車載用スマホホルダーを捨てた

 車載用スマホホルダーを捨てた。
 詳しい目的は覚えていないが、愛車の車内にスマホをセットできたら便利だろうと思い、車載用スマホホルダーをホームセンターで買った。自分のスマホとのサイズを間違えてしまうと意味がないので、通販ではなく、ふむと実物を手に取り品物を確認した上で購入した。抜かりはない。僕はそういうちゃんとしている人だ。

 いざクルマに戻り、パッケージを開封し、取扱説明書の詳読もほどほどに、こんなぐらい取説なくてもなんとかなるわなと、そぞろ取り付けてみたら、スマホのボリュームがいきなりマックスになった。なんだこれは。この商品はスマホとワイヤレスで通信できるなにかハイテックな機能がついているだろうか。
 いったん取り外して、製品を360度見回し、通信機能などあるわけないか、あはは。と詼諧嘲謔。気を取り直し、もう一度取り付けを試してみるもまたマックスになった。そこでやっと気づいた。ボタンの位置だ。

 購入したスマホホルダーは、撥条の力で左右からぐいと挟むタイプであり、ズレ落ちぬようしっかり挟むタイプであるから、挟んだ途端にスマホ側面のボリュームボタンを押下していたのだ。商品のサイズは確かめたが、自分のスマホのボタンの位置などさっぱり気にしていなかった。
 しかしそこは機転と発想の権化の僕である。何のことはない、スマートフォーンをちょっと上にずらして挟めばよいのではとの天恵を受け留め、至急対応するも、定位置のときにはあんなにもしっかり挟んでくれていたホルダーがまるで仕事をしてくれず、すぐに外れて手前に落ちてしまう。下へずらせばどうか? 否、左右と底の3点支持であるのだこのホルダーは。
 快適なドライビング環境を手に入れるための取り付けを諦めた僕は、スマホホルダーを後部座席へ放り投げ、そのまま情熱も冷めてしまった。その後、車検の前に車内を片付けて、スマホホルダーは捨ててしまった。

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