イノベーションプログラム01「自由に描く」

「自由に描く」と言われて、なかなか描き出すことが出来ないのは、絵が苦手だからなのでしょうか？

自由なのだから、何を自由に描いてもいいはずなのに、積み重なった苦手意識が自由に絵を描くことを妨げます。

では、子どものころは「自由に描ける」のでしょうか？
いえ、小学生でさえ社会性を持つことと同時に、自由さを失いつつあるのではないでしょうか。

このレッスンでは、「自由に描いてください」という哲学的でもある問いかけから、無意識的に感じている不自由さを認識し、如何に自由になるかを考えてもらいました。

＜　ある日のレッスンでのやりとり　＞

受講者：小学１年 Mちゃん

まず、絵を「自由に描いてはいけない」状況があるかお聞きしました。
絵を描く時に「こう描かなきゃなぁ」と、思うことはありますか？
→　図工などでふざけて描いては怒られる。

どうしてだろう？
→　みんな真面目に描いている中で恥ずかしいから。

まず、１枚自由に描いてもらいました。

何を描きましたか？
→　りんごを描きました

なぜ　それを描きましたか？
→　好きな食べ物だから。

それは自分が描きたいものでしたか？
→　思いついたから。カレーライスを描こうかとも思ったけど、ご飯粒を描くのが細かくて大変そうだったから。りんごは描きやすい。人を描くのは難しい。

絵にもいろいろあります。こう描いてほしいとお願いされた時にまったく違う絵を描いたらおかしいよね。でも、自由に描いていい時には、自分が描きたいものを描いた方が楽しくない？

自分の部屋に飾りたいようなものはなんだろう？
→　みんなで長縄をしているところ。でも細かくて描けなさそうだから、やめておく。

練習して描けるようになったらやりたい？
先生といっしょに部屋に飾りたくなるような絵を
もう一枚描いてみよう

自由に描けましたか？自由に描くってどうですか？
→　難しかった。

部屋に飾りたいですか？
→　まあ、飾りたいかな。

何が難しかった？
→　描く内容を決めるのが難しい。いろいろ考えてしまう。
あと、描く技術も必要で難しい。技術は練習したら描けるようになりそう。

美大生やアーティストは自由に描ける？
自由に絵を描くことをしているはずの美術大学生や、巨匠のアーティストでも、「自由」ではなく、構図や色、文脈など、様々な悩みながら制作しています。自由に描いているように見えるけど、何も考えずに描いているわけではないのです。

＜レッスン所感＞
全体を通し哲学的な問題を含むレッスンであったのだが、自身の問題としてしっかりと考えられている印象を受けた。ただ、絵を描くことに対して正解や、周りから外れないことを意識していることもやり取りの中からうかがえる。今後も、技術的だけでなく、意識の上での壁を乗り越えていけるよう、様々な問いかけを行っていきたいと思います。

Q.あなたは自由に絵を描くことができますか？
　難しいとしたら、何がそうさせているのでしょうか？
　それは、どうしたら乗り越え、自由になれるのでしょう？

あなたの考えをお待ちしています。