Tokyo COVID-19; 11/06/2021

東京都における新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関する11月6日のノート

概要

・11月6日の報告日ベースの陽性者数は29名。ここまで少なくなると現象のペースも落ちて来ている。
・発症日別の陽性数これより算出される実行再生算数(Rt)は一時期0.6を切るまで下がったが直近は値が不安定になっている。また2桁と言う現状の陽性者数から算出されるRtが感染実態を反映しているかは不明と言える。
・重症者数に関しては、11月6日現在の30代以下の重症者は0である。40代から60代は40代1名、50代4名、60代3名と1桁で推移している。重症者の中心であった70代は2名と低い値を保っている。
・死亡日別の死亡者数は8月20日前後をピークに減少が続いている。
・死亡者の報告数は直近の1週間では8名(1日平均1名)である。
・Google Mobility の観測によると、緊急事態宣言解除後の10月第1週の人流は7月の連休前(第4波前)のレベルに戻った。2週目以降はほぼ同レベルを維持したが、10月24日の週は若干増えた。10月31日の週は、文化の日の影響で職場、駅が減り、娯楽・小売は増えた。Rtは直近の値が安定していないため何とも言えない。
・第4波までと第5波を比較すると、感染数・死亡数共に70代以上の占める比率が大きく低下した(ただし、あくまでも比率の話であり、累積数では陽性者、死亡者ともに第4波を超えている)。これは高齢層に対するワクチン接推進の効果とも言えるが、逆にワクチンの接種が遅れている50代の感染・重症化が急増し、また数としては多くはないが30代・40代の死亡も急増した。ただし、現状では重症者数、死亡数ともに大きく減少している。
・9月30日に緊急事態宣言が解除され4週間が経過した。解除された週は順流の増加が見られたが、それ以降は同レベルで推移している。また発症日別日陽性者は依然として減少傾向にあるが、これが下げ止まりから増加に転じるかどうかに注視が必要である。

感染者数の全体推移

画像1

11月6日の東京都の感染数は29名と前日(11月5日)から4名の増である。内訳は濃厚接触者11名(前日比+6)、経路調査中17名 (同-3)である。経路調査中の17名は1週間前の10月30日に比べて2名の増である。
経路不明者の7日間平均は14名と前日と同じ、1週間前からは3名の減である。
この7日間平均を1週間毎に遡って比較すると
直近 14 前週比 84%
1週間前 16 前週比 77%
2週間前 21 前週比 55%
3週間前 38 前週比 50%
4週間前 76 前週比 56%
5週間前 137 前週比 59%
6週間前 232 前週比 48%
7週間前 488 前週比 55%
8週間前 890 前週比 90%
と減少幅は小さくなっている。

また、各日の7日間移動平均値を、その1週間前の7日間移動平均値と比較すると
11/6より遡る7日間 前週比 -16%
11/5より遡る7日間 前週比 -21%
11/4より遡る7日間 前週比 -29%
11/3より遡る7日間 前週比 -27%
11/2より遡る7日間 前週比 -21%
11/1より遡る7日間 前週比 -18%
10/31より遡る7日間 前週比 -15%
10/30より遡る7日間 前週比 -23%
10/29より遡る7日間 前週比 -28%
10/28より遡る7日間 前週比 -34%
10/27より遡る7日間 前週比 -36%
と減少幅は僅かに上下している。

検査者数(最新11月5日) : 7日間移動平均では8月下旬には17,000名近くまで上昇した以降は減少し、直近では6,000名を割っている。ただし陽性者の減少に比べると検査数の減少は緩やかである。陽性率の7日間移動平均は検査数の減少が緩やかであることもあり、0.4%まで下がった。

発症者数(最新11月5日)
発症者グラフは発症日と報告日の時間差があるためグラフに示すように直近の1週間前後の報告数は順次追加されている。このため過去データに準拠して作成した表を利用して補正している(薄色の部分が補正値)。あくまでも参考程度で有り、特に終端に行くほど精度が落ちる。

