猫好きの深田さん

〜あるネコ探偵の物語〜

登場人物 

主人公 深田清志 広告代理店デザイン部 営業担当 わたくし
語り手 春田菜月 フリーライター   
叔父  春田貴久 シーケンス制御作業技能士  
父   春田慶ニ 公務員 元教師  
三男  春田広吉 リーマンショック以降無職  
広告代理店デザイン部 部長 武田政富
広告代理店デザイン部 課長 石橋猛男

前書き これは 事実をもとにした物語です

実際の企業名 個人名は伏せさせて頂いています

事実は小説より奇なり
最後までゆっくりご覧ください

数年前 わたしの自宅にはある広告代理店の営業マンが出入りしていた
自宅の目の前には広い土地があり

そこに「デザイン事務所を建てたいので土地を貸していただけないですか?」

と深田さんが聞きに来たのが始まりだった

その当時私は不況の煽りを受けて会社をやめ
自宅で過ごす時期が増えていた時だった

ピンポーン いつものように白猫さん宅配便が届いたかな?
と居間から窓を開ける

おや?今日は荷物なし
変だな?と思い「どなたですか?」と声をかける

「すみません!未来コーポレーションデザイン部 営業の深田と申します!」

「はい!どうぞ」飲んでいた紅茶によけて
対応にあたる私

未来コーポレーションは中部地区では有名な大手広告代理店だ
なんの用事だろう?

「春田様の奥様ですか?」何やらトンチンカンな質問が飛んでくる
「いいえ違います ここの娘です」即座に否定する私

私のうちは父子家庭
奥様などいるわけがない まあ暇だしいいだろう

ささっと懐から名刺を出し自己紹介をされる
そして近くに未来コーポレーションの新しいオフィスを建てたいので

そのための土地を探しているとのこと

なんやらよくわからないけど
こういうことは不動産会社を通してくるものではないだろうか?

怪訝そうに私の顔色をうかがう深田さんに
直球で質問をする「なんでここにオフィスを建てたいんですか?」

「実はですね!ここの立地は非常に日当たりがいいので不動産屋さんにお願いしてみたのですが なかなか交渉に乗っていただけないので直接お願いにきました」

なるほど不動産屋さんに取り合ってもらえないから
猫の手も借りたい状況で直接交渉か‥‥

あまりに誠実すぎて断れない

でも目の前の土地は私のものではないので
近くに住む叔父に聞いてもらわないことにはわからないのだ

それを伝えると深田さんは名刺に2日後のアポイントを書き込んで去っていった

続く

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?