ガンガンやって早く飽きてね
わたしはかつて、江國香織ワールドの住人だった。彼女の紡ぎ出す世界観が好きで、好きで、好きすぎて、勝手に住みついていた。勿論、無許可です。しかし、今のわたしはすっかり現実を生きる女になってしまって、彼女の美しい小説を読んでも、絵空事のような、若しくはどこかずっと遠くの縁もゆかりもない土地の話のような、そんな気がするようになってしまった。
それでも、あの頃わたしの身体に入ってきた沢山のものの中には、肉となって今でも存在し続けているものもある。江國さんのエッセイに登場した、ハイポジの「身体と歌だけの関係」という歌はなぜだか時々、突然口ずさみたくなる。「ガンガンやって早く飽きてね」なんてインパクト!しかし、実はとても純粋な歌詞なのだ。「歌だけがのこる。歌だけがのこる。ステキな僕らのステキな歌だけがそこにのこる」ね、純粋でしょ。
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