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生まれ変わったアルジェの女たち

ルーヴル美術館のInstagramによると『アルジェの女たち』(1834年)が修復によって生まれ変わったそうです。

北アフリカ旅行から戻ったウジェーヌ・ドラクロワが描いたこの作品は、すぐに国家🇫🇷の買い上げとなり、現在はルーヴル美術館にあります。
私も2年前にこの目でしっかり観てきました!
左)修復前
右)修復後

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「ドラクロワの色彩は美しい!」と私が展示室で感激したのは、画像・左の修復前。Instagramには「保存用に厚く塗られた黄ばんだワニスが、ドラクロワの色彩の “妙” を見えずらくしていた」とあります。
夕焼けの陽射しなのか…それともアルジェリアの娼婦館の空気感なのか…全体が黄色みを帯びているのも含めて、ドラクロワの手によるものだと勝手に思っていました。こうやって並べてみると作品から受ける印象が全く違ってきます。

Instagramの記事は次のように続きます。

7ヶ月間にわたって行った修復により、劣化したワニスの大部分を取り除き、素材のひび割れを目立たなくさせることに成功しました。新しい天然ワニスを塗ることで、色の彩度とコントラストが復活しました。

修復後の拡大画像(Instagramより)を見るとドキドキしてきます。

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蘇った色彩と明暗のコントラストは美しく輝き✨、繊細なドラクロワの筆致がくっきり浮かび上がっています。カンヴァスの筆跡を見ていると、彼が残したスケッチを思い出しました。

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北アフリカの旅行中に記録用として残したスケッチ帖。
さらさらっと細部までペンで描き、ちゃっちゃッと水彩絵の具で色付けしたスケッチには、ところどころにメモ書きがあります。 ドラクロワの興奮と創作意欲が伝わってくる 私の大好きな作品です。
おっ、スケッチ右下の女性。ポーズも衣装も『アルジェの女たち』に登場する女性(画像下・左)となって再現されているのですね。

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ルノワールやピカソに強烈な印象と影響を与えた『アルジェの女たち』。
生まれ変わった本物の姿を、絶対にこの目で観なくてはなりません。

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ルーヴル美術館・ドラクロワの大判絵画の修復は、2019年に『キオスの虐殺』、2021年『アルジェの女性たち』、そして2022年は『サルダナパールの死』と継続されるようです。

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美術のことなど全くわからなかった私が「これぞロマン主義だ!」と展示室で圧倒された『サルダナパールの死』(1827年)。
作品が大きすぎることに加えて 全体が暗くて細部が少し見えにくかった印象が残っています。
こちらも生まれ変わるのですね…。これは、絶対にこの目で…!

ルーヴル美術館にまた行かねばならない「口実」が増えました(嬉!)。

<終わり>


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