない。

 また、今回はデータの乏しさから明確な傾向を導けるほどの信頼性がないと判断し省略したが、開催が進み馬場の傷みが激しくなってから使用されるBコースの場合は外枠が台頭するようになる傾向がある。

○中団くらいが勝ちポジション

福島芝2000m・脚質別1着割合(2018年~・1勝クラス以上・16頭)
福島芝2000m・脚質別馬券内割合(2018年~・1勝クラス以上・16頭)
内側の円が馬券内・外側の円が総数

 脚質ではかなり個性が現れている。
 基本的にはある程度の位置を取って戦うことを前提としており、4コーナー時点で前目にいないと差し切りは困難。
 このあたりの特徴は阪神内回りに類似しており、後方から運ぶのであればロングスパートの競馬が必須。
 また逃げに関しては決まるときは福島記念のパンサラッサユニコーンライオンなど派手に決まるが、一方で常に捲られるリスクを背負っている戦法でもあるため、沈むときもまた派手に沈む。

 先述の通り後方からの一気はほぼ間違いなく届かず。向こう正面の途中から3コーナーにかけての区間で勢いよくスピードアップしてくる形の競馬を取れるのであれば1,2コーナーで2桁通過順でも問題ないのだが、流石に勝負所で後方では無理。

 色々な意味でスケールの小さい阪神2000mか2200m、と捉えれば考えやすいかもしれない。
 このコースのOP競争は全てハンデ競争のため別の意味でも難解ではあるのだが、多少はイメージしやすいだろう。


過去の七夕賞ラップ推移

 ある程度距離のあるレースであり、かつスタートから1コーナーまでの距離が長いことで、出走馬によっては序盤の展開がかなり変動しやすい。
 13年にはテン3F33.7とハイペースで流れていった一方、その翌年2014年はテン3F34.8とそう極端に早いわけではない推移で、このあたりは中・長距離らしい。

 それ以上に特徴的なのは、向こう正面が短い影響で中盤にしっかりと緩められる場所が存在せず、結果落ち着かないペースで推移しやすいという点。
 平気で12秒ジャスト前後で推移し続けることも珍しくなく、馬場状態によっては終盤にかけてタフな展開が作られていく。

 ややこしいのは、ここに書いてあることだけで考えると差しの台頭があってしかるべきなのだが、実際には小回りコースという部分が干渉してきている影響で純粋な差しはそう通らず、差し馬は捲りという形での競馬をしなければいけないというところ。
 16年アルバートドック、17年ゼーヴィント、18年メドウラーク、19年ミッキースワロー、20年クレッシェンドラヴ、22年エヒトと、2コーナー通過後向こう正面から終盤にかけて位置を押し上げていく競馬をした馬が勝った時が非常に多く、いかにも小回りローカル一周コースの特性を存分に発揮しているといえるだろう。

 なお、こういった馬が勝たなかった場合は過去10年の全ての年で普通に前目にとりついた馬が勝っている。
 あくまで純粋な差し追い込みは通らないが、後ろから早めに動いてくれるかどうかは不透明な部分も大きいので、勝つかどうかよりも安定感という意味で先行馬を狙うのも一つの戦略かもしれない。


主観

 コース的にはローカル小回りのお手本のような場所で、勝ちパターンはとにかく4コーナーを早めに抜け出すこと。
 直線での切れ味があっても物理的に届きづらいのもローカルに共通しているので、差し馬ならロングスパートをかけられるかどうか、あるいは先行能力が高いかどうかという部分に焦点を当てれば、自ずと買うべき馬は絞られてくる。

 七夕賞という重賞でも基本的な考え方は同じで、4コーナーを早めに通過しそうな馬を狙うのが基本となる。
 ハンデに関しては、スタート直後の位置取りであったりという部分には関与してくるが、正直短距離ほど馬の能力にそこまで極端に影響するわけではないはずなので、馬の個性として斤量負けしやすい等の事情がなければ敏感にならなくてよさそう。


文責:もじゃ

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