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ヴィーナスに会う 心構え

日めくりルーヴル 2020年1月28日(火)
 『ミロのヴィーナス』(紀元前130−100年)

昨年10月に訪れたルーヴル美術館では多勢の人が[彼女]を取り巻いていたため、ゆっくり鑑賞することはできませんでした。
かろうじて近づいたのですが「これが、あの…。ほーっ。」という感想でした。

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少し男顔で 想像していたより身体もゴツゴツしている気がしました。女性らしさの特徴である腕から手先が失われているからかもしれません。
ギリシア美術・クラシック期の端正な顔立ちとヘレニズム期 特有の体のねじれを持っているのだそうです。少しふっくらした顔立ちは、美しさの中に厳しさを兼ね備えているようにも見えます。

今回は『ミロのヴィーナス』と日本にまつわるお話を。

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1820年4月8日 エーゲ海にあるミロス島で発見されたヴィーナス。
その後[彼女]はトルコ政府からフランス(ルイ18世)が買い取り、1821年ルーヴル美術館に落ちつきました。
それ以降、現在に至るまでルーヴル美術館を出て海外へ渡ったのはたった一度。1964年4−6月、国立西洋美術館と京都市美術館の特別展のためです‼️
東京オリンピックを秋に控えた日本のためにフランスの至宝が貸し出されたという訳です。

1964年。開館(1959年)して5年しか経っていなかった国立西洋美術館は、前庭に円筒形の特設会場を作り、『ミロのヴィーナス』をぐるり360度、そして2階からも鑑賞できるようにしました。当時の写真を見ると、突如現れた特設会場を取り囲む行列で、美術館の前庭が凄いことになってます💦。

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企画展初日は、ミロス島で彼女が発見された4月8日。雨が降る中、開館前から1000人もの人が列を作ったとか。会場内の写真を見ると、なんともまぁ。美術品を鑑賞しているとは思えない!パンダ舎を囲む群衆のようです(白黒写真はいずれも「芸術新潮」記事)。

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国立西洋美術館の会期はわずか38日でしたが、83万人余りが来場したそうです。1日平均2万2000人、狂気の沙汰です!
来日するための搬送時にわずかに石膏が剥落したと言います。ギャーッ!!
その後 京都市美術館まで陸路で搬送されたというのであるから恐ろしい💦
京都でも大盛況で、会期最終日には5万人を超える人々が押し寄せたそうです。
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そうだったのですね。[彼女]に会うということがどういう事なのか、その重大さを認識していませんでした。
少々の人だかりくらいで じっくり鑑賞するのを諦めたこと、猛省します。

 <終わり>


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