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勝手に愉しむ❗️<その1> 〜ウッチェロの遠近法〜

The NATIONAL GALLERY, LONDON
<ロンドン・ナショナル・ギャラリー展>

3月3日から予定されていた<ロンドン・ナショナル・ギャラリー展>。
展覧会特設サイトから作品の画像や作品目録を、また 特集雑誌などから作品情報を入手することができるので、一人で勝手に愉しんでいます。
作品解説は上手く出来ないので、個人的に注目していることを投稿したいと思います。

写真は主に展覧会特設サイトや展覧会のSNSから拝借しています。
本展監修者でもある 国立西洋美術館の主任研究員・川瀬先生のお話(「AERA」、「美術展ナビAEJ」)や特製リーフレットも参考にさせていただきます。

***【本展のみどころ】***(公開情報からの抜粋)

①世界屈指の美の殿堂 ロンドン・ナショナル・ギャラリーがこれまで世界のどの場所でも開催したことがない、大規模な所蔵作品展
②ルネサンスから19世紀ポスト印象派まで61作品、この名品すべてが日本初公開
③幅広く質の高いコレクションから、イギリスにおいて築かれた西洋絵画史を読み解く

うわ〜っ、もうワクワクしてきますね(笑)
展覧会は全7章から構成されていますが、今回は第1章に注目します。

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【第1章 イタリア・ルネサンス絵画の収集】〜Collecting the Italian Renaissance〜

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展覧会はイタリア・ルネサンス絵画で幕を開けます。
このスペースは木目調の色をした八角形の壁に8作品が展示されているようです。
川瀬先生いわく、八角形は調和や完全を旨としたルネサンス美術をあらわすとともに、1章を中心に周囲を取り囲む部屋をぐるっと見て回るようになっているそうです。

先日放映された「ぶらぶら美術館」で “遠近法” が話題になっていました。とても面白かったです😊
私は 特にウッチェロの “線 遠近法” に注目しています。
◉出展番号「1」 パウロ・ウッチェロ『聖ゲオルギウスと竜』(1470年頃)

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AERAの完全ガイドブックによると
「コミカルな竜の表情や、全く囚われの身に見えない姫の悠然とした姿など、硬い表情はいかにも中世的。ウッチェロが熱心に研究した遠近法は、まだ不完全ながらも、それがかえって作品に不思議な魅力を与えています。」
とあります。この作品だけを見たとき、ふむふむと納得するかもしれません。
しかし私はこの作品の画像を見て、ウッチェロの遠近法 すごい‼️と思ったのです。

実は昨年10月、パリのジャックマール・アンドレ美術館で同じ題材の作品を見ていました。
◉こちらはウッチェロが1456年(約14年前)に描いた『聖ゲオルギウスと竜』

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登場人物(姫、竜、馬、聖ゲオルギウス)は平面的に描かれており、
背景に描かれた坂道、畑、丘の上のお城をギュッとカンヴァスに閉じ込め、‘ 遠い物ほど小さく描くのはわかっていますよ ’ という遠近法となっています。少したどたどしい分、その潔さが何だか気持ちが良いのです。

『聖ゲオルギウスと竜』という絵本を読んでいる気分になります。
「この竜は悪者なの?痛い痛いって泣いてるかなぁ?」
「なんで後ろに白いテントがあるの?」
「急な坂道だねぇ。道に生えている木が小さいね」とは言わないかもしれませんが(笑)。

お恥ずかしながら、私がこのお題を描くとしたら背景はこんな感じになると思います。美術の成績がクラスで最低だった私は、とてもシンパシーを感じるのです☺️
ウッチェロに関して “遠近法を取り入れようとしているが成功していない作品” という評をよく目にしますが、頑張っていますよね。絵画はこのように発展してきたのだ!と実感できます。

日本で応仁の乱が起こっていた頃、ウッチェロは遠近法の研究に夢中になっていました。消失点について眠らずに考え込んだこともしばしばあったそうです。
◉そして14年後に描かれた出展作品(写真下・比較のため二作を並べました)。

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どうですか⁉️
「ぶらぶら美術館」では山田五郎氏に、‘ 消失点が複数あって遠近法も発展途中 ’ と言われていましたが、ウッチェロの14年間を思うと感動もの!です。相変わらずお姫様や聖人はクールな顔をしているのですが、ウッチェロはそんな所に力を入れていないので問題なし。
聖人の槍は斜めに突き出され、見るからに獰猛な竜が叫び声を上げながら聖人を睨み返しています。後ろにあるのは白いテントではなく、竜の住処でしょうか 洞窟の入り口がポッカリ口を開いています。
そして何より 狭いカンヴァスの中で遠い距離までの奥行きがしっかり描かれているではありませんか!私を三次元の世界に連れ込んでくれるのです。

…と、画像を見ながら勝手に感激しています😊。
実物をじっくり鑑賞できる日を 楽しみに待つのであります。

                                     <その1>終わり

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