Tokyo COVID-19; 7/22/2021
東京都における新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関する7月22日のノート
概観
第4回緊急事態宣言が7月8日に発令され、緊急事態措置が7月12日から施行されたが、人流の動きに関しては、若干の現象が観測されるだけで、発症日ベースの感染数も依然として増加傾向にあると見られる。今回の緊急事態宣言は、初めてピークアウト前に発令されたものであるため、10から14日間は感染が増え続けるが、その後、7月22日前後にピークアウトするかどうかが注視される。
変異株により若年層の重症化リスクが増えて来ていると報じられている。7月22日現在で20代1名、30代3名、40代11名(40代を若年層に含まれるのかには異論もあろうが)と、まだ数としては多くはなく、むしろ50代の重症者数が6月23日から増えて来た。50代の重症者数は7月7日に23名を記録した後は減少したが、7月22日現在で16名と少なくはない数値であり、今後の推移に注視が必要と言える。また50代が減少する一方で60代が増加し、7月20日現在で18名と50代の重症者数超えている。重症者の中心であった70代は5月19日の28名をピークに減少を続けて7月4日には14名まで減少したが、その後20名に増えた。7月22日現在で15名と下がったが、この年代の減には死亡による現象が含まれる可能性がある。また、この年代の新規感染数も下げ止まりから微増の傾向が見られ始めており、今後の推移に注視が必要である。
死亡日別の死亡者は5月下旬からは下げ止まりから増加の傾向にあったが6月に入って減少に転じたと見られる。
年代別感染の推移を見ると、20代は6月6日前後から、10代以下および30〜50代は6月14日前後から、さらに60代も6月21日前後から増加に転じている。70代は7月に入って下げ止まりから微増の様相であるが、80代以上は、まだ減少を続けていると見られる。高齢層の感染は重症化、死亡につながるため、感染増が高齢層に波及するかに注視が必要である。
感染者数の全体推移
7月22日の東京都の感染数は1,979名と前日(7月21日)から147名の増である。内訳は濃厚接触者729名(前日比+81)、経路調査中1,246名 (同+63)である。経路調査中の1,246名は1週間前の7月15日より413名の増である。
経路不明者の7日間平均は856名と前日より59名の増、間に3回ほど中断を挟みながらも6月16日から増加を続けている。
この7日間平均を1週間毎に遡って比較すると
直近 856 前週比 156%
1週間前 549 前週比 136%
2週間前 404 前週比 129%
3週間前 314 前週比 115%
4週間前 272 前週比 111%
5週間前 246 前週比 102%
と5週間前に減少が止まり、それ以降1割以上のペースで増加している。
また、各日の7日間移動平均値を、その1週間前の7日間移動平均値と比較すると
7/22より遡る7日間 前週比 +56%
7/21より遡る7日間 前週比 +57%
7/20より遡る7日間 前週比 +50%
7/19より遡る7日間 前週比 +45%
7/18より遡る7日間 前週比 +45%
7/17より遡る7日間 前週比 +42%
7/16より遡る7日間 前週比 +41%
と前週比4割以上の増が続いている。
検査者数(最新7月21日) : 陰性者が遅れて報告・集計されるため直近の数値は日々追加修正され、基本的にグラフの右端は右下がりになるが、移動平均では正月明けから上昇を続け一時期12,000名を超えた。その後2月25日に6,632名まで減少したが、3月に入ってから上昇に転じ、4月20日に一気に 10,000名を突破した、5月に入り減少したが、GW明けから増加に転じ9,000名前後になった。6月に入って減少し、6月22に7,321名まで下がったが、それ以降は増加が続き、直近では8,800名を超えた。陽性率の7日間移動平均は6月11日に3.9%まで下がったが、直近の値は10.7%であり増加傾向が続いている。
発症者数(最新7月21日)
発症者グラフは判明の遅れにより、グラフに示すように直近の1週間前後の報告数は順次追加されている。このため過去データに準拠して作成した表を利用して補正している(薄色の部分が補正値)。あくまでも参考程度で有り、特に終端に行くほど精度が落ちる。
補正値は報告が反映されるまでの時差を過去のデータから推定しているため、参照時点よりも反映が早ければ予測数は過大となり、反映が遅れれば過少となる。このため、補正係数は適宜見直しを行っている。
なお過去の推移では、発症者は5日程遅れて報告日別感染数(経路調査中)に反映されている(当初は10日ほど遅れていたが改善した模様である)。
・6月に入ってからは300名を割り、6月6日には228名まで下がったが、それ以降は増加し、直近では900名と2020年末のピークに迫っている可能性もある。
実効再生産数
・GW期間中の感染数の減少により1.0を割り、それ以降0.9前後が続いたが、5月25日前後から上昇し、6月6日前後に1.0、7月4日前後に1.2を超え、現在もさらに上昇を続けていると思われる。
