Tokyo COVID-19; 10/2/2021

東京都における新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関する10月2日のノート

概要

・10月2日の報告日ベースの陽性者数は196名、減少傾向が続いている。
・検査数は大幅に減少して来たが、減少速度は鈍り始めている。東京都の発熱相談センターへの相談件数も、もう一段下がって欲しいところである。また、発症日別の陽性数を見るとベースラインが初めて減少し始めた兆候があるが、報告は遅れて来るため、暫くは注視が必要である。またこれより算出される実行再生算数(Rt)は一時期0.6を切るまで下がった。直近の値は計算上過大になっていると考えられるが、Rtが下がり続けるのか、反転上昇するのかに注視が必要である。
・重症者数に関しては、10月2日現在で若年層は20才未満1名、20代3名、30代1名と緩やかに減少している。40代から60代は40代9名、50代38名、60代25名と依然として重症者の中心を占めているが、50代を中心に減少が続いている。重症者の中心であった70代は10名で、9月2日に43名と1月20日に記録した過去の最大値59名の70%に達した後は緩やかに減少している。
・死亡日別の死亡者は7月20日前後から再び増加し8月に入ってから増加速度が上がったが、8月20日前後でピークに達した模様である。ただし死亡者の報告数は直近の1週間では86名と、まだ高い値とは言える。
・年代別感染の推移を見ると70代、80代は増加のペースが鈍かったのと同様に減少も緩慢な動きとなっている。
・Google Mobility の観測によると、お盆で下がった人流は徐々に増え、7月の連休前のレベルに戻りつつある。これに対して実行再生算数は7月の連休前をピークに9月12日の週まで下がり続けた。
・第4波までと第5波を比較すると、感染数・死亡数共に70代以上の占める比率が大きく低下した(ただし、あくまでも比率の話であり、数は若年から中年層の感染数の増加に引き連られる形で増えた)。これは高齢層に対するワクチン接推進の効果とも言えるが、逆にワクチンの接種が遅れている50代の感染・重症化が急増し、また数としては多くはないが30代・40代の死亡が急増した。現状では重症者数、死亡数ともにピークを超えて減少している。
・9月30日をもって緊急事態宣言が解除された。今後人流の増加に伴い、現在0.6程度と低い値にあるRtも増加に転じる可能性が高い。陽性者が増加に転じるRt=1.0との間には十分なマージンがあると言えるが、今後の人流ならびにRtの推移に注視が必要である。

感染者数の全体推移

画像1

10月2日の東京都の感染数は196名と前日(10月1日)から4名の減である。内訳は濃厚接触者78名(前日比-1)、経路調査中118名 (同-3)である。経路調査中の118名は1週間前の9月25日に比べて109名の減である。
経路不明者の7日間平均は137名と前日より16名の減、1週間前から95名の減である。
この7日間平均を1週間毎に遡って比較すると
直近 137 前週比 59%
1週間前 232 前週比 48%
2週間前 488 前週比 61%
3週間前 804 前週比 53%
4週間前 1,524 前週比 65%
5週間前 2,328 前週比 81%
と直近の連休の影響から抜けて減少幅は縮小している。

また、各日の7日間移動平均値を、その1週間前の7日間移動平均値と比較すると
10/2より遡る7日間 前週比 -41%
10/1より遡る7日間 前週比 -44%
9/30より遡る7日間 前週比 -50%
9/29より遡る7日間 前週比 -46%
9/28より遡る7日間 前週比 -45%
9/27より遡る7日間 前週比 -53%
9/26より遡る7日間 前週比 -53%
9/25より遡る7日間 前週比 -52%
9/24より遡る7日間 前週比 -47%
とこちらも減少幅がは再び小さくなった。

検査者数(最新10月1日) : 陰性者が遅れて報告・集計されるため直近の数値は日々追加修正され、基本的にグラフの右端は右下がりになる。移動平均では8月下旬には17,000名近くまで上昇した以降は減少し、直近では7,000を割っている。陽性率の7日間移動平均は6月11日に3.9%まで下がった後上昇に転じ8月15日(お盆期間中)に23.8%まで増加した後は減少を続けている。直近では2.6%と3%を切り、検査数の大幅減と絡めて感染が一旦は収まったと言えそうである。

発症者数(最新10月1日)
発症者グラフは発症日と報告日の時間差があるためグラフに示すように直近の1週間前後の報告数は順次追加されている。このため過去データに準拠して作成した表を利用して補正している(薄色の部分が補正値)。あくまでも参考程度で有り、特に終端に行くほど精度が落ちる。

図-02'

