怪文詩(2022/06/22)

「臆病者」

馴染んだ香りを追い駆ける。

寄す処を求めて追い駆ける。

ついに背中が見えた時、

移り変わりに怖気付く。

踵を返し、駆け出した。

夜灯が私を嘲けて笑う。

並木が私を指差し貶す。

もう自己弁護すらままならない。

今日もまた、いつもの私と変わらない。

明日もまた、いつもの私と変わらない。

執拗に、私が私の邪魔をする。

ただ会って、笑って君と話したい。

ただそれだけで、私の心は満たされるのに。

ただそれだけで、私は一歩を踏み出せるのに。

そんなことすら、私はできない。

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