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ペルシア絨毯、いろいろな産地といろいろなデザイン

6月3日からスタートする、ラ・ビーダ社長とその仲間が選んだ98枚の手織り絨毯フェア

ペルシア絨毯にはいろいろな産地があり、産地によりデザインも様々。こちのページでは、今回ラ・ビーダが買い付けてきたものを中心に、ペルシア絨毯の産地、デザインをご紹介します。


ペルシア絨毯フェアのお話はこちらからどうぞ!



五大産地

主な産地の中でも特に有名な5つの産地のものからご紹介します。

(1)イスファハン

ペルシアジャパンHPより

ペルシア絨毯の王様」と呼ばれる産地で、洗練されたデザインと色調の絨毯が織られています。イスファハンには世界的に評判を得ている工房が多くあり、織りの水準もレベルは他の産地に比べてもかなり高いです。16世紀にサファビー朝ペルシアの首都として栄えた歴史があり、日本でいう京都のような場所なんだそう。当時の王が絨毯に強い関心を持ち、織物工房が多く設立されたため、絨毯の一大産地になりました。

イスファハンの模様は、モスクにあるタイルや都市、宮殿の園庭からインスピレーションを受けたものが多いです。模様、素材、デザインは上級クラスです。



(2)カシャン(カシャーン、ケシャン)

古くから絨毯製作が盛んな産地で、アンティーク絨毯ではカシャン産のものが多く見られます。最高級の絨毯は、サファビー朝時代にカシャンで作られていました。カシャンは、繊維やタイルなど伝統工芸が有名な都市で、かつては貿易地、シルクロード沿いの休憩地として重要な場所でありました。約300年前に初めてシルク100%のペルシア絨毯を生産した産地でもあります。

カシャンの模様は、美しくデザインされたメダリオンや具象的なモチーフ、花の模様もよく見られます。色彩は、青、赤、ベージュが基本色とされています。



(3)クム

各産地のデザインを取り入れて再構成することで、ペルシア絨毯の可能性の幅を広げているのがクムの絨毯です。絨毯製作は1930年代半ばから、カシャーンの指導の元始まりました。ペルシア絨毯の中では新興産地です。近年は、シルクのペルシア絨毯に力を入れているそうです。クムは、イスラム教始祖のムハンマドの娘ファティマが眠るイラン第二の聖地でもあります。

パステルカラーを基調とした独自の色彩と文様が人気です。



(4)タブリーズ

イランで最も大きな都市の一つで、何世紀にも渡ってアジアとヨーロッパを結ぶ重要交易地として知られています。ブルーモスクと巨大なバザーが有名です。

タブリーズは織子が男性中心で、固くて丈夫、緻密な作りの絨毯になっています。メダリオンという柄がメインではありますが、色調やデザインはバラエティに富んだものが多いです。デザインについては、肖像画や幾何学模様、動物をアレンジしたものを細かく正確に織り込んでいます。



(5)ナイン

砂漠のオアシスに出来た少都市で、昔は上質な衣類生地の産地でしたが、1920年代からイスファハンの指導を受け絨毯生産が始められました。

ベージュと基調とした落ち着いた色合いが特徴。絨毯のクオリティが3段階に分かれており、同じ色柄でもクオリティによって大きく価格が変わります。日本では大きな人気を誇っています。



その他の産地

(6)ビジャー


イラン西部にある小さなクルド人の町です。頑丈で緻密に織られていて、耐久性に非常に優れており、鉄の絨毯(アイアンカーペット)と呼ばれています。

赤い薔薇の模様をあしらったものが多く、赤や青を主色としたとてもエレガントなデザインになっています。場所に限らず、多くの環境にとてもよく合います。


(7)ケルマン

イラン南中部、ケルマン州にあるペルシア絨毯の産地です。ケルマンでは紡績前に染色する先染めを用いており、色の深さイラン随一。だた、1930年代からは合成染料が使用され始めました。

基本色は赤が多く使用されています。模様は、中央に設置されたメダリオンと花でいっぱいの枠で構成されています。
ちなみに、ラ・ビーダ渡部社長はこちらのケルマンが大好き!



