Tokyo COVID-19; 9/27/2021

東京都における新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関する9月27日のノート

概要

・9月27日の報告日ベースの陽性者数は154名、週末が絡む数値なので参考扱いが適当と言える。
・検査数は大幅に減少しているが、東京都の発熱相談センターへの相談件数は下げ止まった懸念がある。また、発症日別の陽性数やそれに基づく実行再生産数の推移をみると、直近では減少速度が鈍り始めている可能性が高い。
・重症者数に関しては、9月27日現在で若年層は20才未満1名、20代5名、30代4名と頭打から減少に転じ始めている。40代から60代は40代142名、50代54名、60代32名と依然として重症者の中心を占めているが、50代を中心に減少が続いている。重症者の中心であった70代は11名で、9月2日に43名と1月20日に記録した過去の最大値59名の70%に達した後は緩やかに減少している。
・死亡日別の死亡者は7月20日前後から再び増加し8月に入ってから増加速度が上がったが、8月20日前後でピークに達した模様である。ただし死亡者の報告数は直近の1週間では82名と、まだ高い値とは言える。
・年代別感染の推移を見ると70代、80代は増加のペースが鈍かったのと同様に減少も緩慢な動きとなっている。
・Google Mobility の観測によると、人流は7月の4連休明けも連休前に対して減少の傾向が見られた。お盆明け以降も7月の連休前に比べると人流は抑制されてはいるが、徐々に増え始めた感がある。この人流の変化が感染数に与える影響が注視される。
・第4波までと第5波を比較すると、感染数・死亡数共に70代以上の占める比率が大きく低下している(ただし、あくまでも比率の話であり、数は若年から中年層の感染数の増加に引き連られる形で増えている)。これは高齢層に対するワクチン接推進の効果とも言えるが、逆にワクチンの接種が遅れている50代の感染・重症化が急増しており、また数としては多くはないが30代・40代の死亡も急速に増えている。この年代へのワクチンの接種推進が喫緊の課題と言える。

感染者数の全体推移

画像1

9月27日の東京都の感染数は154名と前日(9月26日)から145名の減である。内訳は濃厚接触者59名(前日比-71)、経路調査中95名 (同-74)である。経路調査中の95名は1週間前の9月19日に比べて77名の減である。
経路不明者の7日間平均は202名と前日より11名、1週間前から228名の減である。
この7日間平均を1週間毎に遡って比較すると
直近 202 前週比 47%
1週間前 429 前週比 59%
2週間前 725 前週比 55%
3週間前 1,329 前週比 61%
4週間前 2,172 前週比 77%
と直近の連休の影響で減少幅が拡大している。

また、各日の7日間移動平均値を、その1週間前の7日間移動平均値と比較すると
9/27より遡る7日間 前週比 -53%
9/26より遡る7日間 前週比 -53%
9/25より遡る7日間 前週比 -52%
9/24より遡る7日間 前週比 -47%
9/23より遡る7日間 前週比 -44%
9/22より遡る7日間 前週比 -46%
9/21より遡る7日間 前週比 -46%
とこちらも直近の連休の影響で減少幅が拡大している。

検査者数(最新9月26日) : 陰性者が遅れて報告・集計されるため直近の数値は日々追加修正され、基本的にグラフの右端は右下がりになる。移動平均では8月下旬には17,000名近くまで上昇した以降は減少し、直近では8,000を割っている。陽性率の7日間移動平均は6月11日に3.9%まで下がった後上昇に転じ8月15日(お盆期間中)に23.8%まで増加した後は減少を続けている。直近では4.0%である。

発症者数(最新9月26日)
発症者グラフは発症日と報告日の時間差があるためグラフに示すように直近の1週間前後の報告数は順次追加されている。このため過去データに準拠して作成した表を利用して補正している(薄色の部分が補正値)。あくまでも参考程度で有り、特に終端に行くほど精度が落ちる。

図-02'

補正係数表08

補正値は発症日から報告日までの時差の分布を過去のデータから推定しているため、参照時点よりも時差が短ければ予測数は過大となり、時差が長ければ過少となる。このため、補正係数は適宜見直しを行っている。
なお過去の推移では、発症者は5日程遅れて報告日別感染数(経路調査中)に反映されている。
・8月1日に3,248名のピークを持った後に一旦は減少したが、その後増加し、8月10日には3,800名を超えた。その後頭打ちから減少に転じ直近では200名未満まで減って来ているが、減少のスピードは鈍りつつある。

