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新チームが最初にすること【前編】

こんばんは、ラクロス監督の陽一です。

今回は
「世代交代したチーム向け」
の内容です。

長い(熱い)ので前編後編に分けて投稿します。

◎前編のテーマ
『チームづくりとは何か?』

◉問題です

上記の問いは僕が新チーム発足時にチーム全員に投げかける恒例の問題です。(選手の能力は全員同じと仮定します)

ぜひ、「自分ならこれ!」という回答を選んでみてください。

そして回答が決まったら、同じ問題をチームの別のメンバー(チーム全員がいいです)にもやってもらってください。

すると、自分と同じ回答の人もいれば、全く違う回答の人もいるはずです。
たとえば、
「自分は問1で(2)を選んだのに、別の人は(3)を選んでいた」
なんて感じです。

ちなみに、この問題は何度も色んなところで出しましたがチーム全員が同じ回答を選ぶことはほぼありません。

◉ここからが本題

みんなで回答を確認しあったら、次はチームで話し合って「チームとしての回答」を決めてください。

要は、個人の意見を統合しチームで1つの意見を決める、ということです。

そうなると、
「問1で(2)を選んだメンバーは何人かいたけど、全員で話し合った結果、チームとしては(3)を選ぶことになった」
みたいな感じになります。

こうして選んだチームの回答を
「チームの正解」
と呼びます。

◉チームの正解とラクロスの正解

先ほどのチームの話し合いで選んだ回答が「チームの正解」
対照的に、個人で選んだ回答は「ラクロスの正解」となります。

ここをきっちり分けて考えることが大切です。

ラクロスの正解は上記の問いでもそうだったように、人それぞれの回答があります。そして、正解か不正解かで言ったら全部正解です。

ここがちょっとややこしいところなんですが、
たとえば、問1で(2)を選んでも(3)を選んでもどちらも動き的にはアリですよね。
D1の選手がパスを選択したら(2)が正解になるし、シュートを選択したら(3)が正解になるわけです。
だから、ラクロス的にはどちらも正解なんです。

しかし、このラクロスの正解は実はとっても都合が良すぎます。
たしかに(2)も(3)も正解になるかもしれませんが、それはあくまでD1が「(2)のための動き」「(3)のための動き」を選択した場合に限ります。もしD1がシュートを選択し、A1が(2)の動きをしてしまったらチェイスが取れないし、A1が(3)の動きをしてD1がシュートを打たなかったらA1の動きは無駄になってしまいます。
このように、ラクロスの正解というのは「チーム全員が動きを合わせる」という前提があって初めて成り立つものなんです。

さて、もうお分かりだと思いますが、ここで「チームの正解」の出番です。
チームの正解とはまさにこのような場面でD1もA1も同じ選択をすることを指します。

あらかじめチームとして「このような場面ではコレを選ぶ」という戦略の軸(チームの正解)を決めておくことでチーム全員の動きを合わせていく。
具体的に言うと、たとえば、「できるだけ近い距離からシュートを決める」というチームの正解を設定しておけば、(2)の動きもありつつD1が優先的に(2)へのパスを選ぶようになります。
逆に、ここでD1がシュートを選んで外してしまったら、
「チームの正解は(2)の動きなんだからお前(D1)の選択は間違いだ」
と注意することができます。このような注意であればD1も納得できるはずです。

ところが、もしチームの正解がなかったら、D1がシュートを外したことに対して
「なんで打つんだよ」
「だって打てる距離じゃないか、むしろなんでチェイスいかないんだよ」
みたいな水掛け論になってしまいます。
どちらもラクロス的には正解なのでラチがあきません。最終的に「シュー練をもっとしよう」などという無意味な反省も生まれるかもしれません。

大事なのは
なんでお互いの動きが合わなかったのか?
の議論なのです。

そしてそのためにはチームの正解が不可欠です。

◉チームの正解がないチームのあるある事例

さて。
ここまで理屈っぽくお話ししてきましたが、ここからはチームの正解を決めきれてないチームのあるあるを紹介していきます。
あてはまったら要注意です。

①ビデオミーティングで反省や改善案が無限にありすぎて困る
場面場面を切り取って反省をするビデオミーティングでは、「この場面ではこうすべき」「この場面では逆にこうすべき」みたいな感じで、軸もなく無限に改善案が出されるケースがあります。これはチームの正解ではなく、ラクロスの正解をただ話しているだけで、個人の勉強には良くてもチームのためのミーティングにはなっていません。

②「なんでシュート打たないでパスすんだよ」「いや、この場面ではパスだろ」みたいな揉め事がよく起こり、上手い選手の意見が押し通される
チームの正解を決めていないと上手い選手の意見ばかりが通ってしまい、とても脆いチームが出来上がります。チームにKING選手がいませんか?そしてそのKING選手のコロコロ変わる意見がチームを混乱させていませんか?そういうチームは要注意です。まず力を発揮できません。

③練習メニューがどこかのチームの真似事でしかない
「あのチームがこの練習をしてたから」「この練習メニューが流行っているから」「今までやっていたメニューだから」そんな理由で練習メニューを決めていませんか?それは本当にチームの戦略、戦術に合っていますか?チームの正解があれば練習メニューだってそれに合った形で変えていく必要があります。

いかがでしょうか?
どれも良くあることだと思います。これらは「チームの正解」がないから起こる問題なので、どれかに当てはまっていることがあればすぐにチーム内で振り返って改善することをオススメします。

◉チームづくりとは?

ここまで「チームの正解をしっかり決めようね」という話をしてきました。
僕が今回最も伝えたいことは、
「チームの正解を決める作業こそがチームづくりである」
ということです。

ちなみに、ここまではプレー面でのチームの正解の話が中心でしたが、プレー以外のチーム運営も同様です。チームが強くなるために、運営にもチームの正解が必要です。
たとえば、
・「チーム全員の身体をデカくする」と目標を掲げているのにトレーニングも栄養面も個人任せ
・アナライジングスタッフ(AS)を配置してデータを取ってみたけど誰も参考にしない
・「〇〇をちゃんとやってください」と伝えるだけでルールも仕組みも作らない

みたいなチームになっていませんか?運営にもチームの正解(仕組み)を作らないと誰も守らないし活用しないものです。

もちろん、運営はチーム全員でやることではありますが、特にスタッフ陣は率先して運営におけるチームの正解を作る必要があります。
言葉が悪いですが、お茶汲みやタイムキーパー、撮影という仕事だけして満足しているスタッフは所詮チームのマスコットです。表面上チヤホヤされるかもしれませんが信用はまったく得られていません。
やはりスタッフとして求められる仕事は、いかに運営面でチームの正解を作っていくか?です。言い換えると、チームのために「どれだけルールや仕組みを作るか?」です。

やってほしいことをただ伝えたところで部員は守りません。「それがチームの正解だからやらなければいけない」という義務感や納得感をチームに与え、その正解行動を起こさせるための仕組みを考えなければいけないということです。
(この辺りちょっとクドく書いてしまいましたが、要は「人を動かす仕組みを作れ」ということです)

◉まとめ

というわけで、今回はチームの正解の重要性についてお伝えしました。ラクロスの正解、運営の正解は無限にあります。しかし、その無限にある正解をいちいち全部やろうとするのは現実的ではありません。時間は限られています。やるべきは、この無限の正解の中からチームとしてはこれをやるという正解を決め、それに特化して取り組んでいくことです。そうやっていろんなカラーのチームができるからチームづくりは面白いのだと思います。

次回は今回の話からもうちょっと踏み込んで「目標設定」についてお話ししたいと思います。

それではまた!

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