Tokyo COVID-19; 06/15/2021

東京都における新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関する6月15日のノート

感染者数の動向

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6月15日の東京都の感染数は337名と前日(6月14日)から128名の増である。内訳は濃厚接触者119名(前日比+40)、経路調査中218名 (同+88)である。
また、経路調査中の218名は、1週間前の6月8日より20名の減である。
経路不明者の7日間平均は241名と前日より3名の減である。
この7日間平均を1週間毎に遡って比較すると
直近 241 前週比 98%
1週間前 247 前週比 77%
2週間前 319 前週比 85%
3週間前 376 前週比 82%
4週間前 460 前週比 94%
5週間前 491 前週比 102%
6週間前 479 前週比 113%
7週間前 423 前週比 117%
8週間前 362 前週比 103%
と4週間前をピークに減少しているが減少幅は縮まってきている。

また、各日の7日間移動平均値を、その1週間前の7日間移動平均値と比較すると
6/15より遡る7日間 前週比 -2%
6/14より遡る7日間 前週比 -5%
6/13より遡る7日間 前週比 -5%
6/12より遡る7日間 前週比 -6%
6/11より遡る7日間 前週比 -11%
6/10より遡る7日間 前週比 -14%
6/9より遡る7日間 前週比 -17%
6/8より遡る7日間 前週比 -23%
6/7より遡る7日間 前週比 -21%
6/6より遡る7日間 前週比 -22%
6/5より遡る7日間 前週比 -23%
6/4より遡る7日間 前週比 -22%
6/3より遡る7日間 前週比 -20%
6/2より遡る7日間 前週比 -19%
6/1より遡る7日間 前週比 -15%
と一貫して減少しているが減少幅は縮まってきている。。

経路調査中の218名を同じ火曜日で比較すると、これは3月30日の値であり、先週の火曜日と比較しても20名少ない。減少幅は小さくなっているが、減少は続いていると言えそうである。

検査者数(最新6月14日) : 陰性者が遅れて報告・集計されるため直近の数値は日々追加修正され、基本的にグラフの右端は右下がりになるが、移動平均では正月明けから上昇を続け一時期12,000名を超えた。その後2月25日に6,632名まで減少したが、3月に入ってから上昇に転じ、4月20日に一気に 10,000名を突破した、5月に入り減少したが、GW明けから増加に転じ9,000名前後になった。6月に入って減少し、直近では8,000名より下がってきている。陽性率の7日間移動平均も3月6日に3.2%まで下がったが、その後上昇に転じ、GW中は検査数の減少も有り、一時的に8.3%を記録した。その後徐々に低下し4.0%まで下がってきたが、3月の3%までは下がっていない。

発症者数(最新6月14日)
発症者グラフは判明の遅れにより、グラフに示すように直近の1週間前後の報告数は順次追加されている。このため過去データに準拠して作成した表を利用して補正している(薄色の部分が補正値)。あくまでも参考程度で有り、特に終端に行くほど精度が落ちる。

図-02'

補正係数表06

補正値は報告が反映されるまでの時差を過去のデータから推定しているため、参照時点よりも反映が早ければ予測数は過大となり、反映が遅れれば過少となる。このため、補正係数は適宜見直しを行っている。
なお過去の推移では、発症者は5日程遅れて報告日別感染数(経路調査中)に反映されている(当初は10日ほど遅れていたが改善した模様である)。
・2月上旬は200件前後で推移していたが、下旬に入ってからは徐々に下がり月末に150件近くまで下がった。
・4月に入ってからは再び明確な増加に転じて、5月7日には635名を記録した。その後はGWを契機として減少を始め、6月に入ってからは300名を割るまで減少したが、減少のペースは徐々に鈍り、高止まりの様相を呈している。
・GW明けから人の動きが増加を始めているため、感染数がこのまま高止まりするのか、上昇に転じるかは、まだ1週間ほどは分からない。

実効再生産数
・11月11日前後から1.0を割り込んだ。
・11月23日前後から再び上昇に転じ、12月20日頃からさらに増加が加速して年末前には1.5近くまで上昇した。
・その後、年末年始で0.8程度まで下がったが、徐々に上がって来ている。
・緊急事態宣言発令後もRtは上昇を続けて、3月末には1.1を超えた。
・4月に入って、一旦減少傾向となったが4月7日前後から再び上昇に転じ、4月半ばには1.2を超えた。
・GW期間中の減少により再び減少して1.0を割り、それ以降0.9前後が続いている。6月に入ってからはまだ値が安定していないが、再び上昇を始めた可能性がある。

東京都発熱相談センターにおける相談件数(最新6月14日)
・12月に入ってから相談件数が右肩上がりに増加した。1月3日に3,180件と最高値を記録した。
・1月29日に1,078件と8日連続で下がり、12月中旬の値(1,100件前後)に戻ったが、30日1,545、31日1,490件と再び増加した。
・2月4日は971と12月15日以来の1,000件を割ったが、その後また増加に転じ、2月6日、2月7日と1,300件近くまで上昇した。
・その後2月9日、2月10日と平日は再び1,000件を割ったが2月11日の休日は、また1,300件近くまで増加した。
・2月12日以降、平日は1,000件を割るが、土日や祭日は1,000件を超える状況が続いた。
・3月13,14の週末は、11月14以来となる1,000件を割った。
・3月15日以降は逆に微増に転じ、3月20, 21の週末は再び1,000件を超えた。
・4月12日以降は平日も1,000件を超えるようになった。
・4月18日(日曜日)は1,621と1,500件を超え、週明けの平日も1,200件を超える日が続いている。
・4月25日(日曜日)は1,866件と1,800件を超え、4月29日(祭日)は2,043件と2,000件を突破した。
・6月14日は1,028件と減少を続けている。
・7日間平均を取ると、3月7日に777件を記録した後に上昇に転じ、GW直後の5月9日は2,267件を記録した。その後減少し、6月14日時点でも1,026件と下がってきている。

