台風の夜に六法を切り刻んだ話

台風19号が関東に直撃した先週の土曜の夜,
家で勉強ができない私は,ただぼーっとしていた。

ふと部屋を見回すと,『ポケット六法〔平成31年版〕』が目に入った。

「解体したい。」
そう思った。

これは別に私がサイコパスだとか,精神が不安定だとか,そういうことではない。
少し前に見たこのツイートを思い出したのだ。


実際,ポケット六法は重くてかさばる。
“ポケット”に収まらないのは言うまでもない(創刊当時は本当にポケットサイズだったとか)。

それなら科目ごとに切り分けてしまおうと,そういう話である。

しかし,案外これが難しい。
裁断それ自体がではなく,どう切り分けるかである。

身近に六法がない人にはピンとこないかもしれないが,六法は「6つの法」のみで構成されている訳ではない。
メインの法があり,それに付随する法律や規則がいくつも存在するのだ。
刑法であれば,刑法典(いわゆる”刑法”)と,道路交通法などが挙げられる。
なお,「行政法はそうではない」という批判はスルーさせていただく。

それはさておき,
「メイン+付属品」のセットで切り分ければいいように思えるが,そうはうまくいかない。
日本国憲法の存在である。
彼は”憲法”で用いられるのはもちろん,行政法,刑訴法などの様々な法学に顔を出す。
彼の性質上,これは当然なことではあるが,六法を切り刻むことに取り憑かれた人間としては厄介者でしかない。

色々と悩んだ私は,仕方なく「憲法+行政法」の公法セットに,刑事系はまとめて1つに,そして条文の多い民事系は別々にすることにした。

やり方はよくわからなかったが,とりあえずカッターで背表紙を切り裂いてみた。慣れてくると,これが意外に楽しい。もちろん,裁断風景を撮影しておくほど計画的な人間ではない。

背表紙を補強するだけでは少し心もとなかったので,なぜか家にあった色のついた厚い紙(正式名称は知らない)を使ってカラフルに仕上げた。

画像1

無事に完成した



はずだった。

会社法の講義でその限界を痛感した。

会社法330条
「株式会社と役員及び会計監査人との関係は、委任に関する規定に従う。」

委任に関する規定は民法の中にある。

すなわち,会社法であっても,民法の規定をしっかり使うのである。

会社法と民法は切り分けちゃったぞ・・・



まあそんな感じです。

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