図1

補正係数表08

補正値は発症日から報告日までの時差の分布を過去のデータから推定しているため、参照時点よりも時差が短ければ予測数は過大となり、時差が長ければ過少となる。このため、補正係数は適宜見直しを行っている。
なお過去の推移では、発症者は5日程遅れて報告日別感染数(経路調査中)に反映されている。
・発症日別の陽性者数は8月10日に3,834名のピークを示した後減少に転じ、直近では10名前後まで減って来ている。今後、再び増加に転じるかに注視が必要と言える。

実効再生産数
・5月25日前後から上昇し7月下旬の1.6をピークに減少に転じ8月10日前後に1.0を割った。その後9月14日の0.55を底に、9月26日に0.65、10月4日に0.55と上下動を繰り返した。直近では安定していない。また2桁と言う現状の陽性者数から算出されるRtが感染実態を反映しているかは不明と言える。
 
東京都発熱相談センターにおける相談件数(最新11月5日)
・11月5日は371件であった。
・7日間平均は478件と500件を割り第3波以前のレベルまで下がった。

重症者推移

重症者数は12名と前日と同じ。年代別、男女別の重症者数は下表の通りである。

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40代から70代の重症者の推移を下図に示す。

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感染者・死亡者累計

報告日別の陽性者累積カーブを見ると直近ではほぼ水平になっている。累積の死亡者数も水平に近づいている。
11月6日付の死亡報告はなかった。報告される死亡者数を1週間単位で見ると、今回は9月18日には136名と年始のピークに匹敵する数まで上がったが、直近は8名(1日平均1名)と減少している。

年代別推移

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・陽性者の減少に伴い年代感の差異は小さくなって来ている。
・11月6日時点の65歳以上の感染数の移動平均は3名で、8月26日に203名と年始(265名)の80%近い値に達した後は減少している。
・11月6日の65歳以上の感染数は4名(前日比+1)であった。

グーグルモビリティ(最新11月4日) との相関

画像7

グーグルモビリティに11月4日までのデータが追加された(グーグルモビリティレポートについては
https://support.google.com/covid19-mobility/answer/9824897?hl=ja&ref_topic=9822927
または、2020年10月3日のノート参照)。
・9月30日の緊急事態宣言解除後の10月3日の週は7月の連休前に戻った。
・10月24日の週の人流は前週10月17日の週より僅かに上がっている。
・10月31日の週の人流は11月3日の影響で職場、前週10月17日の週と比較して職場、乗換駅は減少し、小売・娯楽は上昇した。

・グラフ上のRtは7月の連休以降一貫して低下し、7日間平均で0.6近くまで下がった。直近は外乱の影響で小幅ながら乱高下をしている。

第1波、第2波、第3波、第4波との比較

画像8

2020年の5月23日以前を第1波、5月23日から営業時間短縮要請が解除される前日の9月14日までを第2波、9月15日から緊急事態宣言が全面解除される2021年3月21日までを第3波、3月22日から6月16日までを第4波、それ以降を第5波として、各期間の感染数・死亡数を年代別に表にまとめ、発症日別陽性者数、重症者数、高齢層の新規発生数(報告日ベース)の各トレンドと併記した。
第1波から第4波までは、多少の相違はあるが、概ね同様な傾向が見られた。第4波と第5波を比較すると、11月6日で第5波の期間日数が142日間となり、第4波の86日間の165%となった。この間の総感染数は第4波の310%に達したのに対して死亡者数は895名と第4波の213%に留まっている。ただし、この比率の差は死亡に繋がらない若年層の感染が増えたためであり、死亡数としては第4波の2倍を超えている。また70代以上については、感染数は131%死亡数は150%と共に全体に比べれば抑えられていると言えるが、陽性者数や死亡数を1日あたりで見ると第4波とほぼ同じとなっている。
年代別の構成比では高齢層が減って、替わりに40代から60代が増加した。これは『ワクチン接種の推進で高齢層の感染が抑えられた』効果とも言えるが、若年・中年層の感染の増加に引き連られる形で総数は増加した。また50代以下の死亡者が増えた点も含めて、高齢層への重点配分の功罪については今後の評価が待たれると言える。

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