実効再生産数
・5月25日前後から上昇し7月下旬の1.6をピークに減少に転じ8月10日前後に1.0を割った。その後8月末の0.7を底に一時期上昇に転じたが、この連休による陽性者報告数の減を受け0.6まで下がっている。直近は値が安定していないが、再び上昇に転じた可能性もある。
 
東京都発熱相談センターにおける相談件数(最新9月26日)
・9月26日は993件であった。
・7日間平均は1,008件と1,000件まで下がって来たが、減少のペースは鈍っている。

重症者推移

重症者数は125名と前日より5名減少した。年代別、男女別の重症者数は下表の通りであり、50代を中心に減少している。

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・若年層の重症者数は20才未満1名、20代5名、30代4名と頭打ちから減少傾向にある。
・40代から60代は40代が14名、54名、60代32名と、重症者の中心を占めているが、50代を中心に減少して来ている。
・重症者の中心であった70代は11名で、9月2日に43名と1月20日に記録した過去の最大値59名の70%に達したが、その後緩やかに減少している。
40代から70代の重症者の推移を下図に示す。

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感染者・死亡者累計

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報告日別の陽性者累積カーブを見ると8月上旬に変曲点が出来、増加が鈍り始めたが、これに対して死亡者の累積カーブからは、8月中旬から増加幅が増えたが直近では直線に戻っている。
9月27日付で11名の死亡報告があった。お亡くなりになった方のご冥福をお祈り申し上げます。 
報告される死亡者数を1週間単位で比較すると、2021年の2月の上旬に1週間で140名(1日平均20名)を超えた。9月18日には136名まで上がったが、直近は82名(1日平均12名)と減少している。

年代別推移

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・陽性者の減少に伴い減少速度が低下しているが、特に70代以上の陽性者の減少速度が低下している。
・9月26日現在の65歳以上の感染数の移動平均は27名で、8月26日に203名と年始(265名)の80%近い値に達した後緩やかに減少している。
・9月26日の65歳以上の感染数は13名(前日比-8)、全感染者に占める割合は8.4
%である。

グーグルモビリティ(最新9月21日) との相関

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グーグルモビリティに9月21日までのデータが追加された(グーグルモビリティレポートについては
https://support.google.com/covid19-mobility/answer/9824897?hl=ja&ref_topic=9822927
または、2020年10月3日のノート参照)。

・お盆明けの週は7月連休前に比較すると「職場」「乗換駅」に加えて「小売・娯楽」でも人流が抑制された。それ以降も7月連休前に比較すると人流は抑えられているが徐々に増えている様に見える。
・グラフ上のRtは7月の連休以降一貫して低下が見らたが、直近では再増加している。

第1波、第2波、第3波、第4波との比較

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2020年の5月23日以前を第1波、5月23日から営業時間短縮要請が解除される前日の9月14日までを第2波、9月15日から緊急事態宣言が全面解除される2021年3月21日までを第3波、3月22日から6月16日までを第4波、それ以降を第5波として、各期間の感染数・死亡数を年代別に表にまとめて、発症日別陽性者数、重症者数、高齢層の新規発生数(報告日ベース)の各トレンドと併記した。
第1波から第4波までは、多少の相違はあるが、概ね同様な傾向が見られた。第4波と第5波を比較すると、9月27日で第5波の期間日数が102日間となり、第4波の86日を超過した。この間の総感染数は第4波の3.1倍に達したのに対して死亡者数は607名と第4波の144%に留まっている。ただし感染数が減少に転じているのに対して、死亡数はあまり減少しておらず死亡率が減ったとの予断はできない。また70代以上については、感染数は125%死亡数は100%と共に全体に比べて抑えられている。このため年代別の構成比では高齢層が減って、替わりに40代から60代が増加している。これは『ワクチン接種の推進で高齢層の感染が抑えられている』効果と言えるが、若年・中年層の感染の増加に引き連られる形で総数は増加しており、50代以下の死亡者が増えている点も含めて、これら年代へのワクチンの推進が喫緊の課題と言える。

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