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息吹

ずいぶんと
ながい眠りだった気がする
実際は数時間
いや 数分だったのかもしれない

見上げても そこに空はなく
薄い布で仕切られた
無機質な四角い天井と
窓を烈しく叩く雨の音が
時間の感覚を狂わせていたさ

生き てる?
息 してる?

何のためにココにいるのだろう?

物心ついた時から
心の片隅にあった想い
大人になればなるほど
強くなっていた

存在するに値しない
意味を見出せない
息はしていても
中身は空っぽで
何度も何度も
薄命を願っていた

けど 今は違う
存在しなくなるかもしれない
漠然とした不安と恐怖

ずっとココにいたい
そんな風に
執着心を持てたことが
ただ嬉しかった

守るものができたから
愛すべきものが
ココにあるから

細胞のひとつひとつを
叩き起こすように
深く息を吐き
一気に息を吸った

自分で自分の肩を抱きしめると
愛おしくて
涙が止まらなくなった

おはよう  
ただいま おかえり
そして
ありがとう

作/lave    No.51   2024.6.22











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