コミュ症おじさんここに健在

春田菜月は頭を悩ませていた

叔父のコミュニケーション能力の乏しさだ
ちまたでいうコミュニケーション障害らしいが

ここではよりソフトな印象でコミュ症としておこう

かれは自宅前のおタヌキ文具倉庫に通っていた

おタヌキは文房具を中心に食料品や家電をディスカウントしている

叔父は今日もそこで買い物をしてきたらしい

ダイニングの目の前は大量のお菓子とペットボトル
いわんこっちゃない散乱ぶりに菜月は声を上げる

「またスナック菓子買ってきたの!これじゃニートじゃん」

そう叔父貴久はニートにしかみえないような自営業者なのだ

彼の肩書きはシーケンス制御作業技能士
それなりにどうにかなってる会社の社長だ

ちなみにダイニングが散乱するには他にもある
三男広吉のわがままが原因だ

広吉はリーマンショックで勤めていた会社を辞めて以降
仕事をしていないのだ

いつも理由にならない言い訳を繰り返すので
菜月はスルーしている 働かない男ほどロクでないものはない

そんな広吉を世話している貴久に営業の深田さんがきたことを
伝える「今日 未来コーポレーションの営業さんがきていたよ!
2日後にまたくるけど 叔父の土地はよくわからないって言っとく」

スナック菓子を食べていた貴久の手がとまる
一瞬何かを考えたようだ 口元がわずかに動き
「よろしく」と言った様子

報告これでよし
あとは深田さんにその旨伝えるだけだ!

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