(8)ムード

アフガニスタンの国境に近いイラン東部に位置する小さな産地ムード。織子は二本の緯糸を使用し、良質な技量を持っていることで知られています。

模様は、ヘラティ模様(菱形の四方をパルメットと呼ばれる花の側面を意匠化したものと、アカンサスの葉で飾った文様)が多くみられ、中央にメダリオンがある場合とない場合が見られます。曲線の庭園がモチーフとして描かれているものもあります。


(9)グーチャン

イラン北東部にあるグーチャン郡の郡都で作られている絨毯。グーチャンで産出される絨毯はタフト・バフトの薄い作りで、大胆な幾何学文様が多く見られます。



(10)シラーズ

イラン南部に位置するシラーズ市は庭園、詩人たちの墓、古代ペルセポリスなどで有名な都市です。シラーズ市の周りには遊牧民カシュガイ族が在住しており、彼らのカーペットは大規模なバザーで取引されています。一般的にシラーズ産絨毯は、パイル糸、縦糸、緯糸は羊毛作られているシンプルな絨毯で知られています。



(11)アバデ


シラーズとイスファハンの真ん中にアバデ市があります。良質のカーペット製造地として有名です。アバデ産の絨毯は、非常に丈夫で耐久性があるため、実用的な絨毯として有名です。

もともとは、アバデからのカーペットは、花瓶のモチーフと共に当たり障りのない色が使用されていました。その後、絨毯の売れ行きは市場で伸び悩み、織職人たちは新しいモチーフを探すようになりました。そこで、アバデに夏の牧草地を所有する遊牧民カシュガイ族よりインスピレーションを受け、それ以来絨毯は赤褐色と青を組み合わせたものとなり、中央と四隅に大きいメダリオンが特徴となりました。



(12)マシュハド(マシャド、メシェド)

神聖なるマシュハド市は、イラン東部の巨大な州のホラーサンに位置しています。マシュハド市はイランで最も神聖な都市で、毎年1200万というシーア派の巡礼者がマシュハド市を訪問しています。カーペット生産は広範囲であり、ほとんどがメダリオンの模様の大きなカーペットが販売されています。


トライバルラグ

直訳すると「部族の絨毯」。作っている遊牧民や民族の名前がついています。

(13)バクチアリ(バクチアル)

イスファハン西部に聳えるザグロス山脈に、バクティアリ遊牧民が暮らしています。幅のあるズボンや丸い形をした帽子と短いチュニックなど、パルティア王朝(紀元前約200年〜約200年)から由来している衣装を身に纏っています。、バクティアリはペルシア絨毯の中で最も耐久性のある一つであると考えられています。

一般的な模様はKhesti(庭のモチーフ)と呼ばれ、植物や動物、ペルシア庭園を象徴しています。また、イスファハン絨毯の影響を持った、メダリオンや木をモチーフとしている絨毯もあります。


(14)バルーチ

イランとアフガニスタンの国境地区に住んでいる部族。彼らは、カーペット製造と一緒に農業、羊、ヤギやラクダの飼育で生計を立てています。

模様は曲線的な木の模様と、幾何学的模様が特徴的です。礼拝用のアーチ型モチーフも多く見られます。バルーチの多くは小さめのサイズで、鮮明で賑やかな模様で描かれており、祈祷用絨毯として製造されています。色は鈍く暗めの赤色、暗めの青、黒、茶色が多く見られます。



(15)トルクメン

トルクメニスタンを中心にウズベキスタン、カザフスタン、タジキスタン、イラン、イラク、アフガニスタン等の国々に居住する民族。

トルクメン絨毯に代表される文様のひとつがギュル(花紋章)。八角形やその変形の幾何学的文様のひとつです。このギュル文様を絨毯の象徴的モチーフとして織り込んできたのが絨毯織り技術の高いトルクメン族です。ギュル文様はトルクメン族の家紋もしくはエンブレム(紋章)として始まり、時間をかけて洗練されながら完成し、それぞれの氏族や支族を象徴する文様になって行ったとも考えられます。


(16)カジャールコレクション

このシリーズは、カジャール王朝期の優れた絨毯を復刻した「ノウ・ルーズィ」工房の絨毯です。全て手紡ぎの糸、天然染料を使用しているため、絨毯の色の深みが本当に美しい民族絨毯の最高峰です。カシュガイ族の逸品を復刻したコレクションです。


気になる絨毯は、ありましたか?

一言にペルシア絨毯と言っても、こんなにもたくさんの種類があるんです。(私も知らなかった・・・)実はまだ他にもたくさんの種類があるのですが、今回は買い付けてきたものや有名なものを中心にご紹介しました。


きっと見つかる、私の、家族の、とっておきの一枚。


引き続き、こちらもご覧ください!





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