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ウィーンへ行きました。

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ブログのようにさらっと読める小説シリーズ、今回は音楽の都、ウィーンへ参りましょう。 ゆき恵は悩める32歳のCA。壊れた家庭で育ったせいか、安定・不安定の境界線にいます。今、彼との…
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記事一覧

ウィーンへ行きました。①

憂いが似合う街 気づくと早足になっていた。夕暮れ迫るシュテファン寺院界隈を、コートの衿を…

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2年前
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ウィーンへ行きました。②

緊迫の北京線 その日、朝のNHKニュースでは関東地方で長い梅雨がようやく明けたと報じてい…

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2年前
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ウィーンへ行きました。③

婚活、わたしはムリだ 原田とは、付き合い始めて二年近くになる。お互い三〇代に突入している…

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2年前
3

ウィーンへ行きました。④

カミングアウト 夕食は近くのシュニッツェル(仔牛肉を薄いとんかつ風に揚げたオーストリア名…

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2年前
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ウィーンへ行きました。⑤

コントロールしたいの? 翌朝起きると、時計は十時を指していた。こんなに寝坊するのは久しぶ…

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2年前
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ウィーンへ行きました。⑥

名もなき詩 最近、原田は、父の負債について口にするようになった。親からせっつかれているら…

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2年前
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ウィーンへ行きました。⑦

インペリアル・トルテ、モーツアルト、そして告白 午後、ケルントナー通りにある、インペリアル・ホテルのティールームで美樹と綾乃と待ち合わせした。  このホテルは十九世紀に宮殿として建てられたという。ホテルのロビーは、ロココ調でシルクや金銀をふんだんにあしらった豪奢な内装だ。基本的に簡素なスタイルが好みだが、このロビーの見事なバランスに感心した。デコラティブなのに浮ついたところはなく、重厚な落ち着きがある。ああ見えて実は音大出身の美樹が入手した情報では、毎週火曜日はティールームで

ウィーンへ行きました。⑧

センチメンタル・ジャーニー ステイ三日目は、ザルツブルグまで行く「サウンド・オブ・ザ・ミ…

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2年前
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ウィーンへ行きました。⑨最終回

君は誰? いよいよ明日帰国だ。最終日は少しだけ買い物をして、夕方にはそれぞれ部屋に入った…

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2年前
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