補正係数表08

補正値は発症日から報告日までの時差の分布を過去のデータから推定しているため、参照時点よりも時差が短ければ予測数は過大となり、時差が長ければ過少となる。このため、補正係数は適宜見直しを行っている。
なお過去の推移では、発症者は5日程遅れて報告日別感染数(経路調査中)に反映されている。
・8月1日に3,248名のピークを持った後に一旦は減少したが、その後増加し、8月10日には3,800名を超えた。その後頭打ちから減少に転じ直近では200名未満まで減って来ている。補正値は減少状態では過大に出る傾向があるため、計算上は減少のスピードは鈍りつつ様に出るが、実際にどこまで下がるかに注視が必要と言える。

実効再生産数
・5月25日前後から上昇し7月下旬の1.6をピークに減少に転じ8月10日前後に1.0を割った。その後8月末の0.7を底に一時期上昇に転じたが、その後0.6まで下がっている。直近の値は過大に計算されている可能性が高いが0.6を割って下がり続けるのか、反転上昇するのかに注視が必要と言える。
 
東京都発熱相談センターにおける相談件数(最新9月29日)
・9月29日は759件であった。
・7日間平均は903件と1,000件を割ったが、減少のペースが鈍って来ている懸念がある。

重症者推移

重症者数は88名と前日より5名減少した。年代別、男女別の重症者数は下表の通りであり、50代を中心に減少している。

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・若年層の重症者数は20才未満1名、20代3名、30代1名と減少傾向にある。
・40代から60代は40代が9名、38名、60代25名と、重症者の中心を占めているが、50代を中心に減少して来ている。
・重症者の中心であった70代は10名で、9月2日に43名と1月20日に記録した過去の最大値59名の70%に達したが、その後緩やかに減少している。
40代から70代の重症者の推移を下図に示す。

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感染者・死亡者累計

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報告日別の陽性者累積カーブを見ると8月上旬に変曲点が出来、増加が鈍り始めたが、これに対して死亡者の累積カーブからは、8月中旬から増加幅が増えたが直近では直線に戻っている。
10月2日付で13名の死亡報告があった。お亡くなりになった方のご冥福をお祈り申し上げます。報告される死亡者数を1週間単位で比較すると、2021年の2月の上旬に1週間で140名(1日平均20名)を超えた。今回は9月18日には136名まで上がったが、直近は86名(1日平均12名)と減少している。

年代別推移

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・陽性者の減少に伴い減少速度が低下しているが、特に70代以上の陽性者の減少速度が低下している。
・10月2日現在の65歳以上の感染数の移動平均は26名で、8月26日に203名と年始(265名)の80%近い値に達した後緩やかに減少している。
・10月2日の65歳以上の感染数は33名(前日比+9)、全感染者に占める割合は16.8%である。

グーグルモビリティ(最新9月27日) との相関

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グーグルモビリティに9月27日までのデータが追加された(グーグルモビリティレポートについては
https://support.google.com/covid19-mobility/answer/9824897?hl=ja&ref_topic=9822927
または、2020年10月3日のノート参照)。

・お盆明けの週は「職場」「乗換駅」「小売・娯楽」で人流が抑制された。それ以降は徐々に増えたが、直近は9月連休の影響で「職場」「乗換駅」は減少した。今後は9月30日の緊急事態宣言解除による人流の増加に注視が必要である。
・グラフ上のRtは7月の連休以降一貫して低下が見られたが、直近では再増加している可能性が高い。

第1波、第2波、第3波、第4波との比較

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2020年の5月23日以前を第1波、5月23日から営業時間短縮要請が解除される前日の9月14日までを第2波、9月15日から緊急事態宣言が全面解除される2021年3月21日までを第3波、3月22日から6月16日までを第4波、それ以降を第5波として、各期間の感染数・死亡数を年代別に表にまとめて、発症日別陽性者数、重症者数、高齢層の新規発生数(報告日ベース)の各トレンドと併記した。
第1波から第4波までは、多少の相違はあるが、概ね同様な傾向が見られた。第4波と第5波を比較すると、10月2日で第5波の期間日数が107日間となり、第4波の86日を超過した。この間の総感染数は第4波の307%に達したのに対して死亡者数は671名と第4波の159%に留まっている。ただし感染数が減少に転じているのに対して、死亡数はあまり減少しておらず死亡率が減ったとの予断はできない。また70代以上については、感染数は127%死亡数は109%と共に全体に比べて抑えられている。このため年代別の構成比では高齢層が減って、替わりに40代から60代が増加している。これは『ワクチン接種の推進で高齢層の感染が抑えられている』効果と言えるが、若年・中年層の感染の増加に引き連られる形で総数は増加しており、50代以下の死亡者が増えている点も含めて、これら年代へのワクチンの推進が喫緊の課題と言える。

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