見出し画像

まいにちを戦い抜く服として

薄い皮を剥いていくように冬が去っていく。
今月の上旬はあんなに寒かったのに、今じゃもう灰色のコートは何処かに捨ててしまいたいほどの陽気。
この一ヶ月はほんとうに肌で季節の変化を感じられるから、とても楽しい。

“March comes in like a lion and goes out like a lamb.”

変化のない日々なんてないのだけれど、この三月は殊にわたしの周りもわたし自身も変化を感じる。
ほんとうは変わることは苦手でたまらない。
でもそれを止めることができないことくらいよくわかっている。
いつまでも聞き分けのいい子なのだ、わたしは。

聞き分けのいい子は行儀のいい服を好む。
一枚で完璧で、美しく、無敵の服。
そんな服をずっとずっと探している。
mame 2014awのコレクションの中では比較的安価な(それでもわたしはプロパーではとても手を出すことができない)一着。
灰色は地味な色なのに、どうしてこんなにわたしたちの肌に合うのだろう。
主張はしない、けれど品よく見せる、使い勝手のいい色にいつしか夢中になった。
白い襟は純潔の証のように繊細な模様が描かれている。
わりと胸があくのにいやらしくないのはmameの戦闘服たる信念が宿っているから、と妄想する。
薄手の生地はなめらかで、ほんとうは秋冬ではなく春のための服なのではないかなって錯覚してしまう。
この服がほんとうに似合う季節はごくわずかかもしれないけれど、それを惜しまずに楽しんで行こう。

変化する毎日に耐え抜くために、わたしのクローゼットにはだいすきなワンピースばかりを揃えていく。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?