東京都発熱相談センターにおける相談件数(最新7月21日)
・相談件数はGW中の5月5日(祭日)に2,700件とピークとなった。
・その後減少を続けて来たが、6月20日前後から増加に転じ、7月20日は2,121件と前週の同曜日よりも622件増となっている。
・7日間平均を取ると、GW直後の5月9日に2,267件を記録してから減少したが6月19日の971件から増加に転じ、7月21日時点では1,821件となっている。
重症者推移
重症者数は65名と前日から1名の増。細かな増減を繰り返している事から重症者が入れ替わっている事が示唆される(これは男女別の合計の変動からも見て取れる)。
年代別、男女別の重症者数は下表の通りである。
・6月28日に40代の重症化(1名)、6月29日に20代(2名)の重症化、7月1日に30代(1名)の、7月12日に10歳以下(1名)の重症化が報告された。7月22日現在は20代1名、30代2名、40代11名となっている(40代を若年層に含めるには異論がありそうだが)。まだ数として多くはないが今後に注視が必要である。
・若年層ではないが、減少を続けていた50代が6月19日以降増加し、7月7日に23名と、年代別重症者数が公表された2020年8月26日以降の最高値を更新した。7月22日現在は16名と減少しているが、依然として高い数字でありこれも注視が必要である。
・60代が7月11日から増加の傾向を見せ、7月22日には18名と年代別のトップを占めている。70代も7月の第1週以降微増の傾向が見られ、感染が高齢層に伝搬し始めた懸念がある。
感染者・死亡者累計
報告日別の陽性者累積カーブを見ると6月下旬に変曲点があり増加ペースが早まっている。これに対して死亡者の累積カーブは、ほぼ直線状に増加している。
報告される死亡者数を1週間単位で比較すると、2月の上旬には1週間で140名(1日平均20名)を超えたが、GW中の5月6日には14名(1日平均2名)まで下がった。
そこから増加をはじめ5月21日の70名をピークに減少して来た。6月に入ってからは下げ止まりないしは微増の傾向にあったが、下旬に入り減少を始めた。6月末には週あたり10名とGW中の値を下回ったが、7月中旬に20名まで増加し、直近は10名(1日平均2名)まで減少した。死亡の集計・報告は遅れて来るため、今後推移に注視が必要である。
死亡者を死亡日別で見た場合、報告の遅れが1週間前後あるため直近の値は低くなる傾向がある。このため直近の1,2週間は棄却するのが妥当であるが、それ以前の期間のトレンドを見ると、5月下旬からは下げ止まりから増加の傾向にあったが6月に入って減少に転じた言える(ただし、直近については予断はできない)。
年代別推移
感染者の7日間移動平均は5月15日をピークに減少したが、20代は6月6日から増加の傾向にあり、30代から50代も6月13日から上昇に転じている。10代以下も7月に入ってから再び上昇を始めた。
80代から上は減少が続いているが、60代については、6月23日以降微増に転じ、70代も7月5日あたりから高止まりになった可能性がある。
65歳以上の感染数の移動平均は5月13日の103名に対して、7月22日は46名と
減少にブレーキが掛かっているが、まだピークの3分の1ではある。高齢層のワクチン接種推進により感染が抑えられている事が考えられるが、他の年齢層では感染が増えており、この増加が波及するかどうかに注視が必要と言える。
・65歳以上の感染数は、7月20日は66名(前日比-1)全感染者に占める割合は3.3%であった。
グーグルモビリティ(最新7月21日) との相関
グーグルモビリティに7月21日までのデータが追加された(グーグルモビリティレポートについては2020年10月3日のノート参照)。
・第4回緊急事態宣言が7月8日に発令され、緊急事態措置が7月12日より施行されているが、は6月1日に期間が6月20日まで延長されたが、7月12日の週のモビリティは、「乗換駅」、「職場」では若干の現象が見られたが、「小売・娯楽」に関しては抑制の効果は認めれれていない。7月22日からオリンピックに絡む4連休に入るので、この間の人流の抑制効果が注視される。
・グラフ上のRtについては、GWから始まった感染者の減少に伴い1.0を割り込んだが、6月に入ってから1.0を超え、前回の緊急事態宣言解除後にさらに増加したと見られる。今後は7月12日から施行された緊急事態措置の効果が注視される。
第1波、第2波、第3波との比較
2020年の5月23日以前を第1波、5月23日から営業時間短縮要請が解除される前日の9月14日までを第2波、9月15日から緊急事態宣言が全面解除される2021年3月21日までを第3波として、各期間の感染数・死亡数を年代別に表にまとめて、発症日別陽性者数、重症者数、高齢層の新規発生数(報告日ベース)の各トレンドと併記した。
第1波、第2波では感染のピークから遅れて高齢層の感染が大きく増加する現象が観測されたが、直近では70歳以上の高齢層の増加が抑えられているように見える。この層に対するワクチン接種の効果が考えられるが、引き続きの注視は必要と言える。
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