某Vtuberにより詐欺事件の追記

https://note.com/law_h/n/n81334828acae 概要はこちら

追加で聞かれたことがあるので書いておく

Q.自分のパソコンじゃなくてメルカリの画像を流用していたみたいだが詐欺じゃないの?
A.販売時点で詐欺とするには、最初から売る気がなかったことが客観的に証明する必要がある。
たとえば、15万円程度パソコンを特別価格と称して10万円で販売するとした場合に、当該パソコンの準備が一切ない場合、契約成立後に準備しようとした形跡がない場合などには詐欺行為の着手が認められる。
つまり「売ると言ってる商品がそもそも手元になかった、引き渡しのために準備しようという行為すらなかった」という事実があれば詐欺罪が成立する可能性は高くなる。
実際に、パソコンを所有していたということなら、「写真を撮るのが面倒だったので同じパソコンの画像を拝借した」と主張されたら覆すのは難しい

Q.入院費用が必要だからという理由で売ろうとしたけどそれも嘘だったので詐欺じゃないの?
A.クラウドファンディングやリスナーが「パソコンとかいらないから直接支援します」という形で一方的な金銭的支援をだった場合には詐欺罪になるでしょう。
今回はパソコンという対価があるので、入院費用が必要ってことだから買うというのは単なる動機付けで詐欺というよりも動機の錯誤の問題になる。

(錯誤)
第95条
1.意思表示は、次に掲げる錯誤に基づくものであって、その錯誤が法律行為の目的及び取引上の社会通念に照らして重要なものであるときは、取り消すことができる。
一 意思表示に対応する意思を欠く錯誤
二 表意者が法律行為の基礎とした事情についてのその認識が真実に反する錯誤
2.前項第二号の規定による意思表示の取り消しは、その事情が法律行為の基礎とされていることが表示されていたときに限り、することができる。
錯誤が表意者の重大な過失によるものであった場合には、次に掲げる場合を除き、第1項の規定による意思表示の取り消しをすることができない。
一 相手方が表意者に錯誤があることを知り、又は重大な過失によって知らなかったとき
二 相手方が表意者と同一の錯誤に陥っていたとき
3.第1項の規定による意思表示の取り消しは、善意でかつ過失がない第三者に対抗することができない。

実際、購入の動機は支援というよりも市場よりも安いの価格であったことだと思われるから動機の錯誤を主張することは難しい。「その値段でもそのパソコンはいらないけど支援するために買います」って明確な意思表示があれば動機の錯誤による取引の取り消しは可能だろうか。
逆に、市場価格よりも高い価格だった場合、「支援するため」に支払った場合には上乗せ価格を欺罔によって詐取していることになるから詐欺罪が成立する可能性は高くなる。

Q.なんで被害者の会を通す必要があるのか?
A.別に自分でやってもいいと思うけど住所とか連絡先知ってるんですか?
被害者の会は契約(おそらく示談?)を結んでるらしいので、「今後、新たな被害者が名乗り出た場合には云々」って条項を盛り込んでいるんでしょう。

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