年収2000万円くらいまではノキ弁が最適解ではないだろうか

弁護士業界にはノキ弁と呼ばれる弁護士がいる。

軒先弁護士の略称で、他の弁護士事務所に間借りしている弁護士のことだ。
イソ弁との違いは事務所から毎月給料をもらっているかどうかである。

ノキ弁は事務所の一部を転貸してもらっているような立場なのでむしろ経費負担をしなければならない場合が多い。

僕が修習生のころは、ノキ弁は即独に次ぐ負け組扱いの就職先であった。昔はひまわり求人でもよくみかけた記憶があるが、修習生の就職事情がよくなった最近ではノキ弁募集はほとんどみかけない。ノキ弁になろうなんて弁護士はまずいないということだろう。

しかし、年収2000万円くらいまでならノキ弁が一番お得なのではないかと最近思うのである。

弁護士で年収2000万円(所得2000万円)というのは、国税庁の統計でみれば上位15%以内の数字である。所得の高い弁護士は東京に集中しているだろうから、地方ではもっと少ないはずである。

ノキ弁の経費負担の相場は不明だが、せいぜい年間300万円くらいではないかと思われる。これ以上になってくると、もうパートナー扱いになるだろう。

仮に経費負担が300万円だとしたら、年間の売上が2000万円あれば、自身の経費が100万円程度かかっても1600万円が所得として残る(青色申告控除を引いても1535万円)。

これが独立して事務所を借り、事務員を雇用してとなると、年間の経費は1000万円程度かかってしまう。この場合の所得は1000万円である。ここらあたりが、小規模零細事務所の弁護士のリアルな数字だと思う。同じ売上でもノキ弁の場合と比べて600万円も所得が変わってくる。

イソ弁で1500万円を超える給与を払ってくれる事務所は地方ではかなり少ないだろうし、個人事件の売上1000万円くらいからイソ弁のような働き方はできなくなるように思う。

そのため年収2000万円くらいまでであればノキ弁が一番稼ぎやすい。どうしてノキ弁が普及していないのだろうかというのを考えると、実際には経費負担の少ない名ばかりパートナーみたいなのがノキ弁に該当するのかもしれない。

ノキ弁のネックな点としては、WEBでの集客が個人ではしにくいように思う。事務所の集客方針とバッティングしたり、電話での問い合わせ対応等のオペレーションは事務所を組み込まざるを得ず難しい。

一方、紹介でコツコツ営業であれば、利益相反以外に特に支障はない。



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