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Lamu島の森の奥で その2

おじさんはいろいろな話しをしてくれたのだけど、その中でもう一つ印象に残っているものがある。

ちょうど私たちがケニアとタンザニアを旅している間にテロリストによる大使館爆破事件があり、たくさんの死傷者が出た。まぁ島はのんびりしたものだったけどニュースではすごく不穏な空気が漂っていた。

「この間爆破事件があっただろう?あれがものすごく悲しいんだ。またアフリカが『怖い国』『危ない国』というイメージが広がってしまうから。ああいうテロリストはいわゆる普通のイスラム教とは全く違うものなんだ。」

「悪いことをやればお金をたくさん得ることが出来るかもしれない。でも私は泥棒したり騙したりしてお金を稼ぐことはしない。貧しいけれど小さな家に住んで、ここでお酒を作って売ってる。それは私が悪いことをしてつかまって家族に悲しい思いをさせたくないからだ。」

「日本でもきっとアフリカの怖いイメージが広がっていると思う。でもアフリカにはこうやって真面目に一生懸命生きている人間もいるんだ。それを分かってほしい。日本に戻ってそれを伝えてほしいんだ」

20年もたつのに、私の中にこんなに鮮明におじさんの言葉が残っている。
友達の何人かには話してきたけど、私はずっとこれを文章にしたかったんだなぁと思う。でもそんな機会もきっかけもなかった。

やっと今。

書けたよ、おじさん。

そして見知らぬ誰かに一人でも伝わったらいいな、と思う。

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