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私文庫(2022年10月)

この10月に読んだものの記録です。ネタバレ有り注意です。


「血の轍」第9集、第10集(押見修造、小学館)

あーもうマジやば。怖い怖い。おかん拘留されてその場にいないのに影響力ありすぎるのいかにも毒親的で怖い。第10集の後半とくにヤバくないですか? 吹石と電話して「西片と高木さんみたいやん♡」ってほっこりしてからの展開。真夜中、雪降ってんのに山行こうって言ってきかないしげちゃん怖すぎるw あれ夢ですよね? 夢だと言ってください怖すぎて寝すぎて午前中もずっと眠いです!


「ヴィンランド・サガ」26巻(幸村誠、講談社)

この26巻は神巻ですよね。ヴィンランドの魅力は登場人物がググッとキャラ変する時。人の営みに襲い掛かる虚しさ、哀しさ、ままならなさにめっちゃ叩きのめされて、それでも絶望しきらず生きていくと決める、その時キャラが大きく変わるんですよね。成長するって言うか。

8巻なんかまさにそう、奴隷になったトルフィンが生き方そのものを変えていく。物語が「父の仇討ち」から解放されて、むしろ重厚さを増したこの巻も神巻でした。ヴィンランドは8巻から始まると言っても過言じゃない。アニメで言えば次のシーズンから。

で、この26巻はやっぱ、思ってもみなかったヒルドの赦しにトルフィンのみならず読者も癒されます…いやホンマに泣いたし。殺された家族の記憶に感情が伴わなくなるまで耐え抜いたヒルドと、その過程を巧みに描き切った幸村さんを尊敬しますね。

とはいえ状況としては不穏なんですよね、未開の地の開拓なんて不安定要素しかないし。

武器を持ち込んでる右派グループ(笑)や不信感たっぷりなシャーマンの存在以外にも、開拓団が二手に分かれてること、原住民と最初は友好的に出会えていること(コロンブスもそうだった)、開拓村に(絶望のまま死んだ)アルネイズの名が冠されていること、などなど、ヤバいフラグがいっぱい立ってる。

なので、この不穏さ、先行きの見えなさと、ヒルドが与えてくれる赦しのバランスが絶妙すぎて、これは神巻だと思う次第なわけですよ。

史実的にもトルフィン団の西方植民は失敗に終わっているらしい…ので、どんなラストになるのか気が気じゃなくって夜しか眠れないし寝すぎて午前中もずっと眠いです。


「ブラッドハーレーの馬車」(沙村広明、太田出版)

沙村さんの作品は「ヒロインもしくはそれに準じる美しい女性キャラが性被害を受ける」傾向があるので、受け付けない人も多いだろうなと思います。この作品も残念ながら例外ではありません全く。ただ「こんな話よくイチから考えたな」という構成力、そして類い稀なる画力に引寄せられてつい読んじゃうんですよねー 「無限の住人・令和編」描いて欲しいです。                         





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