重症者推移

重症者推移

重症者数は45名と前日より1名の減。
年代別、男女別の重症者は下表の通りである。

・10月9日に21名まで減り20と30の間で上下動を続けた。
・11月から増加を始め40前後の推移の後下旬から急増して11月30日に70名まで増える。
・その後50台まで落ちたが12月7日から増加に戻る。
・1月20日に160名と最高値を更新。
・2月14日以降は100名を割って減少傾向が続いて来たが、3月12日以降は減少が止まり、微増に転じた。
・3月22日の47名をピークに減少したが3月30日に39まで減少した後は増加に転じた。
・4月3日の48名から再び減少に入り40名前後で推移したが4月16日以降増加に転じた。
・5月12日に86名を記録した。その後減少したが、直近では50名前後まで落ちてきている。
・4月下旬から5月上旬にかけて20代、30代の重症患者が発生(合わせて最大で5名)したが、5月下旬には0になった。6月に入り、10代、30代の重症者各1名が報告された。この内30代の1名は6月8日に10代の1名は6月9日に解消された。
・50代、60代、70代は依然高止まりしており今後が懸念される。

感染者・死亡者累計

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報告日別の陽性者ならびに死亡者の累積カーブを見ると、ともに直線状増加している。
6月15日付で3名の死亡報告があった。ご冥福をお祈りします。
報告される死亡者数を1週間単位で比較すると、2月の上旬には1週間で140名(1日平均20名)を超えたが、それをピークに4月7日には1週間で19名(1日平均3名弱)まで減少した。
4月に入ってから報告数は連日一桁に抑えられ、死亡報告の無い日も現れた。
・1週間辺りの死亡報告数はGW中の5月6日には14名(1日平均2名)まで下がったが、そこから漸増し上下変動はあるが直近でも1週間で50名(1日平均7名)と増えている。死亡の集計・報告は遅れて来るため、死亡数はさらに増えている事が予想される。
・また、死亡日別に見ると1月31日の39名をピークに減少を続けてはいるが、直近では減少が鈍くなってきている。

年代別動向

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感染者の7日間移動平均は5月15日をピークに減少しているが、20代が下がり続けていのに対して、10代以下、30代から50代は5月23日前後より減少が鈍化している。
ただし、65歳以上の感染数の移動平均は5月13日の103名に対して、6月14日は26名と減少の傾向にはある。
・65歳以上の感染者の数は1月15日に334名と最大を記録した。
・6月14日は27名(前日比+6)、全感染者に占める割合は8.0%である。
・この層は老健施設でのクラスター発生等が(ノイズとして)直ちに数値に反映されてしまうため、トレンドを見るにはかなりの長期スパンが必要となる。ただし傾向としては減少が鈍いっているように見える。
・4月11日以降は20代から40代の増加に加えて10代および高齢者が再び増加を始めた。
・20代から40代の増加は5月16日前後をピークに減少したが、50代以上の層には、それほど明確なピークは見られず高齢層としては漸増状況が継続している様にも見受けられる。また、6月以降、20代が再び増加を始めた懸念がある。今後の動向に注視が必要で有る。

グーグルモビリティ(最新6月10日) との相関

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グーグルモビリティに6月10日までのデータが追加された(グーグルモビリティレポートについては10月3日のノート参照)。

・正月明けから平均して12月よりも10ポイント程度下がったが、2020年のGWまでには至らなかった。
・1月8日に緊急事態宣言が発令されたが、モビリティは僅かながら増加を続け、Rtも同じく微増を続けた。首都圏の緊急事態宣言は3月21日まで継続されたが、人の動きやRtを押し下げる効果はなかったと言える。
・3月22日以降の人の動きは増加し、これに応じてRtも上昇した。
・6月1日より非常事態宣言が20日間延長されたが、5月30日の週、6月6日の週と人出は増加する傾向にある。
・グラフ上のRtについては、GWから始まった感染者の減少に伴い1,0を割り込んだ。GW明けについては、感染者の数が確定していないため、不安定な挙動を示しているが、1.0前後であるかと思われる。

第1波、第2波、第3波との比較

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・2020年の5月23日以前を第1波、5月23日から営業時間短縮要請が解除される前日の9月14日までを第2波、9月15日から緊急事態宣言が全面解除される2021年3月21日までを第3波として、各期間の感染数・死亡数を年代別に表にまとめて、発症日別陽性者数、重症者数、高齢層の新規発生数(報告日ベース)の各トレンドと併記した。
・発症者数のベースラインは昨年のGW明けから一貫して上がって来ており、実効再生産数(Rt)の変動が発生数の増減に対して、より大きく影響するようになって来ている。
・変異株によって若年層の重症化リスクが増えて来ていると報じられているが、東京に関しては、年齢比率から見ると顕著な変化はまだ認められていない。ただ集計値が上がってくる間にはタイムラグが存在すると考えられるため、数値の動向に注視が必要で有る。
・重症者は減少に転じてはいるが、まだ高い値にある。
・死亡者数の増加もピークは過ぎているとは言え、依然として少なくない数が報告されている。
・上記より、第4波はGWをきっかけに大きなピークとなる前に減少に向かったと言える。ただし、重症者数、死亡者数は依然として少なくない数値を示しており、予断のできる状況とは言えない。また、5月の終わりから人出が増加する傾向が見られ、これに伴い発症数が増加に転じる可能性も否定できない。

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