脱シンデレラ

私の靴箱には
ずっと前から、この２足しかない

ひとつは
母が用意してくれた靴
私の身体を思って選んでくれた靴
とても歩きやすくて
どれだけ履いても疲れない
でも
全然オシャレじゃない
庭先でしか履けない

もうひとつは
あなたがプレゼントしてくれた靴
私の未来を考えて選んでくれた靴
クールでセクシーで
どこに履いて行っても恥ずかしくない
でも
ずっとは履いていられない
身体が悲鳴をあげてしまう

いっそのこと
裸足で駆け出そうか
靴を脱ぎ捨ててつま先をおろした
熱かった、冷たかった
痛かった、怖かった
裸足で歩くことは
今の私には難しいと実感した

なら
気に入った靴に履き替えればいい
履きやすくて機能的で
オシャレで見栄えもする
そんな欲張りな靴を
自分で用意したらいい

脱シンデレラ
誰かが持ってきてくれるまで
もう待つことはしない
誰かがかけてくれた魔法は
深夜０時で解けてしまった
今度は私が私に魔法をかける番

２足の靴にそっと別れを告げた

作/lave    No.42    2024.3.9