鈴蘭には毒がある
いつからかは忘れたけれど、ずっとワンピースに心惹かれている。
でも幼い頃はワンピースを着せてもらうことはなくて、いつもスカートだったりキュロットだったりズボンであったりを着ていた。
動きやすくて着回しができて悪くなかったけれど、どこかでワンピースに憧れを抱いていた。
それが表れたのは大学生の時、バイト代を持ってラフォーレやルミネを訪れた。
地元とは比べ物にならない服たちの中でワンピースがひときわ輝いて見えた。
そこからわたしのワンピースジプシーが始まった。
あれから何年か経ち、たくさんの好きだったものを通り過ぎた。
いつだって最新の自分を愛すけれど、いつまでも愛していたいものがある。
いつかそういうものばかりを集めたクローゼットになったならどんなにしあわせなことか。
mameの鈴蘭ワンピース。
mameは14awから好きになったブランド。
過去のコレクションを見たらとてつもなくツボで、それならもっと早く見ておけばよかったと思ったほど。
“すべての服は限定品”
だから好きなものは手に入れる。
もちろんわたしの手の届く範囲で。
少しだけ手を伸ばせば届く範囲で。
この鈴蘭ワンピースはmameをすきになってからオークションで手に入れた。
鈴蘭柄はこのシーズンを表す柄で、自分がはじめてすきになったコレクションのこれだという一着を持っておきたかった。
花柄なんてわたしのキャラではないけれどこれだけは着て何処へでもいけそうな気がした。
薄手の柔らかい生地は軽やかで晩夏の夕暮れにぴったりだ。
いつかこれを来て夜の生暖かい街を飛び回りたい。
mameのコンセプトは現代社会における戦闘服。
とびっきりかわいく、とびっきり隙のない完璧なワンピースでわたしはよりつよく、けだかく生きられる。
鈴蘭には毒がある。
かわいいだけではつまらないからね。
もう二度とやって来ない日を積み重ね生きるよ 風に揺れてる鈴蘭
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