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【完全版】ノー勉で日本語検定1級を受験した結果


前提:書き手の状況

・本業は行政書士で書類作成が仕事、副業はライターと、ことばを使う仕事の掛け持ち状態
・資格検定を受けるのが趣味
・10年以上前に漢検準1級合格

コトの経緯

発端は時々見ているYouTubeチャンネル「ゆる言語学ラジオ」のお二人がPR案件で挑戦していたことでした↓↓

検定好きなので日本語検定の存在はうすうす知っていたものの、あまりきちんと調べたこともありませんでした。

が、ゆる言語学ラジオのお二方(どちらも広い意味で出版関係者でもあり、言語オタク自称者でもある)が苦戦しているのを見て、かつ、その苦戦している問題が自分なら解けることに気がつき、「ノー勉で1級」やってみたい!ワンチャンいけるのでは?と思ったのでした。もし取れたらライターとしても前面に出せますしね。

しかし動画が出た頃に募集していた令和5年度第2回は、残念ながら他の予定と重なってしまい断念。次こそは!を果たし、令和6年度第1回での受験となりました。

日本語検定とは?

日本語検定は「日本語教育能力検定」や非母語話者向けの「日本語能力試験」とは異なり、日本語を母語とする人に向けてつくられたものです。敬語や漢字など、内容としては国語の試験みたいなものですね。
今回、令和6年度第1回は、1万2千人以上が受験したようです。

公式サイトはこちらです↓↓

1級の合格率は5%前後、というのは動画で説明されている通りですが(行政書士試験より低いやんけ!)、実は「準級認定」も存在し、1級と準1級を足せば10~20%台の間におさまることが多いようです。8割正解で1級、7割で準1級と、なかなかシビア。しかも領域という概念が存在し、それぞれの領域ごとに50%以上取れていなければ足切りです。

それから、日本語検定の特徴として、表彰制度が挙げられます。
各回の成績上位者、最年少・最年長に加え、1級に複数回合格した人という枠も。なんと10回以上1級に合格すれば、「日本語の達人」の称号をもらえるそうです。
漢検も準1級以上になると複数回受験する人がいると聞きますが、日本語検定では表彰・称号があるのが良いモチベーションになりますね。

受験の手ごたえは…

「ノー勉」を売りにする以上、何ひとつ調べず、勉強もせずに当日を迎えました。実は領域や準級認定の概念も終わるまで知らなかったくらいです。

受けてみた感想は、「楽しかった!!」の一言。その意味で、レベル設定としては1級で間違っていなかったと言えます。

受験後は、民間からの解答速報がなく、公式を待つしかないのが新鮮でした。受験当日に解答速報が出るのは予備校が参入している分野だけなのだなあ。そういえば少し前までは自分の感覚としても、試験を受け終わったら結果発表まで何もないのが当たり前でした。何だか懐かしいような感覚です。

結果発表

さて、気になる結果は…?

採点結果の詳細が送られてくるのは7月後半になりますが、合否結果だけは本日7月3日、発表されました。早い!

結果は、合格!(1級認定)

詳細が送られてきたら、分野別の得点等もこちらの記事に追記しようと思います。

楽しかったので、気が向いたら今度は表彰目当てで受験するかもしれません(笑)

受けてみてのレベル感、得点のための方法など

よく漢検と比較されるらしいですが、生活への密着度という点では日本語検定のほうが断然上です。漢検は生活では絶対に見ないものを多く出してくるのでノー勉では歯が立ちません。日本語検定ならノー勉での挑戦も「アリ」だと感じました。合格した高みからの物言いになってしまいますが、日本語検定はそうべらぼうに難しい(マニア向けの)検定ではないと思います。

個人的に私の生活の中でノー勉受験に役立ったと思う習慣は、①手書きをする習慣、②文学作品に触れる習慣、③漢字の意味やなりたちを考える習慣の3つです。

①手書きをする習慣
最近は本当に手書きをすることがない人がいるらしくて驚きます。私はまだまだ手書き派。日常のメモももちろんのこと、コミュニケーション方法が半分くらい手紙という人も身近にいるので、書かないわけにはいきません。書かないと忘れる、それは道理。書いている人はその点で強いです。
読み飛ばすことはできますが書き飛ばすことはできないので、読みの点でも役に立っているところがあると思います。
簡単なメモを取るときも、できるだけ漢字をひらかないように、熟語を使うように気をつければ、より良い効果を得られるでしょう。

②文学作品に触れる習慣
日本語検定では、実用書や論文のような「難しい日本語」よりも、文学作品のような日常の事物についての「多様な言い回し」を重視しているように感じました。
読み通すことは難しくても、図書館で「むかし学校でタイトルだけは習ったような気がする文学作品」を借りてきて、少しだけ目を通してみませんか?きっと点数に結びつきます。

③漢字の意味やなりたちを考える習慣
この習慣は漢検で身に着いたものです。丸暗記では追いつかないレベルになると、部品や文脈から読みを考えたり、他の使い方から意味を類推したりということが必要になってきます。
今回の日本語検定でも、熟語そのものは知らないのに「この漢字なら、こういう意味のはずだ」と類推し、当てた問題がありました。
漢検に限らず、身の回りの漢字の部品の組み合わせや文字そのものの意味について意識を持つようにすると、日本語検定にも役に立つと思います。

7/18追記 成績詳報を受けて

試験から約1か月の7月18日、成績の詳細が届きました。

成績詳細

正誤でいうと、四字熟語以外は「大体合ってる」。
この手の画像は出回っていたので見たことがありましたが、驚いたのはここに書かれている「主領域」が採点の全部ではないということです。主領域が「文法」の問題はすべて合っていますが、領域別点数は96.4となっています。下の方に「各問題には複数の領域が含まれていますが、その中でも中心的な領域を「主領域」として表示しています」と書かれていました。

つまり、採点はかなり不透明です。
これは検定試験として良くない点だと思いました。

私の考えは誰もが自己採点ができる程度の透明性は検定試験にあるべきというところにありますが、今回の結果でいえば、この不透明性が良い方に働いたところもあります。四字熟語をすべて落としているので漢字の点数がギリギリかと思いきや、他でカバーできたらしく、7割を大きく超えました。
結果として、分野別で特にここが弱いと言い切れるところはなかったようです。強いて言えば、総合合格ラインの8割に満たない、漢字、表記、言葉の意味が「苦手分野」でしょうか。ただこれも具体的に何をもって採点されたのか分からない以上、「どう対策して良いか不明」としか言いようがありません。

また、総合点の84.5点は、思ったよりも低かったなという印象です。今回は合格率が比較的高かったようなので、難しい回であれば落ちる可能性は十分にあるといえそうでした。

最後に

日本語検定公式のニュースを見ていたら、前回の検定で、やはり「ゆる言語学ラジオ」の影響で「2級」を受けた方がいたことが書かれていました。

このnoteは必ずしも「ノー勉で1級」を推奨するわけではありません(我こそは、という方は、挑戦の余地ありだと思いますが!)。上記の方のように2級から、もしくはもっと下の級から挑戦するのも素敵だと思います。
公式サイトでレベルチェックもできるので、自分に合った級を見つけてみてくださいね。

おまけ。
結果が発表されたのでSNSの最新投稿を見ていたところ、日本語検定の合格に際し「校正の資格も持っているし」と発言している人を見かけました。
校正の資格?へえ、校正技能検定というのがあるのか…そのうち受けてみたいなあ、副業にも使えそうだし。
検定マニアの人は年がら年じゅうこういう思考をしているので、受けたい試験が尽きません。


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